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Love a lie  作者: しいな
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第2話 前篇

「夢乃ーーっ! ご飯残すんじゃないの!!」


下から聞こえるお母さんの声。


「・・・ごめん! 今行くー!!」


私は階段を駆け下りて、リビングへと戻った。




「・・・あぁもう!」


右手で頭をかいて、イラ立っている俺。


あんなキツイこと言うつもりはなかった。

ただ、言葉が選べないだけで・・・


「ってかなんで今更旅行なんかすんだよ。 1年経ってるのに」


俺の親父が、夢乃の母さんと再婚してから、もうすぐ1年が経つ。

あの日、言われた言葉は今でも忘れない。







『風也、よく聞け』

『んだよ』


『・・・また結婚しようかと思うんだ』

『・・・・はぁっ!? 誰!? どんな人!?』


『本当に優しい人でな・・・料理がうまいんだよ』

『別に俺はいいけど』

『相沢さんっていうんだ』

『・・・え?』


『・・・驚くよな・・。 お前の後輩だよ』

『相沢・・・夢乃の母さん?』






少し笑ってうなずいた親父の顔。 俺は理解ができなかった。



でも、もう夢乃と付き合えないことだけは、理解できた。


「夢乃・・・・」


突然だったよな。


・・ごめんな。





「・・・なんで今更旅行なわけ?」

「えぇ? だって去年はお互いに忙しかったし・・・今年は大丈夫って言われたから」

「・・・ふぅん」


食器を洗いながら、笑顔で答えるお母さん。


「悪いんだけど・・・3日間は、風也君と仲良く家事当番、よろしく!」

「・・・はい」


私はカレーを食べ終えて、食器をキッチンへと運んだ。


「・・・そんなに風也君、嫌なの?」

「えっ?なんで」

「だって、すっごく嫌って顔してる」

「もともとこういう顔よっ」


嫌なんかじゃない。


ただ、気まずいだけ。


嫌なんかじゃない。


ただ






「家事当番?! マジかよ」

「声でかいよ・・・! ほら! はいっ!!」


家事当番が面倒なだけ。


俺はそれが気に食わない。

新婚旅行とか、もういいだろ・・・。


しかも休み時間の、よりによって昼食の時間に・・・。

俺の休みをとりやがって。


「ってかさ、普通学校でこんなもん渡す? いなくなるのは明日の21日からだぞ?」

「・・・あのさ、紙をよく見てくれる?」

「あぁ?」


俺は、夢乃から渡された紙の左を見た。


“当番表!      料理  洗濯  風呂掃除”


 当番→21日(火) 風也  夢乃  ジャンケン

    22日(水) 夢乃  風也  ジャンケン   

    23日(木) 風也  夢乃  ジャンケン 



「・・・俺初日から!?」

「前日から料理のメニュー考えておかないと。 私は、まずい料理を食べる気ないから」

「誰が考えたんだよ・・・・」

「・・・よく見てっていったじゃん」


“考案 母&父”


右端に書いてあるくせ字。 絶対親父だ。


「・・・マジかよ」

「どこにも私なんて書いてませ~ん。 ってことで、はい! よろしく」

「・・ってか、このジャンケンってn「じゃあ戻るね」」


「お休み中に、お邪魔しました」


夢乃は、3年C組の廊下前からいなくなった。


「言いたいこと言って終わりかよ・・・」


相変わらず変わってない、ちょっと強引的なとこ。



夢乃らしいけど・・・



「・・・何作ればいいんだよ」


廊下で必死に料理を考えて、俺の大事な休み時間が終わってしまった。














「ごめん、ちょっと先生と話してた」

「大丈夫だよ、まだ5分しか経ってないし」

 

