バディはナイスな方が良い〜相棒は女子高生?〜
砂に覆われた世界で、砂蟲という謎の怪物が闊歩する中トレジャーハンターのルディは今日も相棒アイリスと廃墟を漁る。
癖の強いおっさんのルディは更に癖の強い相棒アイリスに振り回され、窮地に立たされる事に。
二人は無事にお宝を持ち帰る事ができるのか?
ルディは平穏な日々を手に入れたい中アイリスは先生との禁断の恋を目指して……。
奇妙な二人のドタバタ活劇短編、どうぞご覧あれ。
「今日はだいたいこんなもんかな。そろそろ引き上げるぞ」
「えー、まだ面白そうな物ありそうなのにー」
「これ以上暗くなると蟲が活動的になるからな。この前みたいに砂蟲に齧られたいのか?」
「ひえーっ、涎でぐちゃぐちゃになったの思い出したーっ」
崩壊した都市だったであろうその場所は、高層ビルらしき建物が不自然に傾き、そしてその半分以上が砂に埋もれている。
二百年ほど前まではこの場所で人々が生活していたのだろうが、最早その面影は瓦礫と、その中から稀に発見される遺物にしか残されていない。
いつ、何が理由で都市が、国が、世界が砂に埋もれてしまったのか。それを知る人は誰もいない。
そして、癖っ毛なもじゃもじゃ頭を整える訳でもなくお洒落に気を使うという概念を欠損している長身細身の無精髭な盗掘……もといトレジャーハンターのルディという男は世界の事情や秘密になど一切の興味が無かった。
「この辺は建物の瓦礫が多いからな。どこから蟲が出て来るかわからん。早く撤収するぞ」
「はぁーい」
三十代後半、自称ナイスミドルのルディの後ろをついてぴょんぴょん飛び跳ねているのが学校に通っている訳でもないのに前時代的な学生特有のセーラー服なる物を身に纏う少女アイリス。
黒髪のロングヘアーを前髪ぱっつんに揃え、短めのスカートから華奢な白い肌を大胆に晒している天真爛漫すぎる所が玉に瑕どころか致命傷な少女だ。
文明が崩壊し日々砂に浸食されていく世界で前時代の遺物を売り日銭を稼ぐ。
こんな連中はこの時代珍しいものでは無いが、ここまで異色な組み合わせは他にいないだろう。
「せんせー、今日の報酬が入ったらね、私行きたい所があるの」
「勝手に行けばいいだろうが」
「せんせーと行きたいの!」
「はぁ? どうせろくな場所じゃないだろうが考えとく。あとな、いつも言ってるがなんで俺が先生なんだよ俺は学者でも文豪でもねぇぞ? うちのジジイじゃあるまいし」
「せんせーはせんせーっぽいからせんせーなの。んで私は生徒ね。ちなみに行きたい場所は葉桜の丘だよ♪ 知ってる?」
ルディはその言葉を聞いて額に手を当て大きなため息をついた。
「意味が分からん。そして俺がなぜお前と今話題のデートスポットに行かにゃならんのだ」
「デートだからだよ? いい加減そろそろ付き合ってくれたっていいじゃん!」
「買い物くらいなら付き合ってやってもいいがそこは……」
そう言いかけてルディは気付く。アイリスが言っている【付き合って】の意味が違った。
「お前まだそんな事言ってるのか?」
「結婚でもいいよ?」
再びルディはやれやれと大きなため息をついた。何故だかアイリスはこうやって事あるごとにルディにアタックを繰り返している。
「馬鹿め。もっとナイスバディになってから出直してこい。お前には一生かかっても無理な話だがな」
「ぶーっ! また子供扱いしてーっ!!」
突然アイリスが飛びかかってきたので驚いたルディは「ひっ」とその場に屈む。
しかしそれはルディに対してではなく、背後に迫っていた異形に向けてだ。
人より少し大きめの個体。異形。
ムカデのような姿の砂蟲だった。
ルディが大げさに驚いたのには理由がある。
アイリスの拳が砂蟲を捉えると、まるで風船が弾けるがごとくあっさりと砂蟲の頭部が破裂する。
恐ろしく怪力なのだ。いや、力だけではなく彼女の身体能力は尋常では無い。
