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親鳥の奏でた純粋なる旋律

本日2話投稿です。これはその2話目です。

 〇月×日 △曜日


 これは決して誰にも見せない私の本当の心。自分勝手で醜い本性はその性質通りに隠し通すことにします。そうですね、今これを書いている時に思い浮かんだのですが、山奥でこっそり燃やしておくなんていうのはどうでしょう。もちろん、私の一部……よくお客さまに褒められた、この長い栗色の髪少量と共に。そうすれば、たとえ眠りにつく場所が違くても、この魂の叫びは、無に帰してもなお私と共に在れるでしょう。


 私はこんな世界大嫌いです。いっそのこと滅んでしまえばいいのにとさえ思います。いつもいつも、この世界は私に酷い嫌がらせをするのです。

 あんな過酷な環境で生まれ育ったのはまだマシな方です。問題なのは、この世は汚い世界で満ち溢れていると信じきっていた私に、ただひとつ、美しいものを見せたこと。そしてそれさえも手に入らない現実を徹底的に知らしめてきたこと。あの件は私に非があるのは自覚してます。私の頭が悪いから、私に常識がないから、エドガーを怒らせてしまったなんてことは知ってる。だからこそ、どうして私と彼を出会わせたのですか。届かない輝きを間近にあると錯覚させたのですか。どうしてこの世に綺麗なものが存在すると教えたのですか。私の世界に一時的に希望を与えたのはいったいなんのためだったの?


 嫌い、嫌い、もう全てが嫌いです。私たちを捨ててどこかへ行ったお母さんも、あの劣悪な環境の最たる原因であるお父さんも、私に守られてきたのに今となっては私より何もかもできる弟も、私に特別な感情とこの世の美しさを教えて消えていったエドガーも、こんな自分自身も、汚いくせに美しい部分も持ってるこの世界も。

 ああでも、昨日砂浜で会った女の子は違います。あの子はなんだか凄く寂しそうでした。あの日あの場所で出会ったのもきっと何かの縁でしょうから……名も知らぬあの子には祈りを捧げます。どうかその心を痛ませている呪縛から解放されて、できるだけこの世の綺麗な部分に触れながら生きていけるようになれることを。


 ……なんだか自分で書いていて馬鹿らしくなってきました。この記録をもう今すぐにでも燃やしてやりたいくらい。

 私は決して綺麗な存在ではなくて、醜悪な心の持ち主だってことを、この酷い世界に知らしめてやりたかった。でも、もういいのです。私はもう一つの本心と共に眠ることを決めたのですから。


 どこまでも矛盾しきっているという自覚はさすがの私でもあります。それでもこの感情、というよりも情熱を誤魔化し制御することなど、とうにできなかったのです。

 どうか彼の心の中が、私の全てで染まりますように。

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