理想と現実
勇者のスピーチが終わって興奮した様子でリポーターが話す。
「以上が勇者と賢者ルルアさんのスピーチでした!いやーもう私も感激ですよ!流石この街の平和を守った希望の光です!この1週間で数々の感動と驚きを我々に届けてくれた勇者ですが、明日には北東の魔王軍討伐に行くみたいです!北東部きは魔王軍との防衛の要、ギルグライン城があります。現在、激しい攻撃を受けているので、勇者の力で戦況を覆して欲しいです!」
どうやら勇者様は北東に行くようだ。
いいなぁ。
ふと思う。俺も勇者のように輝かしい活躍をして皆にキャーキャー言われたかった。
でも俺はうんこ。しかもドアを開けるだけでHPが1になるうんこだ。
黄昏れてるとダイスが話しかけてくる。
「これが勇者の活躍だ。いやー凄いなぁ!おいおい、どうした?さっきから無言で。まあ、同じ転生者でもかたや勇者、かたやうんこだもんな。でも落ち込むなよ!お前も一応は勇者として召喚される筈だったんだから、トンデモねぇ才能があるかもしれねぇ!そうだ、ステータスでも見せてみろ!」
と言う宿屋のおっちゃん、ダイス。
ステータスは自分だけでなく相手にも見せることが出来るのか。ちょっと恥ずかしいな。
---うんこ!---
情けない発言と共に飛び出すステータス画面。
ダイスは最初は真剣な顔でステータスを見ていたが、終わりの頃には残念な表情になっていた。
「まあ、そのなんだ。お前は大器晩成なのかもしれないなぁ。」
さっきまでガハガハ笑ってた奴とは思えない程のセリフ。
そうか、そんなに俺は絶望的なステなのか。
---まあまあ、おっさん。落ち込むなよ。俺はうんこだが、凄まじい才能を秘めてるかもしれねぇ。そうだ!レベル上げだ!レベル上げをしたら凄まじいステータスの伸びがあるかもしれない。---
テレパシーしながら興奮する俺。
そうだ!レベルアップだ!これはあれだ!ドラク◯のスライムみたいにレベルアップが早くてステータスの伸びがいいタイプかもしれない。
「レベル上げか。そこら辺の話はルルアが帰ってきてからだな。まあ取り敢えずは落ち着け。お前さんのHPは何故か1だし」
そう言いながら腰のポケットに手を突っ込むダイス。取り出したのは草。
「これは薬草だ。普通は口に含んだら回復するんだが、うんこはどうすればいいんだ?」
---わからんが、ルルアさんは石ころを俺に突っ込みましたよ。---
ああ、マジックアイテムか。
そう呟きながら薬草を俺に突っ込むダイス。
苦虫を噛み潰したような表情をしてる。やめてよ、その表情。
俺の体内?に薬草が挿入されていく。
食感などはないのだが、体がドクドクしながら薬草を分解していくのを感じる。
「ガッハッハ!驚いたぁ。お前ちゃんと薬草食えるんだな。HPも戻ってるぞ!」
無事HPが戻った俺。そういえば体のズキズキが無くなった気がする。
一段落した所でふと湧いた疑問をダイスにぶつける。
---そういえば、この世界でHPが0になったらどうなるんだ?---
「いや、お前どうなるもこうなるもねぇだろう。
4ぬだけさ」




