第55話
今回は「伊ー四〇三」の向かい側にある外輪船に行きます。どんな人がいるのでしょう?
第55話
勝海を仲間として新たに加えたのち、伊‐四〇三から下船しその隣に停泊中の外輪船に直人たちは向かった。
その外輪船に乗船するには船内に必要がある。そのために外輪船の舷側に掛けられているタラップを直人たちは昇っていくが、歩くたびに引っ掛けられている部分がミシミシと嫌な音を出している。
いつこのタラップが落ちるかとひやひやしながらも昇りきるまでに船の様子を見ると、外輪船の上部構造物までもがボロボロになっていた。
直人たちが昇りきるとそこにはややくたびれた感じの白いローブのようなものを着た女性?とその従者らしき男たち数人が出迎える
「ようこそ、我が船に。私は天光教の使徒『ローレライ』と申します。この度は私達を助けていただき感謝いたします」
と優雅にお辞儀をしてきた
「あっ申し遅れました僕はこの敷島防衛軍の司令、若葉直人と申します」
こちらも合わせてお辞儀を返す。すると
「ま、まぁ…」
ローレライは目を見開いて驚く
「?どうかしました?」
直人が不思議に思ったので聞くと
「い、いえ、いままで助けていただいても見返りを寄越せなどという方々が多かったものですから…その、直人さんの反応が珍しくて」
と若干戸惑いながら話してくれた。その理由に直人が納得する
「そういえば、船がボロボロですけど何かあったんですか?」
直人が聞くと、それがですね…とローレライさんが話してくれた。
その話によれば航海自体は順調だったもののおよそ1週間前に嵐に遭遇し、船体がボロボロになったそう。加えて水と食料が底尽きそうになりかけ、明日には死ぬかというところで敷島防衛海軍所属の駆逐艦「暁」を発見し救援を求めたということであった。
それと
「厚かましいかもしれませんが、私達の仲間の治療と保護をお願いできませんか?このことは教会の保護ということで、ささやかですが恩賞も出すよう私から打診いたしますので」
とお願いされた。
直人はその恩賞について拒否するとまたも驚かれたよう。
(毎日を生きるのにそんなにお金って必要なのかなぁ…)
と若干引いた直人だった。
そういうことでこの使徒という方々も保護することになった
「そういえば、ローレライさんたちはなぜここまで航海を?」
さっきから頭の隅で疑問に思っていたことを聞いてみる
「それはですね、新たなる地への布教です」
と気安く教えてくれた。ついでに目的地は白龍帝国という国らしい。
その事に対してそのあとに合流した勝海から
[おい直人、これは貿易のチャンスなのではないのか?]
と囁かれる
[なぜ?]
[貿易が始まれば今よりも人やものが集まりやすくなるし、見たところお前んとこスポンサーないだろ]
と言い返される。
確かに今の直人たちには後ろ楯となる国もなければ家もないという状態だ。そのようなら並大抵の国が寄ってたかられて潰れかねない。そういう意味で勝海は直人に聞いてきたのだ。
う~んと歩きながら考える直人
[分かった。なんとなく嫌な感じがするが考えとくよ。ありがとう]
とアドバイスをくれた勝海に礼を言う。
それを聞いた勝海は「気にするな。貴様と俺の仲ではないか」と返された。
二人を後ろで見た天光教の使徒ローレライは
(どうやらこの方々は後ろ楯ないようですね。ここでうまく取り込めれば布教の足掛かりになるかもしれません)
と考える。
この移動で双方の思惑が交錯したがそれも長くは続かず、二人が滞在してもらう士官室に到着し基地内についての諸注意などをしてから退室した。
その後、直人は執務室に戻り従兵に至急会議を開くことを告げて、メンバーを集めてもらように指示をする。
(あっ外交担当、誰にしよう…)
メンバーを集めるために従兵を送ったあとにそう考えたが、それはおいおい会議の時でも決めるかと決めた直人だった。
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