第34話
指揮官クラスの人は見つかるのか・・・?
~軽巡「矢矧」医務室~
幾人か指揮官らしき人物を知らないかと聞いていると捕虜の一人から「あ、エクレール殿下でしたらさきほど中に運ばれていったのを見ました」と教えてくれ、さらに「エクレール殿下はフランク王国の名門、モール公爵家の次期当主ですよ」とも話してくれた。
なんと協力的な捕虜だろうかと思っていたら、
「申し遅れました。私はモール公爵家の従者、フラムと申します」
と紹介された。まぁ、主人となる人物に仕えているのだから主人の行方を知っていても当然か。
ともかく一緒に連れていってくれと言われたので
1名の護衛(適当に捕まえた小銃を持つ水兵)をつけてそのエクレール殿下がいるであろう医務室に向かう。
医務室には軍医の平塚大尉と看護兵一人がいてガタッと椅子から立ち上がって身構えたが、護衛がつくからと二人を説明しフラムに頼んでその人物が寝ているであろうベッドを探してもらう。
しばらく探していると「あ、いましたいました」フラムに呼ばれて駆け寄ると、そこには左肩から腹部にかけて包帯が巻かれ額にも包帯が巻かれている若い男性が横になっていた。
「こちらがフランク王国モール公爵家が嫡男、エクレール・ラ・モール殿下にございます」
と恭しく紹介をする。すると紹介された若い男は視線だけを動かして
「こんな姿で挨拶するとは申し訳ない、先ほど紹介されたがエクレールだ。エルとでも呼んでくれ」
と謝意を述べた。挨拶されたのに返さないのも印象が悪いので
「私はこの艦の艦長、小波小平太であります。お会いできて光栄です。殿下」
と敬礼をして挨拶を返す。
「さっそくなのですがエクレール殿下、あなた方の船団の最高指揮官はご存じでしょうか」
と聞く、すると
「あの船団の最高指揮官であるアストル提督は船とともに沈みました。なので私が次席指揮官となるのでしょうか、貴族もいませんし他の方々といっても水兵団の兵団長ぐらいでしょう」
と答えてくれた。
分かりましたと返答し、最後に「なぜ、次期公爵殿下のあなた様がこの船団に?」と聞いたところ、「父上から「お前は世界をみる必要がある」と言われまして…」と苦笑しながら答えた。
ともかく指揮官クラスの人物が見つかったのでこのことを司令部に報告したところ「了解した。引き続き指揮官クラスの捜索と捕虜の輸送を頼む」という旨の返答が来た。
各艦の後ろには降伏していてかつ壊れているが使えそうな帆船をそれぞれ曳航しているし、戦隊の中央に降伏し航行可能な船を囲んでいるので戦隊の進みは遅い。なので時間がまだまだある、そのことに少しばかりげんなりした小平太だった。
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