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未熟な英雄物語
どうしてっ
なんでっ
なんでこんなことにっ!
駆ける脚がもたつき、転んでしまう。
「っ…!」
膝を強く打ち付けたようで、立つことができない。
そして、聞こえてくる足音。
「…諦めろ」
無機質な声が響く。
「…諦めれるわけないだろ」
「これで何度目だ?いい加減理解しろ」
そいつの言葉を鼻で笑いながら振り向き、言い放つ。
「できる訳ないだろ。…俺は諦めない!何度だって抗ってやる!」
俺の言葉を前にそいつは、無感情な目をしているだけだった。
これは、やり直しの物語。
脱出不可能の無限回廊に挑む、一人のちっぽけな英雄の物語。