第37話
今回は前回の海戦後のお話です。
今俺は軍港にいる。何をしているのか…
「おぉい、その積み荷はまだ降ろすなっまずは火薬から降ろすべきだろっ」
「すいませんがちゃっちゃっと降りていただけませんか?…反抗、ですか…では海に投げ捨てますよ?」
「あぁん?食い物が腐ってるだとぉ?…それはたぶんちぃーずっていう食いもんだからその箱ごと一緒に放りこんどけぇっ」
と、これまでにない大騒ぎかつ大忙しだからだ。
「あの…司令、鹵獲した大砲どうしましょう?」
ふとこの騒がしい場所から一人の若い水兵がやって来た、所属は…機銃小隊か
「う~ん、どうしよっかねー、鋳とかして別のにしたいけど溶鉱炉なんてものないしねー…とりあえず湾の外に向けて設置しとけば?」
しっかり機能するかわからないけどと心のなかで付け加えとく。俺の指示を受けた水兵は「了解しましたっ」と仲間のもとへ伝えに行った。
まぁこの世界での標準の大砲みたいだし、加えて要塞砲(というものが本当にあったかは知らない、中村少佐から聞いただけ)なんてものない、それに維持にも人を割かなければならないので維持ができるかも分からない。でも、あの船団の生き残った船すべての船に同じ大砲が備え付けられていたので、その砲弾はたくさんある。ちなみに砲弾の形はまんまるい。
なぜ、こんなとっても忙しく騒がしいことになってしまったのか、それは水雷戦隊モドキが帰港、投錨している様子を見ていた俺に一緒に眺めていた三浦少尉が「帆船でも色々な物資積んでるよなぁ…どんな食べ物があるのでしょうか…」とポツリ溢したから。俺はというと帆船が手に入ったので貿易に使えたりするのかなーとだけ考えていたのである、つまり三浦少尉の独り言は俺にとって晴天の霹靂とも言える発言だったのだ。その発言を聞いた俺は慌てて警備や外海の見張りに必要な人員以外の兵士を総動員して事にあたることに、食料や水は厨房を預かっている主計科の兵士や下士官たちにまかせて、火薬等の軍需物資は厨房以外の兵士たちで武器庫に運んだり捕虜の連行をしたり、と大忙しになってしまったのだ。
「ふぃーやっとこさ終わったー…」
司令官室にある執務机へ向かってぐでーっとだらける。すると、コハクがお疲れ様~といった感じですり寄ってきてペロリと手を舐めたので、それにありがとうという意味を込めて頭を撫でると尻尾をフリフリと振って喜ぶ。その可愛らしいコハクで癒されているとドアがノックされた。
「失礼します、拿捕した船団の司令官をお連れしました」
とドアを開けながら兵士と若い男が入る。どうやら監視として兵士が付くらしい
「私はフランク王国モール公爵家が嫡男、エクレール・ラ・モールだ」
部屋に入り、置かれているソファに座ってからそう自己紹介をした
「俺は軍事国家『敷島』の総統で敷島防衛軍の司令でもある若葉直人って言う。まぁよろしく」
と俺も自己紹介を返す
「シキシマ…?聞いたことがない国だな」
「まぁだろうね、最近できたばっかだし」
とエクレールに話し
「さっそくで悪いけど、エクレールさんたちがやって来た目的というのを教えてくれない?」
「エルで構わない。そうだな 、名目上は貿易航路の哨戒任務、しかし本当の目的は拠点の確保と領土の拡大だろうな」
と嫌味たらっしく話す
「それは君たちの利益になるんじゃないの?」
エクレール―エルにそう聞いてみると
「私としてはそれよりも民にもっと目を向け、民のための政治を行うべきだ。だが、議会の連中は自分たちの利益しか考えていない。それによって民に負担を強いているのに…」
一息おいて
「直人殿もそうは思いませんか?国は貴族あってのものではなく民があってのものだと」
と熱く語られた。
「ま、まぁ、わかります…。あーえーと、とにかくあなた方の国は領土拡大を目指しているということ?」
「我が国だけではありません。ローマティア帝国もウィンザー大公国も領土拡大や勢力圏拡大を目論んでいます」
なんか知らない国が出てきた
「ウィンザー大公国…?」
「ご存じないのですか?かの国は小国でありながらも世界屈指の海軍を所有し、いまや世界規模の経済の中心になりつつあります」
「加えて我が国の主力艦隊であり、世界最強と呼び声も高い無敵艦隊をも鎧袖一触で破った、という実績もあります」
つまりこの世界では最強ということか
「陸はどうだ?」
とエルに聞いてみる
「陸、ですか。陸でしたら我が国、フランク王国が最強でしょう」
と言い切られた。とにもかくにも分かったことはある
「エル、ご協力ありがとう」
「敗軍の将で生殺与奪を握られているなら当然でしょう」
と部屋から監視役の兵士と共に去っていった。
これからもさらに彼から話を聞いて情報を仕入れ、会議にて現在の国際関係を把握しないとなと思う直人だった。
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