もしルディの顔面にこの拳が叩き込まれるような事があれば先ほどの砂蟲と同じ末路を辿る事になる。
「えへへー♪ 油断大敵だぞっ」
アイリスはへたりこんだルディの鼻先を人差し指でつん、とつついた。砂蟲の体液まみれの指で。
「くっせーんだよ!!」
ルディは腰からぶら下げた銃を抜き、アイリスへ向けて発砲。
「よっと♪」
アイリスは何事も無いように僅かに顔を横に動かして銃弾をかわす。
「もー、このかっわいい顔に傷でもついたらどーしてくれるの? あっ、責任とって結婚?」
「馬鹿か。気付いてたくせに」
勿論ルディはアイリスを狙った訳ではなく、その背後に迫っていた別の砂蟲を撃っただけだ。
その軌道上にアイリスがいたのも事実ではあるが、彼女ならその程度避けると分かっているし、背後から砂蟲が迫っていた事も気付いていたのだと知っている。
「銃弾だって安くねぇんだから無駄撃ちさせんな」
彼の扱う銃はずんぐりむっくりとした、あまり格好のいい物ではなかったが特殊な炸裂弾を使い分ける事が出来る特別製だった。その分銃弾も自作する必要があり、勿論費用がかかる。
「えへへー。でも確かに蟲が動き出してきたね。あまりデカいのが出る前に帰らなきゃ」
二人は辺りを警戒しつつ、少し離れた場所に停めておいた年代物の埃っぽいバギータイプの車に乗り込む。
「これでシートがもっとふかふかだったら快適なドライブなのになー」
「贅沢言うんじゃねぇ。こんな古い車がまだ動いてるだけでもありがてぇんだからよ」
状態の良い車が発見される事自体がとても珍しい事なのだが、こうして動く車となると本当に稀少だった。
元々はルディの祖父の持ち物だったが、燃料を用意するのが難しく長い事倉庫に眠っていた。
ルディがそれを小さい頃から少しずつ改修し、今では電気で動くようになっている。
バッテリーをあらかじめ充電しておき、移動中に太陽光で追加充電する事で可能な限り稼働時間を長く設計してある。
とはいえ限界はあるので予備のバッテリーも用意はしてあるが、この時代充電用の電力を賄うのも一苦労なので遠征したならそれなりに遺物を回収し元が取れるようにしなければならない。
移動手段を持っているが故に一般的なトレジャーハンターよりも出費は多かった。彼の場合出費が多いのはそれだけが理由では無いのだが。
砂の廃墟を抜け、一面に広がる砂漠を走る事二時間あまりで自宅のある街へと帰宅。
街、といっても文化的な暮らしはほぼ無く、比較的建物が原型をとどめている地域に無理矢理住み着いているにすぎない。
明確な自宅を有している者は少なく、住人のほとんどは夜になると闇の中で過ごしている。
この街では発電機を所持している事がある程度のステータスになるほどだった。
その発電機も日中に太陽光で蓄えた電力を使っているので長くはもたない。
電力で電力を作るという不毛な状態だが、現状この街で夜に明かりを得るにはそれしか方法が無かった。
ルディ宅を除いては。
ぶぼぼぼ……という発電機の耳障りな音を潜り抜け、ボロボロの倉庫に到着するとルディは辺りをキョロキョロと見回して人の目が無い事を確認し、車を収納し倉庫の扉を閉めたあと、壁の溝に隠された小さなスイッチを押す。
するとガゴゴッという音とともに車ごと地面に吸い込まれていく。
「なぁーんでこんなに凄い施設持ってるのに私達は貧乏なの……?」
「うるせぇなぁ。いろいろ金がかかるんだよ」
エレベーターが到着した先こそが祖父の残した倉庫。地上にある倉庫とは比べ物にならないほどしっかりした作りで、照明もついている。
倉庫の奥にある扉は自宅へと続いているが、その自宅、自室は生活スペースが少なめだった。
生活の快適さを考慮せず、その他の必要な設備に場所を割いた作りだった。
「やっぱ狭くても汚くても我が家がおちつくわー♪」
「狭くて汚いは余計だ畜生め」