風也に当番表を渡してきた私は、健也と一緒に、裏庭のベンチで昼食。


「ねぇ健也」

「・・・ん??」



「私と健也が初めて会った場所って・・どこかわかる?」

「はぁっ? んなもんわかるかよ」

「え、覚えてないのっ?!」

「覚えてないんじゃなくて、それだけ思い出ありすぎて、消えたのかも」


出会った思い出消えないでしょ普通・・・。


「・・・ってか、急にどうした??」

「う、ううん」


私と健也の出会った“記憶”が健也から消えたってことは、健也の脳内で

その記憶はいらないと判断したのだろうか。


健也にとっては、ただの偶然にすぎなかったのかな。



「そういう夢乃は覚えてんの?」

「覚えてるよ・・・」

「俺、一番覚えてんの、冬休みぐらいだわ」

「・・・何かしたっけ?」


「え、覚えてないの?! 両想いになった日ぐらい覚えておけよ~」

「・・・あ、そっか。 そうだった!」


そうだよ。 


泣きながら健也に寄りすがったの・・思いだした。

「今でも疑問なんだけどさ、なんであの時泣いてたわけ?」

「・・・あぁ、確か・・・親と喧嘩しちゃって。 もう無理~って思って、健也に頼った!」

「俺は第二の親かよ・・・」

「まぁ・・・いいじゃん?」


違うよ健也。


本当はね、両想いになった日じゃないんだよ。

それに、親と喧嘩したわけじゃない。


ごめんね健也・・嘘ついてばっかりだね。


いつか、ちゃんと言うね・・・・





「あっ、そうだ夢乃。 来週の木曜日って空いてる?」

「・・・・なんで?」

「記念日の日、丁度冬休みじゃん? だから、出かけたいな~って思って」

「来週の木曜日・・・」


・・・まだ親も帰ってくる日じゃないし、大丈夫だよね。


「うん、空いてるよっ」

「よし、じゃあ木曜日な」


健也は、記念日とか、どこ行きたいとか言ってくれる。

男の子では珍しいなぁ~とは思ったけど、それがまた健也のいいところ。


来週の木曜日、すなわち12月23日。


クリスマス近いし、何かあげよっかな・・・。


そんなことを考えているうちに、昼休みも終わり、お互いに教室へ戻った。























「親父、なんとかなんないの」

「・・・俺に言うなよ」

「いやいやいや、これ考えたの親父だろ?」


その日の夜。 俺は親父が帰ってきたとともに、すぐに親父の部屋へ向かい、

当番表を見せた。


「俺だけじゃないって。 ちゃんと園子も考えたんだよ」

「・・・」


園子。 夢乃の母さんの名前だ。

そんな呼び方するんだ・・・。


「・・風也?」

「っと、とにかく。 俺、料理作れない」

「別に作らなくても、インスタントラーメンで持ち越して?」

「・・・それじゃダメなんだよ。 夢乃が」

「・・夢乃? お前が妹のこと考えるなんて・・珍しい」

「・・・う、うるさい!」


“まずい料理は食べる気ないから”


夢乃の言葉が頭から離れない。 夢乃に変な印象与えたくない。




「じゃあ・・・」











風也が真剣に料理のことで悩んでるとは知らずに、私は部屋で携帯をいじっていた。


《木曜日なんだけど、どこ行きたい?》


健也からのメールで少し戸惑う私。


《うーん・・静かな場所!》


《どこだよ(笑) 水族館とか・・・映画館?》


《いいね! でも・・・どっちもいったよね》


《確かに。 同じ場所ってのもなぁ・・・》


「健也と行ってない場所・・・」


健也に送る返信を考えていると、携帯が鳴った。


健也からのメールだった。


《遊園地、行ったことなくない?》


「・・・・あ! 遊園地だ!」


結局、二人で行ったことなかった遊園地に決定。

考えてみたら、定番の遊園地はなぜか行ったことがなかった。


「楽しみだなぁ~・・」


何を着て行こうか、健也はどんな格好なのか、何に乗るのか・・・


いろんなことを考えていた時、頭の隅から当番表の記憶がよみがえった。


「・・・木曜日」


私はベッドの上に置いてあった当番表を見た。


「・・・やば、洗濯早めにしておこ・・」


風呂掃除は・・・ジャンケンだからなんとかなる。

料理は風也だから・・・大丈夫。


「あぁ、料理だったら死んでたし」


ホッとした私は、そのままベッドにあおむけになり、当番表を右手に持って眠りについた。












「・・・よし、忘れ物なし!」


朝の6時。 母ははりきって荷物を車の中へ入れている。

今日の気温は6℃。 天気予報では晴れと言っているが、さすがにまだ日は昇っていなかった。


「っていうか、この歳で新婚旅行なんか行くかよ」

「・・・・だよね」


お母さんと風也のお父さんが荷物を詰めている時に、私と風也はその車の前で、

小声で話していた。


「ってか、どこに行くか私知らないんだけど」

「・・なんか、親父の実家行くらしい」

「・・・それ旅行って言うの?」

「・・・いわねーよな」


私と風也が小声で話している間に、もう二人は準備を済ませていた。


「じゃあ、行ってくるわね。 あ、朝ごはんは作っておいたから」

「あ、どうも」

「風也、夢乃ちゃんをしっかり守るように。 わかった?」

「うるさいな、知ってるよそんなもん」

「夢乃、何かあったら電話していいからね? あと、お土産もちゃんと買ってくるから」

「あ、うん」


「あとね夢乃・・・」

「あ、そうだ風也」


二人が同時に話し始めた。 家事だの料理だの・・・


「「(・・・なんて親バカなんだこの人たち)」」


きっと風也もそう思っただろう。 だってもうあきれた顔してうなずいているから。


「あのー・・・もういいんで、いってらっしゃい」


風也の一言で、二人は顔を見合わせ、車に乗った。


「あぁ、マジでうるさかった」

「とりあえず、手を振っておかないと」


私と風也は、右手を顔の近くに、手を振った。

さすがに真顔だと怖いので、少しの苦笑い。


車のエンジン音がなり、徐々に車が私達から離れて行く。


私と風也は、車が見えなくなるまで、ひたすら手を振った。


「・・・よし、いなくなった」

「・・・ってか、学校やばくない?」


私は携帯を開いた。


「・・・6時30分」

「・・・あと10分で駅に行かないと、バスに乗れないぞ?」

「・・・え、遅刻じゃん!!!」


私と風也は急いで戻り、制服に着替えて、朝食抜きで学校へと向かった。


「夢乃、早くしろ!!」

「え、先に行ってていいよ?」


「お前が遅刻したら、俺の恥」

「・・・はぁ?!」


私の腕をつかんで、颯爽と走っていく風也。


「お前が遅れたらクラス中にお前の話がでるんだよ。 面倒くさい」

「妹の話して面倒くさいって失礼な!!」


少しきつい言葉を言う風也だけど


久しぶりに一緒に登校できたことが


少し嬉しく思えた。


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