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Love a lie  作者: しいな
2/7

第1話 前篇

季節は秋。


少し肌寒いと感じてくる。 首に巻いているマフラーで顔をうずくめる私。


校庭には、赤やオレンジの葉がはらはらと落ちていた。


「寒っ」


‘相沢 夢乃’と書かれた下駄箱から靴を取り出し、履き替える。


「あっ、健也」


昇降口で待っていた健也を見て、私は急ぎ足でくつをはいた。



「急がなくても大丈夫だよ?」

「ううん、待たせちゃ悪いし」


「今日、どこ行く?」

「ん~・・あ、プリクラ!」

「よし、けってーいっ!」


健也は私の手をぎゅっと握りしめて、歩く速度を少し早めた。


健也の手のぬくもりを感じるたび、寒さはしのいでいく。


思えば、なんで健也と出会ったのか・・・。





部活が一緒にでもない、委員会も全然違う。


お互い見知らぬ人だった。


でも、文化祭の日を境に、私達は出会った。


「あの・・・写真部の喫茶店って、どこかわかる?」

「あ、この廊下を右に・・・」

「・・・ごめん、俺転入したばっかで、まだ学校慣れていないんだよね」


笑いながら答える君の顔は、今でも忘れない。

とてもキラキラしていた。

ついつい私も頬がゆるんでしまい、笑顔になってしまうくらい。


・・・まぁ、健也に道を聞かれただけなんだけど。




その日以来、私と健也は廊下ですれ違うたびに挨拶を交わすようになった。


お互いの学年を知り、話すようになるのは、そう長くはなかった。


あれから1年。


そうなると、もう早い気がする。


大好き。


ただ、この好きという気持ちはどこか違うようで。


「・・夢乃?」


「・・えっ? あ、ごめんボーっとしてた」


私は、ふぅにいからもらった150円を健也に渡した。


「・・・夢乃、あと50円」

「・・・え!? 嘘! 間違えた・・・」

「もしかして、100円ないの? 今日は俺が払うよ」


そういって、健也は私の手に150円をそっとおいて、財布から100円を取り出した。


「ごめん・・・」

「はいはい気にしないの」


健也の優しさに、私は少し切なさを感じていた。


「・・・何かあったの?」

「ううん! 何でもないよーっ」


プリクラに写っていた私の笑顔は、1年前とは何か違っていた。








「はいっ」

「ありがと~っ」 


プリクラを取り終えた私達は、外に出て近くのベンチに座った。


健也からもらった温かいコーヒーを、冷たい私の手でくるんだ。


「そういえばさ」

「ん?」


「俺と夢乃が付き合って・・もう1年経つんじゃない?」


「そっかぁ・・・もう1年か」


と言いながら、私は1年前の頃を思い出していた。


あの頃は、自分でもよくわからなかった。


あの時から、自分の気持ちに嘘をつき始めたのかもしれない。


「今度さ、休みあったら・・どっか行かない?」

「うんっ、行こ」


私は、健也の手のぬくもりを感じながら、また歩き始めた。



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