コロナ日記
コロナになった男のドタバタ劇
初めに、この話は自身の体験談ですので、決して空想や妄想ではありません。
出て来た台詞も、ほぼオリジナルのまま載せておりますので皆様どうか。
笑ってやってください(笑顔)
2022年3月4日、いつも通りの1日が始まった。
1時に起きて炬燵で寝ている嫁を起こす。
嫁はダブルワークでパートに入っている、午前と午後の3時間をそれぞれ別の老人ホームで、配膳と洗い物をすると家に帰って掃除洗濯に夕飯の仕度。
全てが終わって、炬燵で録画したドラマを見ながらウトウトする、そしてガチで寝ているのだ。
嫁に声を掛けてから自分の分の朝食を用意する、いつもと同じ内容の物。
四つ切りのトースト、ヨーグルト、珈琲を胃に流し込むとトイレに駆け込む。
出す物を出してから制服に着替えて冷蔵庫から弁当を取り出し、水筒にお茶を詰めてから通勤する。
南大阪から職場のある港湾区までバイクで1時間、雨の日もそれは変わらない。
早朝勤務の港湾区の荷上げ作業はリフトと手仕事、主にハンディターミナルと呼ばれる端末を操作して行われる。
毎日、何十台ものトラックから下される荷物は、家電製品から日用品まで多岐に及ぶ。
冷蔵庫、洗濯機、エアコン、マッサージ器から店舗で使う自動配膳ロボット。
家具にスポーツ用品、筋トレ器具に釣り道具、中には自動車部品や引っ越し荷物。
全てがここ、中継ターミナルに集まり、九州から北海道までの各拠点に送られる。
多数に渡る運転手との接触、感染のリスクも勿論高い。
なので現場の入口にカメラ付きの体温計と消毒用のアルコールを常備してある。
体温計はカメラと連動しており、1秒で体温と測った顔を記録する、昼休みが終わって現場に帰る時も再度検温が義務付けられている。
3月4日、その日の残業を終えた俺は家に着くと倦怠感を覚えた。
熱を測ると37、8度あるが喉が少しイガイガするだけで他に異常は無い。
ただの風邪かと思って、嫁に近くの内科医の診療時間を聞くと。
「熱あるんやろ?発熱外来になるよ?」
熱のある人は診療時間を当日に予約してから行くらしい、確認すると午前中しかやっていない。
俺は会社の上司に連絡すると、明日は休みますと伝えた、朝の4時から仕事である。
代わりの人を確保する時間がいる、最悪は上司が現場に出る事になるので連絡は早くした方が良い。
その日は風呂も入らずに、夕飯を食べると布団に入って寝た、寝付くまでに何度も体温を測ると37度台をウロウロしている。
ただの風邪だろう、この時はそう思って居た。
翌日、9時少し前から近くの内科医に電話を掛けるが話し中が何度も続く。
こんな時は焦ってはいけない、昔取った杵柄と言うかどうかは知らないが、方法はある。
ネットなんて無い時代、お気に入りのチケットをゲットする手段は繰り返し何度も掛ける、これに尽きる。
電話を掛ける、話し中、通話を切って再度掛けるを何度も繰り返す。
向こうが通話を切った瞬間を狙い、ただひたすらかけ続けると5分後に通話が繋がった。
発熱外来の予約は15分ごとに一名、11時半の予約を取ると向こうから。
「まずは医院の玄関前、10メートルは離れて電話を掛けて下さい」
患者同士を接触させない為の措置だと言う。
「案内があるまで外で待機で、準備が出来次第に案内します」
その時は自身が単なる風邪だと思い込んだ為、大袈裟だなぁなどと思い込んで居たが、結果それが大正解だったから指示には従うべきである、特に命に関わる現場では。
予約時間の5分前に家を出る、この医院は家族全員がかかりつけ医になっており先生や看護師さんもほぼ顔見知りばかりだ。
着くと医院の手前で電話を掛けると、そのまま待つように指示された。
そんな時、目の前に患者と看護師が病院の裏でから出て来た。
近所の若い主婦と言った感じの女の人が頭にキャップとトレーナーで現れると、その隣に完全武装の看護師が寄り添って居た。
患者ごとに着替えるのだろう、靴カバーに白い感染防護服、顔にはマスクとプラスチック製の保護カバーを掛けて、頭からスッポリと使い捨てのシャワーキャップの様な感染防護帽を被っている。
