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零界を旅する一般人  作者: 獏麒


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4.魔境を駆ける風


 海斗がダルニャータに導かれて森を抜けるころ、日はすでに傾きかけていた。

 先ほどまで聞こえていた多様な魔物の鳴き声も、今では遠くの山影へと消えている。


「助けてくれて、本当にありがとう。あの……ダルニャータさん、で、いいのか?」

「ニャはは、かしこまらなくていいニャ。さんはいらないニャ」

「……じゃあ、ダルニャータ。助かったよ。

というか、色々ツッコミたいことがあるけど……とりあえず、俺、生きてるのが奇跡だな」

「奇跡というより、縁ニャな。縁は風と同じニャ。予想もできんところから吹くものニャ」


 ダルニャータは陽光を背に、ふと立ち止まる。

 風の音に混じって、低く唸るエンジン音が近づいてきた。


「……お、来たニャ。あれが我が愛しの妻、シルヴィーだニャ」


 木々の間を割るように、銀色の閃光が滑り込んできた。

 轟音と共に現れたのは、大型の魔導バイク。

 エンジンの脇には魔法陣が刻まれ、後方には観測用の小型ドローンがふわりと浮かんでいる。


「良かった、間にあったのね。ダル、ありがとう」

 ハーフヘルメットとゴーグルを外しながら、女性がため息をついた。

 真紅の長髪に、射抜くような金の瞳。

 金属のパーツが部分的に付いたライダースーツ。

 背中に長銃、脚には厚手のブーツ。


 

「妻よ、吾輩とても頑張ったニャ」

「はいはい。……で、あんたが今回の落人?」


 海斗は呆気にとられたまま頷く。

 スナイパーのような目をした女性がじろりと見つめる。

 視線の強さに、思わず姿勢を正した。


「ふむ……人族、魔力反応ほぼゼロ、装備は一般服……落ち人確定ね」

「いや、なんでそんな冷静に分析できるんですか!?」

「職業柄よ。こういうの慣れてるの」


 シルヴィーが笑うと同時に、ダルニャータがひょいと海斗の肩を叩いた。

「心配いらんニャ。我輩もシルヴィーも依頼を受けただけニャ。

――君を拾えと命じたのは、ある“教授”ニャ」


「教授……?」

「エリカ・ランディーニ博士ニャ。

世界でもっとも面倒で、もっとも賢い女ニャ」

「いや、それどういう評価!?」

「褒め言葉ニャ。半分は」


 シルヴィーがバイクを止め、軽く合図する。

「乗りなさい。細かい話は走りながらにするわ。

ここ、夜になると地形が変わるの」

「地形が……変わる?」

「ええ。重力流と魔力濃度の干渉で、地面が“流動”するの。

それに、崖がねじれ、空気が反転して、同じ場所でも“上下”が変わるわ。

だから魔境って呼ばれてるのよ」


 海斗は呆然としたまま、ダルニャータに背中を押されてバイクの後部座席に乗り込む。

 風を切る音。

 見上げた空に、見たことのない二つの月が浮かんでいた。


 ダルニャータがふっと笑う。

「ようこそニャ、落人。ここが“第零階梯世界――オリジン――”ニャ」


 海斗は何も言えず、ただその光景を見つめていた。

 遠ざかる森。金色に染まる峡谷の影。

 その世界の名が、静かに彼の心に刻まれた。


読んでくださりありがとうございます。

とりあえず今日はここまで!

次回もお時間をいただけると嬉しいです。


応援してやるっという素敵な方は

レビューとか評価とかブックマークとかしていただくと

作者が泣いて興奮して喜びます。あと、更新が早まるかもです。よろしくお願い致します。

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