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「……………はい?」
「…それは、承諾してくれたと受け取って良いのか」
がばっと、頭を上げるイケメン。
いやいや、結婚とか嘘でしょう。なんだかおかしい方向へ進んでないですか。
「えっと、話がわからないんだけど…」
あれ、いつの間にか、イケメンがじりじり迫ってきてる。
ベッド上で後ろに逃げたはずが、とん、と背中が壁にぶつかる。
やばいかも…
今さらながら、逃げ場を探して部屋を見渡す。
白と黒で統一された、生活感のない殺風景な部屋。
奥の方に、茶色のドアが見えた。
あれは…玄関だ!あそこから逃げられる!
どうやら、ここはワンルームアパートの一室らしい。ずっと目の前のイケメンから目が離せなかったから、今頃周りの様子が頭に入ってくる。
逃げなきゃ、と体を起こそうとした瞬間。
とん、と肩を優しく壁に押さえつけられた。
はっとして私を壁に押し付ける腕の先を見ると。
ギラギラした、熱い眼差しとかち合った。
一瞬、その眼差しの強さに見とれて――捕まった、と思ってしまった。体がびくりと硬直するのがわかった。
だからなのかも、しれない。
「知恵里…」
掠れた声と共に、もう一度唇を重ねるのを許してしまったのは。




