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『君は怪物の最後の恋人』女子高生がクズな先生に恋したけど、彼の正体は人外でした。  作者: おぐら小町
【第一章】女子高生がクズな先生に恋したけど、彼の正体は人外でした。
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第2話 ◆メアリーとエミリーの幼い夜の惨劇◆

このページをひらいてくれた貴方に、心から感謝しています。

ありがとうございます。

A big THANK YOU to you for visiting this page.


 時刻は真夜中の0時。エミリーは喉の乾きを覚えて目が覚めた。


『……お水が飲みたい』


 だが、先週7歳の誕生日を迎えたばかりの小さなエミリーにとって、夜のキッチンは至難の場所だ。

 仕方無くエミリーは、部屋の反対側のベッドで眠る1歳上の姉メアリーのもとに向かった。

 子供部屋を共有する姉妹。部屋に入って、右側が妹エミリーのスペース。左側が姉メアリーのスペース。それぞれのスペースにベッドと机があり、部屋の奥に大きな出窓がある。


 エミリーが真夜中にメアリーを起こすのはよくある事だ。今日もメアリーは、ワガママな妹の為に渋々起きる。

 一緒にキッチンに行き、妹に水を一杯飲ませて部屋に戻る。これが、いつものパターン。

 ただし今日は違っていた。姉妹が、部屋に戻ろうとした時、何気なく両親の部屋に目を向ける。開けっ放しの扉が目についた。


((あれ? 変だな?))


 姉妹は顔を見合せ、不思議に思う。そして何の警戒心も無く、両親の部屋に向かった。

 部屋は暗く、明かりが消えている。廊下から漏れる光が、真っ暗な部屋を僅かに照らす。


『パパ? ママ?』


 中に居るであろう両親に向かって、エミリーが声をかけた。

 部屋の奥にある大きな窓と、夫婦用ベッドの間に、誰かが立っている。問いかけに返答は無く、じっと動かないでいる。

 姉妹は部屋に入り、目を凝らして室内をよく確認する。ベッドは荒らされ、壁に鮮血が着いていた。鉄の匂いが充満している。

 途端に不安が押し寄せた。それでも勇気を振り絞り、立っている人物に接近した。


『パパ?』


 今度はその呼び掛けに反応があった。人影が振り返り、姉妹と目が合う。その顔は、父親では無い。背が高い白金髪トウヘッドの青年だった。仕立ての良いスーツに、返り血が着いている。

 本能的に、見てはいけないモノを見てしまったと感じた。その直後、もっと見てはいけないモノを、姉妹は見てしまう。

 それは……青年の足元で息絶えた父親の姿。数時間前に、おやすみのキスを交わした父親が、血溜まりに沈んでいた。

 姉妹は、その場から動けずにいた。父親の返り血を浴びた青年が、無表情で2人を見つめる。部屋に、母親の姿は無い。姉妹は更に焦る。


((どうしよう? 叫ばなければ! 助けを呼ばなくてはいけない! でも足が動かない! 声が出ない!))


 まるで、直立したまま屍になった様だった。その様子を見て青年が近づく。だが、やはり声が出ない。逃げる事が出来なかった。大型の肉食獣と対峙している気分だ。彼から目がそらせない。青年は姉妹の前で跪いき、2人に目線の高さを合わせた。


『やあ。今晩は』


 予想に反する優しい声。姉妹の幼い瞳に映ったのは、端正な顔立ちの青年だった。泣いていたのだろうか? 彼の頬に、涙が流れたあとが見える。

 メアリーとエミリーは奇妙な感覚に襲われた。不思議と恐怖心が薄れゆく。メアリーは意を決して尋ねた。


『貴方は誰なの?』


 青年が答える。


『ごめんね、驚かせて。君達に酷い事をしたりしないから、落ち着いて聞いてくれるかい?』


 2人は真顔でゆっくり頷く。


『よし良い子だ』


青年は左右の人差し指を、メアリーとエミリーのそれぞれの唇に当て、姉妹に告げる。


『メアリー、エミリー今夜見た事は絶対誰にも教えてはいけない。分かったかい? 約束だよ』


『『分かった約束する』』


 何故か、何の疑問も無く即答してしまった事に、姉妹自身が驚いた。本当に何故なのか分からないけど、そう約束しなければいけない気がしたのだ。


作中解説

towheadトウヘッド

金髪の一種で、ほとんど白に近い金髪の事を指す。

天然のものは子供にしか見られないが、極稀に北欧出身の成人にも現れる。

金髪の髪色持つ人間は、地球上で2%にも満たない。

成人のトウヘッドは更に希少な存在である。

日本ではトウヘッドの事をプラチナブロンドと言うが、一般的にプラチナブロンドとは脱色などで人工的に作られた髪色を指す。

太陽の光に両者のを当てると、その違い判別出来る。

天然のトウヘッドは日の光を反射しないが、人工のプラチナブロンドは日の光を反射する。



ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

貴方の今日の残り時間を楽しんで下さい。


Thank you for reading so far.

Enjoy the rest of your day.

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