2章3 過去から来た旦那さん3 ※
R15程度の過激な表現あり
陰陽師を退魔師連合に突き出し、ようやく静けさを取り戻した夜。
月明かりに照らされた部屋で、私は目の前にいる十九歳の旦那さんを見つめていた。
さっきまで戦っていたのに、彼は少し疲れた顔で、だけどどこか誇らしげに私を見返してくる。その姿が、どうしようもなく愛おしかった。
「今日は頑張ったね」
そっと肩に触れると、彼は照れくさそうに笑った。
沈黙が落ちる。窓の外では虫の声が続いているのに、部屋の中はやけに静かで、心臓の音ばかりが響いている気がした。
私は迷うように、一歩近づいた。彼も動かずに立っている。まるで、この後を私に委ねるように。
「旦那さん……やっぱり、あなたはあなただ」
思わず口に出てしまう。
顔を上げた彼と視線が合い、次の瞬間には唇が触れ合っていた。短いキス。けれど、離れると名残惜しくて、もう一度。今度は少し長く。
彼はくすぐったそうに笑い、私はその笑顔に胸を締め付けられる。
触れた指先が熱を帯びて、互いに距離を縮めていく。肩を抱き、髪を撫で、何度も重ねるキスに呼吸が乱れていく。
――そしてその先に何があったのかは、二人だけの秘密。
夜が白み始める頃、私は彼の胸に頬を預けながら囁いた。
「これから、私色に染めていくからね」
彼は眠そうに「うん」と答え、その返事に小さく笑う。
私の心は確かに決まっていた。彼となら、何度でも恋をするのだと。