第29話
ふぁ…と机の下にいるコハクがあくびをする。それにつられるように俺もふぁ…とあくびをしかけるがなんとかこらえ、慌てて執務机に向かう。
先日、執務をほっぽりだして散歩に行った俺は帰宅後に中村少佐にお説教、そしてそのなかで今度は監視付きで執務をしてもらうと一方的に言われた。俺は監視付きで苦手な業務、書類にサインしたり目を通して改善点があれば改善点を言うということをしている。その監視役である中村少佐はというと閻魔大王のようなものすごい形相でにらんでいた。
俺はせっせと書類をさばいていくとある報告書が目に留まった。
「うん?」
よく読んでいくと、それは貿易をしたいという要望だった。
「なるほどぉ…そうかぁ…外の世界との交流がないもんね」
「司令、どうかされました?」
閻魔大王のような形相で監視していた中村少佐が形相を元に戻して聞いてくる
「あぁいや三浦少尉からの意見がね」
とその報告書を見せる
「あぁなるほど、いいのではないでしょうか」
「うん、そうだよね。んじゃよろしく」
「…そういえば司令、司令は国外に詳しいですか」
「前の世界なら多少はだけど、今の世界はね」
「そうですよね、では国外に詳しい人をご存じですか」
と聞かれてふと気づく
「…そういや、いないね」
「そうですよね、私も心当たりがありません」
う~んと悩む。うんうん悩んでいるとある人物が浮かんだ。
「あぁ!!いたぁっ!!!」
「キャウンッ」(その大声に驚いてコハクが机の裏に頭をぶつけた)
俺がいきなり大声を出したことにわかりやすく肩を揺らしてびっくりした中村少佐は、気を取り直して聞いてきた
「心当たりがあるのですか」
「いたよいたよ、カエレスエィエスだよ」
「…あぁローマティア帝国の軍人でしたね、ということは国外のことに詳しいと?」
「たぶん、だからこれから行ってくる」
と支度をする
「え、どちらに?」
「ん?村に」
と答えるとはぁとため息をつき
「…非番の銃隊から一個分隊を派遣します」
「いいのに気にしなくても」
「…司令は組織の長ということを自覚してください」
とまたもやため息をつかれた
「ともかく行ってくる…コハクどうした?」
いつもなら俺が立ち上がると机の下から尻尾を振りながら出てくるのだが今日は立ち上がる気配がなかったので机の下を覗くと頭にたんこぶができているコハクが目を回してのびていた
「コ、コハクゥー!?」
俺の悲鳴とも言える叫び声が基地中に響いたそうな。
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