倉庫や自室、その他諸々に必要な電力がどうやって賄われているのか、正直ルディは正確に把握していない。
ルディは物心ついた時からここで育ち、それが当然だったので気にした事も無かったし、万が一ここの設備に不備が出た時自分ではどうする事も出来ないのだと理解している。
その万が一が起きる前にその仕組みを把握し、自力で修復できるよう理解するのがルディの当面の目標だった。
「あのジジィなんの説明もせずにいっちまいやがって……」
「ねー今日のジャンクってどのくらいのお金になるかなー?」
ソファの上に転がって目を輝かせているアイリスを足でげしげしと隅に追いやって隣に座りコーヒーを一口。
「あっ、ズルい私のはー?」
「おめぇには理解出来ない味だよ」
「ケチ!」
「なんとでも言え」
コーヒー片手に戦利品を検めると、現地では気付かなかった細かい傷や損傷が目立つ。
「……こりゃ大した額にならねぇな」
「えー……。ねぇ、やっぱりアレ行こうよ。余裕無いんでしょ?」
ルディは「ダメだ」と切り捨てる。
アイリスが言っているのは、以前金持ちの好事家が依頼してきたヤバそうな案件の事で、平穏に生きていければそれでいいルディとしては出来るだけ関わりたくない案件だった。
その為、詳しい話を聞く前に断ってしまったのだ。
「お金あればもっと楽できるのになぁ……」
「俺達みたいなのは欲張っちゃダメなんだよ。身の程ってもんがあんのさ。それにな、新規発見された遺跡なんて中がどんな状況かもわかねぇんだ。そんなのある程度調べ尽くされて内部地図が出回るようになってからでいいんだよ」
「それじゃ高価なジャンク持ってかれた後じゃん」
「それくらいが俺達にはちょうどいいの」
「そんなもんかなぁ?」
「そんなもん、だよ」
天井を見上げるようにグイっとコーヒーを飲み干す。
後になって思えば、この時アイリスが納得せずほっぺたを膨らませていた事をもう少し懸念すべきだったかもしれない。
そうすれば数ヶ月後、アイリスが勝手に受けてきた【ちょろい依頼】とやらにももう少し警戒心を持てたかもしれなかったのに。
つまりは、
「テメェ、やりやがったな!?」
「だってこんな事になるとは思わなかったんだもん!!」
ルディは騙された。
アイリスが勝手に例の金持ちからあの依頼を受けてきたのだ。
正確にはルディもそれは分かっていた。分かってはいたのだ。
しかし、あれから数ヶ月経過していた事と、アイリスがそれなりにまともな内部地図を持って来た事ですっかり警戒を解いてしまっていた。
もうそれなりに開拓された遺跡なのだと。
しかしその実、アイリスが気合入れて作った偽の地図、そして全く手つかずのままの遺跡。
来てしまった以上少しは探索していくかと欲を出してしまったのはルディも反省すべき点だった。
その全てが絡み合って今現在二人は廃墟の中で大量の砂蟲に追いかけまわされている。
遺物に関してはそれなりの数回収できたのが唯一の救いか。
「おいお前のせいだろなんとかしろ!」
「無理無理無理無理ぃぃぃっ! 数多すぎだってばーっ!」
走りながら背後をチラリと見ると人の頭部程度の大きさのダンゴムシみたいなのがまるでゴキブリのような速さで追いかけてくる。しかも地面を埋め尽くす程の大群で、だ。
「くそっ、このままじゃ追い付かれるぞ……!」
「私が悪かったからアレなんとかしてぇぇっ!」
しかも迂闊にも廃墟の中を地下に向かって進んでしまっている所を背後から襲撃されたのでどんどん奥へ追い込まれている。
「ちっ……、ほんとはこんな地下で使っちゃダメなんだが……もし俺が酸欠で死んだらお前の事祟るからな!?」
ルディは腰にぶら下げたずんぐりむっくりした銃に、まるで飲料の缶のような形状のカートリッジを挿入し、振り返ると同時に発砲。
「くらいやがれっ!!」
発射された銃弾が地面に着弾するやいなやその場に大きく火柱があがる。
