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とりあえず…変態が自分の世界に浸っている間に、逃げなくては。
ベッドから飛び降りた私は、さっき確認した玄関のドアまで、一目散に駆ける。
後ろから、「あっ」って聞こえた気がするけど、もう遅い。私はドアに手をかけている。
逃げなきゃっ…
ドアノブを握る。(あ、もしかして鍵かかってたかも!やばい、鍵解除する時間すらもったいないのに…)と内心焦った。
私は一瞬でも早くここから(あの変態から)逃げたい。
ガチャッ…
あ、開いた!?もし鍵かかってたら…ってヒヤリとしたけど、ドアは簡単に開いた。
逃げなきゃ―――――
勢いあまって、ドアが跳ね返ってくる程の力で、押し開けた。ドアの向こうは、
毎日私が自分の部屋から見る風景と、同じでした。
あ、あれえ?
一瞬、ほけっとする。え、ここ私の部屋だったの?…まさか!今日朝に家を出た時にはまだ、普通だったはず…
頭が真っ白になった私は、ドアを開けたポーズのまま玄関に立ち尽くした。
「知恵里が入学したと同時に、引っ越してきた。知恵里の部屋で暮らそうと思ったが…お隣さん、という響きも捨てがたくてな。隣を借りた。」
後ろから、ぎゅっと抱き締められる。
「へ?お隣さん…?」
―隣か。隣だったのか。道理で玄関開けても同じ景色が広がってる訳だ。
あ、よく見るとお向かいの家の角度が若干違うような…
しかも私の部屋に住む気だったの!?何家主に承諾なく計画しちゃってるの!?
じゃなかった、また捕まってるし私!
「離して!ひやぁっ、や、やめてよ変態!」
お腹に腕を回されて、大きな手ですりすりと撫でられる。首筋をぺろりと舐められ、その後ちゅうっ、と吸い付かれる。うう、鳥肌が…
もしかして、もしかしなくとも、これが貞操の危機ってやつでしょうか。
生まれてからずっと色恋に興味がなかったとはいえ、大事に大事に守ってきた処女を、こんな変態に奪われていいの?そんなの、いいわけないっ!
「この不埒な手を離しなさいっ!」
力の限り暴れる。なのに、全然びくともしない。肘でお腹をどついても、爪先を脛に叩き込んでも、ふうっ、と息が漏れるだけ。変態の癖にっ…
どんなに暴れても、私を閉じ込める手は緩まない。…逃げられないっ!
私、このままこの変態にどうにかされてしまうの…?