第80.5話
読者の皆様!投稿期間がものすごく空いてしまい、申し訳ありません!
本日投稿いたします最新話は番外編みたいなもので、読者の方から「陳燈煌の話を読んでみたい!」という要望がありましたので執筆させていただきました!ぜひお楽しみください。
小話〜陳燈煌〜
白龍帝国の軍港がある軍港都市「潮煙」には海軍の基地がある
「んー、今日もいい朝だ」
その基地内にある宿舎の一室で伸びをしている男がいた。その男は名を陳燈煌と言う。見た目は中国人より日本人に近く、垂れ目なのが特徴だ
「おっと、朝の祈りをせねば」
と、窓に面した床に膝立ちになり目を閉じて祈りの姿勢をとる
「天よ、今日も我の行いをお見守り下さい。そして、今日も一日我に御加護をお与えください。天の光は我らとともに」
数分、祈りを捧げてから階下の食堂に向かう。
食堂に降りると既に多くの軍人や文官が朝食を取っていた。燈煌は朝食を厨房の窓口から受け取り
適当な席に座る。朝食のメニューは麺の入った汁物にゴマ団子的な主食のようなものが10個ほど。燈煌がモグモグ食べていると同じ船の部下が数人が周りの席に座ってきた
「甲板長。おはようございます」
「…うむ、おはよう」
燈煌は口に入っていた食事を飲み込んでから部下からのあいさつを返す
「そういえば、今日って何がありましたっけ?」
「うーん、いつも通りの大砲磨きとかではないだろうか?」
と聞いてきた部下の質問に対して燈煌が眉を寄せて考えて言う
「え、それは下の連中にやらせとけばいいではないでしょうか」
部下はしかめっ面をして文句を言うと
「天は見ていらっしゃるぞ」
燈煌はそう一言言って食事を再開した
(なんで、甲板長は天光教なんていう邪教を信仰してんだか)
(知るか。あとこれを甲板長の前で言うなよ、後でこっぴどく叱られた挙句に天光教について語ってくるんだからな)
その会話を聞いたほかの部下がヒソヒソと話す。ヒソヒソ話は燈煌自身聞こえていたが、「いつもの事だ」と思いながら汁物を飲み干し先に食堂から出ていったのだった。
燈煌の仕事場である20門級巡航船『沈邑』は、現代で言う所の哨戒艇的な役割でもあり有事の際には真っ先に駆けつけるといった何でも屋のような位置づけの船だ。ちなみにここの軍港には『沈邑』のほかにも多くの20門級巡航船が停泊している。そして燈煌の役職である甲板長とは、艦長、副艦長、上等航海士、航海士の次に偉い役職で、基本的には水兵たちのトップとして監督する役目を持っている。
今日ものんびりせっせと甲板磨きをしている水兵たちや大砲の整備をしている水兵の様子を見ながら、異変がないか監視?観察?をしていると艦長から
「すまないが、これらの物資が足りなくなっていたようでな。今から倉庫に行って取ってきてくれないか」
そう言われ品目が書かれた木の板を差し出される。燈煌としては断れないため「了解しました」と敬礼をして受け取った。
手空きの水兵を5人ほど捕まえ船を降りて倉庫に向かった燈煌だが、倉庫の鍵がかかっており水兵のひとりに命じて本部まで行かせ、来るまで待つ羽目に。
倉庫の壁に寄りかかって待っていた燈煌たちだったが、さらに災難?が降りかかる。それは「今、何時間だろうか」と空を見上げた水兵が気がついた。その水兵が目にしたのはちょうど倉庫の二階の窓から外へ出ようとしていた少年であり、その少年の手には何かが入った袋を抱えている。たまたま空を見上げた水兵と視線があったことで動揺し慌てて屋根から逃げようとしたところ足を滑らしてしまったようで、燈煌たちに向かって落ちてきた。
その場にいた燈煌たちは落ちてくる少年を受け止めようと両手を出して受け止める姿勢をとる。そして少年は燈煌に、持っていた袋は水兵のひとりが見事に受け止めた。
ポスッという感じで受け止めた燈煌はその少年の身なりをさっと観察する。身なりはボロボロで顔はやや痩せていた。その視線を少年が持っていた袋に移すと何やら果物や野菜が入っているのが少し見える。すると、燈煌は少年を降ろし、袋を持たせて「さ、お行き」と逃がす。それに見て少年を捕まえようとした水兵だったが、燈煌に止められて捕まえることが出来ず少年は倉庫の影に飛び込んで消えていった。
さきほどの行動に対して水兵たちはなぜ逃がしたのかと聞くが、「僕らは何も見なかった。いいな?」と釘をさしてそれ以上の話をさせず、その後本部から鍵を取ってきた水兵が鍵を開け、必要な物資を船へ運び出す。その様子を見ながらつい先程自身がした行動に対して「天よ、私の行動はあれで良かったのか」と自問自答しながら船へ戻ったのだった。
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