……だけではなく、蟲の表面のぬめぬめした油分に引火して……。
ぼんっ、と爆発した。
勿論ルディはそこまで想定していない。完全なる事故だった。
地下空間で蟲の嫌う炎を使うのは、効果的であるとともに酸素を奪う為使用者側にも危険があるのだが、これは既にそういう次元の問題ではなかった。
悲鳴をあげる余裕もなく爆風に吹き飛ばされ細い通路を勢いよく転げまわる……と思いきや、ルディは思ったよりも身体にダメージが無い事に気付く。
「せんせー、だいじょうぶ?」
「あ、あぁ……受け止めてくれたのか。助かっ……お、おいお前、それ……」
抱えられながらルディが見たアイリスは、片腕が不自然な方向に捻じれてだらりと垂れ下がっていた。
「ごめん、しくっちゃった」
「すまない……俺が状況を見誤ったせいだ」
「違うよ。せんせーは間違ってない。ああするしかなかったもん。だからきっとこれは最小限の被害で抑えられたんだよ」
ルディもまさか蟲の油に引火するとは思わなかったし、アイリスが腕を犠牲にしてまで守ってくれるとも思っていなかった。
いや、ルディは……本当は知っていた。
自分に危険が迫った場合、アイリスはきっとその身を犠牲にしてでも守ろうとするだろう、と。
アイリスはその理由を恋だとか愛だとか言うだろうがそれは違う。
ルディに言わせればそんなものそう思いこんでいるだけだ。そんなしがらみから解放されていたら、彼女はここまでする必要など無かったのに。
「せんせー、立てる? まだ来るよ」
アイリスが炎を見つめて言ったのと同時に、その炎を突き破って大型の蟲が飛び出してきた。
硬い外殻に包まれた細長い蟲で、トカゲのような見た目をしていた。
ルディは慌てて飛び起き、身体の痛む部分を迅速に確かめると、その場から一歩下がった。
アイリスの邪魔になってはいけない。
「せんせー、援護おねがい!」
彼女からそんな言葉が飛び出すのは初めての事だったので少々面食らいながらも、即座に必要であろうカートリッジを見極めて装填する。
アイリスはだらりとぶら下がっている片手を邪魔そうにしながら飛び上がり、回転をかけた蹴りを放つが、外殻にヒビが入っただけで蟲の勢いは止まらず尻尾を振り回してきた。
ルディは狙いを定め、蟲の眉間へ特別製の貫通弾を放つ。
どんな生物も頭部を潰されれば死ぬ。
蟲に限ってはその常識が通用せず頭が潰れてもしばらく動くものもいるが、それはただ身体が反応しているだけ。頭部を撃ち抜けばほぼ勝利は確定だった。
だが、蟲の頭部に着弾した貫通弾は一撃で仕留めるには足らず、外殻にめり込んで止まってしまっていた。
だがそれも想定内。
「アイリス!」
「りょーかいっ!」
アイリスは振り回される尻尾をかわし、めり込んだまま止まった貫通弾めがけてその拳を思い切り振り抜いた。
「「貫けーっ!!」」
アイリスの拳が貫通弾を激しく打ち付け、炸裂した。
今度こそ貫通弾が蟲の頭部を貫き、しばらくのた打ち回った後その動きが完全に停止した。
「へ、へへへ……これって、さ。初めての、共同作業……って、やつ?」
そんなふうに笑う彼女へルディが笑い返そうとしたその時だった。
じゃきん。
そんな音だった。
何かがギラリと光ったかと思えば、ごとりと、頭部が床に落ちる。
ゆっくりと、まるでスロー映像のように。
アイリスの頭部が、トカゲ砂蟲の背後から現れたカマキリのような形状をした蟲の鎌によって切断され、落ちていくのをルディは呆然と見つめていた。
「……う、うおぁぁぁぁぁぁっ!!」
何をどうやったのかはよく覚えていない。
ルディはとにかくやたらめったら手持ちのカートリッジを装填しては放ち、装填しては放ち、蟲が動きを止めてもなお、しばらく同じ行動を繰り返していたように思う。
冷静では無かったから? 焦っていたから? 怒りに震えていたから?
