~優羽~初めてのおっぱぶ~
希美とデートの約束をしてから何日か過ぎ、約束の日曜日まではもう少しだった。
優羽は希美に告白をしてから、ますます仕事に力を入れ働いていた。
「なんか最近いい事あったのか?」上機嫌の優羽を見てハルが訪ねた。
「イヤ、ベツニ..」良い事があったと言わんばかりの不自然さだった。
「ふ〜ん」嘘が下手だと思ったハル。
「よし、これから行くぞ。」と言うハル。
「え?これからってどこにですか?」とキョトン顔で優羽は聞いた。
「オッパブ」
真剣に答えるハル。
ハルはマジで優羽を男にするつもりだった。
「これからって仕事は?」若干パニック状態の優羽。
「ホストは常に男磨きを怠ってはいけない、これも仕事だ。」ハルは人差し指を立てながらいった。
「行くぞ!」
と言って控え室を出ていくハル。
キャバクラにはよくハルに連れられて行っていた。自分達と同じように綺麗な女性が相手をしてくれる所。お酒を飲み、話をする場所。
おっぱいパブの事はたまにハルから話しを聞いていたが、まさか自分が行くとは思いもしなかった優羽。
優羽は少し考えてからハルの後に続いて、控え室を後にした。
店の裏口を出るとリムジンが停まっていた。
ハルの専属リムジンだ。ハルは帰る時や出かける時は必ずこの車だった。
かなり目立つ。
優羽も何度も乗った事がある。もちろんハルと一緒の時だが。
優羽がリムジンの前まで行くと自動でドアが開いた。中は真っ白のホワホワしたじゅうたんに、細長いガラスのテーブルが置かれている。そのテーブルに添うように、ソファーがある。
頭上にはシャンデリアだ。
優羽が中に入ると、ハルが車の最後部のソファーに座り、くつろぎながら煙草をふかしていた。
ハルはいつもこの場所に座る。
「おせぇ〜よ!」
ハルが怒鳴った。
「すいません。」と言いながら、ハルが座っている近くまで行きソファーに腰掛けた。
「お前、ただでさえ童貞なのにちんたらしてんじゃね〜ぞ!」
またまたハルが怒鳴る。
「童貞関係ないじゃないですか。勘弁して下さい。」と少し落ち込みながら優羽は言った。
しばし沈黙。
「お〜ほら、お前も吸え」
と煙草を差し出すハル。悪いと思ったのか少しだけ口調がやわらかくなった。
優羽は煙草を一本受け取りマッチに火を付け吸い始めた。
「お前、俺に何か隠してねえか?」と急にハルが真剣な顔をしながら聞いた。
「…」
優羽は希美の事をハルに話そうと思っていたが、なかなかタイミングがなく言い出せなかっただけだった。
「はい…ハルさんに隠すつもりはなかったんですけど、なかなか言い出せなかったんです」と優羽も真剣な顔で答え、ハルの顔色をうかがった。
「続けろ」とせかすハル。
優羽は希美の事を全て隠さず話した。
高校の同級生だった事やわざわざバイト代を貯めて自分に会いに来てくれた事、両親が亡くなり高校を中退した自分を心配してくれていた事、本気で好きになってしまった事、自分の気持ちが押さえきれなくなり告白した事、日曜日にデートの約束をした事。
黙って聞いていたハルが口を開いた。
「だから最近お前機嫌良かったんだな。自信あんのかよ?」
「自信?」優羽が聞き返した。
「あぁ、ホストしながらその子を幸せにする自信はあんのかよ?
中途半端な気持ちだったら、必ず相手不幸にしちまうぞ」ハルが真剣に言う。
優羽は自分の考えが幼稚で恥ずかしくなった。
ただ希美が好きだからとゆう理由だけだったからだ。ハルに言われ、ホストとゆうたくさんの女性の相手をしながら、希美を幸せにすると言うのは確かに簡単ではないだろう。仕事とは言え、客と恋人関係の演技をしたり、手を握ったり、頭を撫でたり、同じグラスで酒を飲んだり。希美以外の女性とそんな事をするのは浮気と言うのではないか?希美は全て理解してくれるだろうか?
「はい、自信はあります。必ず希美の事を幸せにします。両方全力でやってみせます。」優羽は嘘をついた。自信はそんなになかった。むしろ、希美が全て理解してくれるかどうか不安になっていた。
「両方全力でやるか..俺にも出来なかった事だぞ、お前に出来るかどうか分かんねぇけど、まぁやってみろよ」
成功すると良いなと言ってるかのように優しくハルが言った。
それからハルは初デートを成功させる方法など細かく教えてくれた。
ハルはかわいい後輩に必ず初デートを成功してもらいたかったのだろう。
優羽もハルの優しさを感じ、心から感謝した。