呟きその2・名付け
俺の名は、「うたたん」、一匹のウサギだ。
雄ゆえに、ちゃんとタマタマも付いとる。
現在の飼い主の元に来てやった時、俺の大きさは蜜柑二つ分だった。
当然、名前もなかった。
飼い主は最初、「うさちゃん、可愛いうさちゃん」などと言っておった。
こりゃあそのまま「うさ」とか「うー」とか呼ばれるかもしれんな。
ありがちだが、まあ良いや。
飼い主は、占いとか、お祓いとかが好きらしい。
『手相の生命線の長さと寿命の相関を、ビッグデータから検証する』
みたいな研究をしているのだが……。
そんな論文、誰が読むんだろ?
ともかく、ヤツは俺の名前を、姓名判断で決めようとしていた。
「セイヤは漢字にすると、画数がちょっと……。ケンシロウだと漢字が可愛くないし……」
当たり付きの棒アイス食べながら、ブツブツ言う飼い主。
いや、漢字で書くとかないから、俺。タップは出来ても、ペン持てないから。
「うーん。ライトとかタンジロウにしたら、何か召喚しそうだし」
悪魔とか鬼とか、召喚して欲しいのか?
「ねえ、何が良い? うさ、痛っ」
飼い主は舌を噛んだ。
結果、滑舌が悪くなり、俺の名を「うたたん」と呼ぶようになり、今日に至る。
姓名判断、関係なくね?
※ジャンルはローファン。フィクションですよ~~