分からない。ただ彼は、その瞬間だけは損害費用額など気にせずにひたすらその砂蟲を砕いた。バラバラに、跡形もなくなるほどに徹底的に執拗に。
全て撃ち尽くした後は最早灰と化したその身体を何度も何度も踏みつけ、振り上げた拳を叩きつけた。
「こんなんじゃ、いくら稼いだって……意味がねぇだろうがよぉ」
自室でルディは頭を抱え呻く。
使用したカートリッジは数知れず。持ち込んだ物は使い果たしてしまった。
その上、だ。
「カートリッジ補填、修理……まったく幾らかかると思ってやがるんだ畜生め……! 今回の稼ぎなんてほとんど消し飛んじまうぞ!!」
「あははははーっ♪ 生きて帰ってこれたんだからいーじゃんいーじゃん♪」
「ふざけんな馬鹿野郎! 元はといえばお前が俺を騙さなけりゃだな……」
もっと文句を言ってやろうと思ったが、テーブルの上に置いてある頭部だけのアイリスが「ごめんね」と小さく呟くのが聞こえてしまってそれ以上何も言えなくなった。
「ねぇ、どのくらいで直るかな?」
「さぁな。一ヶ月くらいはみろ」
「えー、早く葉桜の丘行きたいのにー!」
「やかましい」
「やだやだやだーっ!」
「うるせぇ! 直ったら連れてってやるから黙れっ!」
「……ほんと!? じゃー付き合ってくれる?」
「付き合わん」
「結婚」
「せんわボケ!」
アイリスの修理箇所は腕と頭部の接続部分だけだが、そもそもアイリスはルディの祖父が作ったアンドロイドであり、莫大な費用がかかっている。ちょっとした修理でも金が湯水のように消えていくのだ。
ちなみにアイリスの着ていたセーラー服とやらはルディの祖父が一般教養と称してインストールしたデータの中にあったものらしい。
祖父はルディが成人になる少し前にアイリスを置いて蒸発した。
「あの糞ジジィいつか一発ぶん殴ってやるからな……」
「博士を悪く言っちゃダメだよせんせー」
「誰が先生じゃ誰が!」
「せんせーはせんせーだよ。せんせーは生徒と禁断の恋をね……えへ」
「禁断ってのはやっちゃダメな事を言うんだよ!」
「何言ってるの禁断なのがいいんだよ?」
ルディには理解が及ばない理屈がそこにはあった。
「禁断の恋を経てせんせーと結ばれるのが私の夢なの♪」
「へいへいそーですか」
ルディは思う。祖父がアイリスにインストールした一般教養とやらはどんな歪んだ代物だったのだろうかと。
「なんで私の事いつまでも子供扱いするの? やっぱりないすばでーじゃないから?」
「ふえーん」とわざとらしく泣き真似をするアイリスにルディはやれやれとため息をつきながらその頭を撫でる。
「お前はちゃんと良い相棒だよ」
「……? えっ、せんせー的には私みたいな体形がナイスバディなの? そういう趣味??」
「待てお前は何か勘違いをしている。今のはナイスバディとナイスなバディをだな」
「私としては嬉しいけどそれはそれでなんだか複雑というか心配というか……もしかして、アレだった? ロリコン?」
ルディは撫でていた手でそのままアイリスの頭を鷲掴みにして持ち上げる。
「せんせー、乱暴なのは嫌っ、もっと優しくしてほしいな……♪ って、あれ? ちょっと待って。どこ行くの?」
「ゴミ箱だよ」
「待って待ってうそうそごめんごめんってばーっ!」
砂に埋もれた世界で一人と一体。
なんとも奇妙な二人の関係はこれからも続いていく。
「私はせんせーがロリコンでも頭だけの女の子にしか欲情できない倒錯した性癖持ってても受け止めてあげるからー、行くならせめてベッドにしよ? ……あっ、待って待って振りかぶらないでごめんってば調子乗りましたごめんなさい謝りますゆるし」
ガコン!!
続いていく……と思う。
最後までお読み頂き有難う御座います。
作者としては珍しくスチームパンクテイストな作品となりましたがノリはいつも通りですね(笑)
はじめましての方は他の短編や長編など覗いてみて頂けると有り難いです。
基本的に短編はいろんなジャンル、鬱よりな作品もあります。
長編はドタバタファンタジーが多いです。
もしこの作品を気に入って頂けましたらぜひ思ったとおりの数↓の方にある☆を★にしてってやってください♪
それではまた別の作品で出会える事を願って。
monaka.