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宋飛  作者: たいてん
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宋飛

「何をぼんやりしているんですか」


「いや、最近ふと、昔のことを思い出すようになった」


父が、いなくなった日だ。


宋飛が最後に目にしたのは、役人に連行された父の後ろ姿だった。


父はそのまま、帰ってくることはなかった。


人づてに、不正の責めを負わされ、商売で築いた財を没収され、あっけなく処断されたらしいことだけが耳に入ってきた。


まだ宋飛が十三歳の頃だった。


周りの大人は手のひらを返し、家を追い出され、他に身寄りもなく、しばらく盗みや強盗をして食い繋ぐしかなかった。


宋飛は、父が曲がったことが大嫌いなことをよく知っていた。


不正に手を染めてまで、利益を得ることなどないと信じていた。


受け入れられないまま、なんとか食い繋ぐうちに、いつしか同じような奴らが集まってきた。


一人増え、二人増え、数年経って気づけば、五十人ほどになって山奥に寄っていた。


みんな一人では生きていけないようなやつらで、多かれ少なかれ似たような境遇である。


哀しいことに今の世の中では珍しい話ではないようだった。


宋飛は理不尽なものへの嫌悪と反抗心が常に心にあることに気づいた。


「この世界は腐り切っている。誰もが人らしく生きることができる、いつか、そんな世界に俺が作り替えてやる」

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