まるで映画のアウトブレイクのダスティンホフマン其の者である、俺の方を見て手の平を向けると。
「そのままで!その場でお待ち下さい」
切れのある指示するのに慣れた口調はまるで戦場の古参軍曹である、俺は思わず了解しました軍曹っと言いかけながら思い留まった。
5分ほど待っただろうか、案内されて玄関から入ってすぐのスペースに案内された。
1メートル四方の待合所の壁にはビニールが貼り付けられ、何度も消毒されているのか消毒液の匂いがする。
壁を背にして座るスペースに案内されて座ると、すぐに検査しますからと持ち手の長い綿棒を手に看護師が迫って来た。
看護師の左手が俺の頭を掴んで固定する、まるで往年のプロレスラーのフリッツ、フォン、エリックのごとく鉄の爪が俺を締め付ける。
壁を背にしているので逃げるスペースすら無い、孔明の罠に嵌まった俺の鼻の穴に綿棒が差し込まれる。
一才の躊躇無く、奥へ奥へと進む綿棒に恐怖すら覚えた、冷徹な機械と化した看護師の綿棒に、脳を突かれる幻覚と戦いながら俺は思わず口ずさんでいた。
「アタタタタタタタタ!痛い!痛いっす」
鼻の穴に綿棒を差し込まれながら脳を抉られる恐怖に負けて悲鳴を上げる俺氏に。
「御免なさいね〜wもうちょっと我慢してね〜w」
グリグリと綿棒を鼻の奥に擦り付ける看護師の手つきに慈悲は無かった。
終わってから結果が出るまでの間、無意識に壁をガン見していた。
それはまるで、戦場で百戦錬磨の鬼軍曹に無理矢理ケツの穴を掘られた新兵の如く、心ここに在らずといった感情に身を縮こませながらガタガタ震えていると。
「検査結果出ましたよ〜」
再びさっきの看護師が現れた!
恐怖に引き攣りながら目の前にPCR検査結果が出されるとそれはまるで、妊娠検査薬の様に○の中に立てに線が入って居た。
かつて20年前に嫁が俺の目の前に出してきた妊娠検査薬キットと同じく、○の中の棒で表される陽性反応を見ながら聴こえて来た結果は。
「陽性ですね〜コロナになってます」
思わず頭の中でWHY?の文字が現れる。
熱は37度台、味もちゃんと感じるし呼吸障害も無いので風邪だと思い込んでいた俺の脳は、一瞬処理能力を失った。
2度目の茫然を感じる間もなく看護師がが説明を始める。
「現在コロナ患者に渡せる薬は一種類だけです」
ラゲブリオと呼ばれるその薬は現在国が一括管理しており薬局などでは販売していない。
「持病があって発症してから重度化する可能性のある患者だけに配ってますが…」
日本の薬では無いので本人の承諾がいる、あとお薬手帳には記載され無い。
俺は2枚の説明を受けて薬を希望しましすの書類にサインすると解熱剤や咳止めと一緒に4種類の薬を貰うと。
「保険センターにはこちらから連絡しておきますので、本日より10日間家で隔離してて下さい」
保険センターの職員が入院が必要と判断した患者のみ隔離病棟に入院すると言い、家族も1週間は学校や仕事には出ないで下さい、そう言うと医院を出された。
なお今回の診療費は無料、検査キットも薬も国から無料で配布されている、ここは日本は凄えなぁっと素直に思う、米国とか高そうだもんねぇ。
家に帰る前に嫁に電話する。
俺氏「コロナやった」
嫁「はあ!」
今度は家の前で待たされて数分後、玄関のドアを開けた嫁は臨戦体制で望んでいた。
顔にはマスク、手には使い捨てのゴム手袋(これは嫁が職場からよく貰ってくる)
手には消毒液の嫁がコンタクトを外して眼鏡でお迎えしてきた。
「一階の仏間に布団敷いてるから」
そう言うと俺氏の靴を消毒し出す。
ここで一応説明すると我が家は中古の一戸建てを二千万円で購入、勿論35年ローンは俺が死んでも返済出来るかギリギリのラインで無理なら団体信用保険が残りを精算する。
建物は注文住宅の三階建て、三階が子供部屋二つに洗濯を干すベランダ。
二階は夫婦の主寝室とダイニングキッチンとトイレ。
一階は仏間と納戸と風呂と洗面所とトイレ。
前のオーナーが二世帯住宅で設計して仏間はオーナーの母親が使っていた、小さい洗面台もあって電熱調理器とワンドアの冷蔵庫がある。
俺氏は長男なので実家の仏壇も引っ越しを機にここに移した、なお俺氏の父親は癌で死亡、母親は認知症で介護ホームに入所している。
