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1章4 蜜月の妖狐 ※

R15くらいの過激描写注意

陰陽師襲撃を切り抜けたあと、彼女を家まで送り届ける。

ひと仕事終えた安心感と、どこかまだ昂ぶった心臓の音。


外に出ると、夜空には雲ひとつなく、月が冴え冴えと浮かんでいた。

「……月、綺麗だね」

杏里がぽつりと呟く。


その横顔は、昼間の無邪気な巫女姿とも違い、戦いの最中に見せた凛々しさとも違う。

金色の光が瞳に淡く宿り、耳の先がちらりと覗いていた。

月明かりに照らされたその仕草は、人間離れした美しさで――まるで夜そのものが形をとったかのようだった。


旦那さんは思わず笑う。

「やっぱり、杏里さんって……反則級だよな」


彼女は頬に朱を浮かべながら、けれど妖艶に微笑んだ。

「そう? だったら……もっと反則、してもいい?」


――月の下で、二人の距離は自然と近づいていった。


帰宅後、


「旦那さん、しよ?」

唇が離れると吐息混じりに尋ねる杏里さんの瞳は金色に光っていた。


「杏里さん、準備はいい?」


そう答えると彼女の九本の尻尾がゆっくり揺れ始めた。一本一本が意思を持つかのように優雅に動く様子は妖艶そのものだった。


「うふふ……わっちもじゃ」

再び近づく唇を受け止めると、今度はより深く舌を絡め合う。甘い唾液が混ざり合うたびに体中の感覚が研ぎ澄まされていく気がした。


「んっ……あ……」

俺の胸元に痛みではなく快感が走る。


「跡が残るように強めに吸うよ?」

そう言うと彼女は私の肩に軽く歯を立てた後、ゆっくりと肌を吸い上げていく。痛みとも快感とも言えない独特の感覚。


「わっちにも同じところにほしいな…」

彼女が満足そうに離すと赤紫色の痕跡が浮かんでいた。


その後も互いに身体中を探り合いながら何度も愛し合った。時間など忘れるほど夢中になって……





夜明け前。

部屋の窓から差し込む月明かりが薄れて、代わりに白んだ空が広がっていた。


杏里はシーツにくるまり、眠そうに目をこすっている。

長い髪は乱れて、頬にはまだ熱の名残があった。

「……旦那さん、よく頑張りました。わっち、もうぐったりだよ」

半分拗ねたように笑うその声に、旦那さんは苦笑する。


床に転がる上着や帯が、昨夜の出来事を雄弁に物語っていた。

彼はそれらを拾いながら、そっと彼女の額に手を当てる。

「熱、出てないな。……でも、無理はさせたかも」


杏里はシーツの中でくすりと笑った。

「無理なんかじゃないよ。旦那さんと一緒だから……ね」


そう言って彼女は彼の腕を引き寄せ、もう一度抱きしめる。

その温もりは、昨夜の余韻とこれからへの予感を、静かに伝えていた。


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