第16話
直人君はいったいどんなことを話すのでしょう
中村中隊長から促されたのでコハクとともにしぶしぶ中央に立つが、約160人の視線が俺に向けられる。少し前まで大企業の一平社員にすぎなかったのに今では160人の命を預かる身になってしまった。
さきほどお言葉をと言われたが大層なことを言えないので自分の思っていることを言おう。
「皆さん、今私たちはまもなく大きな試練に立ち向かうことになります。こんな何も分からない素人の私ですが皆さんのために頑張るのでよろしくお願いします」
と言ってお辞儀をし、そそくさと中村中隊長のもとに戻ろうとすると中村中隊長と副官の岡本大尉が俺の前に来て、ビシッと敬礼をして「精一杯支えさせていただきますっ」と言うと後ろの岡本大尉以下約160人が一斉に敬礼し、「「「「支えさせていただきますっ」」」」と言われ、俺は恥ずかしくて顔を真っ赤にしつつも敬礼を返す、一方コハクはキリッとおすわりしたまま俺の横で待っていた。
中村中隊長が160人の兵士たちを解散させて野営地の設営作業をするように指示し、俺、中村中隊長、副官の岡本大尉、そして各小隊長たちをすでに設営された司令部らしき天幕に集めて自分のスマホにきたメールにあった試練について話し、知恵を出してもらうことにした。まず自分達が所持している武器を教えてもらい(武器は三八式歩兵小銃というボトルアクションの小銃とベルグマン機関短銃という拳銃のようなものと艦載されていた7.7粍機銃という軽機関銃があるらしい)、中隊長たちはひとしきり唸ったあと地図を出してもらうように頼まれたので、島の地図を出すと「この入り江に敵兵がいるならばここに手榴弾を投げ込んでから攻め込むのはどうか」、「いや、機銃小隊で牽制しつつ全部隊を突撃させるのはいかがか」など話し合っていたが、突然「ギャァァァー」と悲鳴が上がった。まさか敵襲っ!?と天幕にいた全員が武器を手に慌てて悲鳴の聞こえた方に向かうと一人の兵士の腕にコハクが噛みついている現場だった。噛みつかれた兵士は離そうとしたのか腕を振るが離れない上にさらに傷口が広がったのかまた悲鳴をあげた。俺はコハクに「腕を離せっ」と叫んだら離してくれたが、その噛みつかれた兵士はコハクから逃げようとして後ずさっていき呼ばれていた衛生兵たちによって処置を施されるが、近くにいた兵士たちは自分達も同じ目に遭いたくないので近付かないように天幕を張る場所を変えた。
腕を離したコハクはヴゥーと歯を剥き出しにして警戒していたので、よしよしと宥めながらなぜこのような事態になったのか周りを見た、近くには俺の部屋として使っているプレハブ小屋があり、仮説として考えられるのはプレハブ小屋が自分のテリトリーでその近くに天幕を張ろうとしたグループを自分のテリトリーを侵す侵入者と認識して襲いかかったようだった。兵士たちには不用意にプレハブ小屋に近付かないようにと各小隊にお触れを伝えさせた。
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