南の森へ
「スライムはねぇ、かわいいけどぉ、あぶない!」
そう答えるのは幼女ルーパオ。
オレはあの後、何とか幼女を説得して南の森への案内をしてもらっている。
今は幼女が持っているビンに入れられて移動中だ。時々頭がビンの蓋に当たって痛い。
---スライムってどんなかたちをしているの?---
「うーとねぇ、ねばねばしててぇ、きしょい!」
なんとも的をえない解答だ。
「うんこもぉ、はやくもりにかえってぇ、おかあさんにあえるといいね!」
ちなみにオレは南の森出身のうんこという設定だ。
何度も元人間だと説明したが、幼女の頭上の?マークが消える事はなかった。
手を変え品を変え説得する内に、オレは人間の街に迷い込んだ喋れるうんこということになった。
何故そうなったのかは分からない。
「うんこのおかあさんってぇ、にんげん?それともおしっこ?」
---うんとね、おしっこだよ---
そんな会話をしていると街の門が見えてくる。
2メートル位の高さの外壁と門。
そこには2人の門番が立っていた。
一応ここは首都だとダイス(宿屋のおっちゃん)から聞いていたが、首都にしては質素な作りに見えた。
「おー、ルーパオちゃんじゃないか!どうしたんだこんな所で。勇者のパレードは見なかったんかな?」
「ぱれーど、みたぉ!ゆうしゃぉ、かっこよかった!」
「おーそうかい。よかったねぇ!それじゃ、ルーパオちゃん。お家に帰っておじいちゃんにパレードの事を話さなきゃね!」
「うんぉ!でも、おっちゃん。みなみのもりに、うんこ、かえさなきゃ!」
キラキラした目の幼女ルーパオがビンに入ったオレを門番に掲げる。
門番2人は顔を見合わせて困惑した表情。
「さてはルーパオちゃん。またまた街の外に出ようとしてるだろう。ダメだよ。何度も言ってるけど南の森は危ないんだ。怖いモンスターもいるんだぞ!そんな汚い物を見せたって門は開けないよ」
「ちがうよぉ、うんこがかえりたいんだぉ、おかあさんとあえなくなっちゃうよぉ」
門番を説得する幼女。しかし駄目そうだ。
さて、どうしたものか。待ちに待った外への冒険はまだ始まらないみたいだ。
一旦ダイスの宿屋へ帰るか。
そういえばドラ◯エでもこんな風にフラグが進んでないと街の外に出られない事あるよななんて思った時だった。
「そうだ!ルーパオちゃん。うんこを森に返したいんだったらこうすればいいかな?」
そう言うと門番はオレが入ったビンを手に持った。
そして思いっきりビンを投げた。
ビンに入ったオレの視界はぐるぐる回る。
そのまま門を越えて空高く舞う。
「ばいばーい、うんこぉ!またあおうねぇ!」
手を振り笑顔満開の幼女の声を聞きながら、オレは転生してから何回目かの落下をするのであった。




