第22話
不審な帆船とは一体・・・
「は、帆船だとっ旗はどのようなやつだっ」
ガタンっと本日の沿岸警備担当である第二銃隊長の佐藤中尉が身を乗り出しながら兵士に問い詰めた
「い、いえ、帆船には旗らしきものは見受けられず…」
と言い淀む兵士
「うむむ…いかがいたしますか司令」
と中村少佐から伺いをたてられた。
(どうしよう…現状、艦船はないからな。船で赴くことが…あっ)
そうだとあることを思いついた
「山本中尉、お望みのお仕事だ。出撃準備はできるな?」
とさきほどまでダラッと話を聞いていた山本中尉がシャキッとなり
「おうよっ司令、いつでもいけるぜ」
と返す
「そうか、では直ちに出撃準備に移れ、第一銃隊の非番組は水陸戦車隊に乗っかりついていけ、第三銃隊は臨戦態勢に移行し出撃準備をとれ、以上、行動開始だっ」
「「「「「はっ」」」」」
敬礼をして山本中尉と鈴木大尉は司令室を飛び出し、中村少佐は基地内に張り巡らされている伝声管で全隊に通達、警戒レベルを臨戦態勢に移行させる。
少し時間をおいて水陸戦車隊が出撃したと連絡が入った。今回はなにも起きませんようにと祈る直人であった。
不審船に向かう水陸戦車隊の一個小隊の特二式内火艇(通称カミ車)の後ろに乗っている第一銃隊第三分隊の分隊長の林軍曹の仲間たちに向けて「海に落ちるなよっ」と乗っけさせてもらう戦車隊の小隊長兼調査小隊長である山本中尉から注意されつつも自らの獲物である九九式有坂銃を撫でる。
(久々にこいつが火を噴けるな)
高まる気持ちでいっぱいだったが山本中尉から「全車、前進っ目標不審船っ」と掛け声がかかり小隊長車を先頭に港湾にあるスロープから海に入り4つの白波が生み出される、それを見た林軍曹は気持ちを切り替えて自らの相棒を握りしめた。
調査小隊として派遣されたのがカミ車4両に第一銃隊の第三分隊、第二分隊計20名で、林軍曹たちは五人ずつカミ車に乗せて5ノットの速さで波間を分けていく。
ゆったり進んでいくが仲間たちは銃をいつでも発砲できるよう弾を込めてる作業を開始した。まだ入り江のなかだったが外に出るまでに同じカミ車に乗っているやつは装填を終わらせている。
だんだん不審船が見えてくる、仲間たちは銃を構えるが攻撃される気配はない、すると各車が不審船の横にぴったりついたので事前に支給された鉤縄を船縁に掛けて登っていく。数回滑ってしまったがなんとか手すりをつかみ甲板に降り立つと既に仲間たちが銃を構える先には着ている服がばらばらな男たちがサーベルやら斧やらを構えて対峙していた。
仲間たちに「まだ撃つな」と告げ
「我らはこの船を調べに来た!この船の一番偉いやつと話がしたい!出てきてくれないか!」
と叫ぶと奥からサーベルを二本腰に差した日に焼けた男が出てきた
「私はムジャマムの子、マジャールだ、この船はフランク王国軍の襲撃から逃れてきた船だ。一応私が率いている」
と返してきた
「わかった、とりあえず武器を納めてくれないか?こちらも納めさせる」
と後ろの仲間と第二分隊長に手で銃を下ろせと指示して下げさせた
「これから我が基地に案内する。そこで司令に話をするといい」
「ありがとう、あと申し訳ないのだが水と食糧を分けてくれないか?わしらはすでに5日間も食べていない、それと病人もいる。頼めるか」
「あぁ基地に連絡しておく、それとその病人を連れてきてくれ、今ここで診よう。おい衛生兵を連れてこい、病人がいるから診てほしいと頼んでくれ」
と近くにいた仲間に言って衛生兵を連れてこさせた。運ばれてきた病人を見た衛生兵は
「おおよそ、壊血病かと。あとで檸檬等を与えれば治るはずです」
付け加えて
「一度、全員診た方がいいかと思います。他にも壊血病患者や感染症を持つ人がいる可能性もあるので」
「それは下にいる戦車の通信兵に言ってくれ、生憎通信機を持ってきていない。ついでにこのことを伝えてくれると助かる」
と衛生兵に伝えさせるように指示。
「あ、そうだ」とマジャールに話しかける
「この船独航できるか」
「まぁ一応」と返してきたので周りをカミ車に囲まれながら入り江に入り、そこからマジャールとその護衛数人とともに基地に帰還する。
さっそく司令室に入ろうとしたが司令から「報告は会議室で頼むよ」と言われたので首脳部メンバー勢揃いのなか林は緊張感で冷や汗をかきながら報告を行い、そのあとになぜかは分からないが林自身も同席の上会談が行われるようだった。
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