実家は解体して更地に戻して土地の持ち主に返却した、母親の入所費用の事もあり実家の土地代を払えなくなった結果だ。
和室に入ると仏壇と親父や祖父母の遺影が飾ってある、畳の上に布団と横に小さいちゃぶ台、ゴミ箱、大きめのゴミ袋が置いてある。
ちゃぶ台の上にはお茶を運ぶお盆と消毒する為の使い捨てアルコールタオルが置いてあり嫁からこれからの手順を説明された。
食事は仏間で一人で取る、仏間の前にお盆を置いてその上に食事を置いて置くから。
嫁が上に上がってから取ること
ここは徹底された、歯磨きもミニシンクで使ったタオルは袋に入れて部屋の外に置いて置く。
お茶とスポーツ飲料は仏間の冷蔵庫へ、空のペットボトルは部屋に溜めておく。
食事は毎回使い捨て容器と割り箸、使い捨てスプーンで取って一食毎にビニール袋に入れて密封、部屋の中の大きなビニール袋(80ℓ)に入れて置く。
入浴はシャワーが3日に一回、家族全員の1番最後で俺氏が手で触れる部分にはサランラップが巻かれ、終わったら窓の換気もしてドアは開けて置くこと。
説明が終わって頭の中をよぎったのは刑務所もしくは収容所であるのは仕方が無いと思う。
俺氏はまず会社の上司に連絡した。
俺氏「すみません、検査結果陽性が出ました」
上司「はいっ?…」
俺氏「今日から10日間休みです…すみません」
上司「えええええ!代わりの人どうしよう!!」
無理も無い、朝の4時勤務なんて車がバイクが無いと移動手段が無い、出来る人も限られてくる。
俺氏はそっと電話を切るとその後の事には蓋をした、人間出来る事と出来ない事がある。
それよりもコロナとの戦いが始まる、その時の俺はそう思い込んでいた、しかし意外な伏兵が潜んでいた。
渡されたコロナに対する唯一のお薬、これが見た目はコンタックス其の者なのだが…大きさがデカイ。
まず間違い無くコンタックスの倍はある、その為に飲むのが一錠ずつでも凄く苦になる。
喉奥に放り込んで水で流し込む、これしか方法が無いのに一回に付き4錠である。
これだけで腹がタプタプになるのに、それ以外でも咳止めや熱覚ましまであるのだ。
ハッキリ言って薬中になるかと思った。
おまけに熱が38度台までしか上がらない、しかも3日経つと平熱に戻った。
ぶっちゃけ風邪と変わらん、しかし残りは後1週間はある。
俺氏の自堕落な生活が始まった部屋の中で一人きり、スマホで動物の動画を見ては癒されて疲れたら寝る生活を進めながら。
食事の時間は家族と同じ、ぶっちゃけ最後の方は1時起きとか無理ゲー状態になっていた。
久々に出勤すれば身体は鈍り腹が出てお荷物状態、オマケに寝不足であるリズムを取り戻すのに1週間は掛かった。
しかし家族には感染はしなかった、これは早期に病院に行って早めにわかった結果だと思う。
職場にも俺氏から感染した人は居なかったのでホッとしたのだが。
最初に治った証明がいると職場から言われて保険センターに連絡した所。
コロナ患者に検査すると肺の中の死んだウイルスに反応する場合があるので、現在では証明書は必要無いと指導していると言われてから再度連絡するとあっさり職場に復帰出来た。
以上の事から、早めの連絡、報告、相談は絶対に必要だと確信した。
あとあれば便利な物を書いておきたい。
割り箸、紙皿、ビニール袋の大小、食事を乗せるお盆、アルコールタオル、使い捨てのトイレに流せる消毒布、マスクと使い捨て手袋、体温計は2つ(患者と家族と別で使う)
なお食事の量は減った、運動し無いからだと思うので、朝はパン昼はオカズのみ夜にオニギリとオカズで十分だった。
トイレ大の回数も減った、最後は便秘気味になった、運動不足と食事量の減った関係だと思う。
最後にコロナは掛かります、ある日突然にいくら気を付けても掛かります。
バイク通勤でも掛かる俺氏が言うから間違い無い、でも早めの受診と接種でリスクは減らせます。
これくらとか風邪だろうとか思わずに、まずは病院に行きましょう、会社が休めないとかは言い訳になりません。
自分と家族を守るのは自分自身だけです、それ以上の優先なんてありはし無いのだから。
Twitterで読んで見たいの声に賛同して書いてみました
初エッセイになります