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第33話

前話の続きです

哨戒中に攻撃を受け迎撃をしていた駆逐艦「吹雪」の増援として水雷戦隊旗艦の軽巡「矢矧」、駆逐艦「深雪」「島風」が加わり敷島防衛海軍初の海戦に突入した。

~軽巡「矢矧」艦橋~

いよいよ敵船団との距離が縮まり10000を切った。戦闘行動には支障がないが数発の直撃弾により後部にある内火艇が破損、前部右舷艦橋のすぐ後ろにある八糎高角砲へ砲弾が直撃し防風盾がへこんだ。そしてそこにいた乗員が衝撃で1名倒れたという被害が出ている。

駆逐艦「吹雪」にも初めから戦闘を行ったせいか右舷前方のカッターをぶら下げている柱が折れる、後部のマストの上部が折れたりと所々破損している。ただし敵船団は10隻が戦闘不能、13隻が沈没、6隻が未だに継戦状態だ。敵船は初めの船体前方についている二門の大砲による砲撃から船体を横にし、側面についている大砲による砲撃に変わっている。

「近弾2、至近弾5っ内一発が艦体を擦りへこんでいますっ」

「浸水はっ」

「現在確認中っ」

艦長の小波小平太が被害報告を受けその確認をする

「確認しましたっ浸水なしとのことっ」

と確認に向かった水兵からの報告がなされる。

「敵艦発砲っ」

「回避っおもーかーじっ」

「おもーかーじっ」

航海長が操舵輪を回避のために面舵をとる、遅れて艦が左に舵が効き始める。

「第四戦速っ側面から逃げろっ」

「主砲装填完了っ」

「斉射っ放てぇっ」

ドドドンと主砲の十五糎連装砲三基六門が小波の指示を砲術長が各砲塔に伝え斉射、

「命中2、至近弾4っこれにより敵艦1隻が轟沈っ1隻が傾斜っ」

「報告っ敵船団は白旗を揚げていますっ」

「ん?降伏の意思があるのか?」

どうしますかと小波に聞いてきた。

う~んと悩んだが独断で行動できないので

「司令部にこのことを報告、指示をあおげ」

と旗艦の艦長として判断した。

この降伏の意思は戦隊の各艦にも伝わったのか砲撃は止み、矢矧を含めて4隻の主砲を向けて無言の威圧を行いながら司令部の返答が来るまで監視、また、「矢矧」の小波艦長の「海に浮かんでいるやつを全員すくいあげとけ」という発言により各艦の無事なカッターや内火艇を使って救出活動を始める。さすがに救助活動中に攻撃をするというのはないと思うが一応警戒をしておく。このような行動をするのは珍しくなく日本海軍の第6駆逐隊の「電」、「雷」は撃沈した敵艦の乗員を救助したことは有名だし、はたまたドイツの潜水艦で撃沈した船の乗員の救助をして運んでいるところを爆撃されたなんてこともある。このようなことはないことを祈る小波小平太だった。

ともあれ何事もなく救助は終え、各艦の甲板には救助された捕虜がたくさんいる。その海水に濡れている捕虜たちの間を毛布などを持って駆け回る水兵や水や食料を配る水兵、さらに艦内に保管されている三八式小銃を持って捕虜を監視している水兵もいる。

そんな光景を見ていると副長の浮島大尉が司令部より来た返答を読み上げた。要約すると「迎撃お疲れさん、捕虜はとりあえず救助しておいてくれ。あと敵の指揮官とかが救助されていたら報告よろしく」という内容だった。

さてもう一仕事、と帽子をかぶり直して甲板に降りていく。下に降りていくと甲板に繋がるドアの外に歩哨代りなのだろうか三八式小銃を持っている水兵から敬礼された。

答礼をして外に出る、すると捕虜たちの視線を一斉に浴びた。目を見てみると不安と恐怖に怯える目だったが一部のところからは蔑みの視線が送られてきていた。その視線の出ている固まりに行くと服装が他の捕虜と少しばかり異なっている。

「すまないけどあの船団に乗っていた上級将校はきみたち?」

と聞いてみる、すると

「誰があんたに言うか、とっとと解放しなければ本国の主力が貴様らを潰しにくるぞ」

と返された、なので

「そうか、なら帰してあげるよ」

と言い水兵を呼んで海に放り投げるように指示する

「ちょっ待て、待たんかっ仮にもフランク王国の上級武官だぞ!そんなことが許されるかっ」

と口答えされる

「きみたちが帰せと言ったんじゃないか、それを実行してるんだ。なにか不満がおありでも?」

と反論してみる。するとその口答えした上級武官という位の男は押し黙る

「一応教えとくけど、今生殺与奪権を握っているのはこちらだ。この状況ではこちらの指示に従う方が自分達の身のためになるんじゃない?」

海に放り投げられそうになった男は黙りこくってしまった。

「さて、もう一度聞く、きみたちの上官、指揮官はこの船にいるか?」

と聞くと

「……一緒に助けられたはずだ。今ここにいなければ別のところにいる」

と弱々しく話した。そうかと答えて他に当たってみることにした。

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