表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君は怪物の最後の恋人』女子高生がクズな先生に恋したけど、彼の正体は人外でした。  作者: おぐら小町
【第一章】女子高生がクズな先生に恋したけど、彼の正体は人外でした。
15/182

第13話 【4月7日】◆姉妹と白金髪の青年とカップル連続殺人事件◆

このページをひらいてくれた貴方に、心から感謝しています。

ありがとうございます。

A big THANK YOU to you for visiting this page.

 チェスターの家のエントランスホールで、彼の両親を紹介されていた時……ふとメアリーは視線を感じた。見上げると、階段の上に人がいる。歳が20代半ばぐらいの、背の高い白金髪トウヘッドの青年。

 メアリーの金髪ブロンドよりも白に近い白金髪トウヘッドの髪から、彼のルーツが北欧であると推察される。例え北欧出身だとしても、成人の白金髪トウヘッドは珍しい。勿論、脱色していたら別だが……


 白金髪トウヘッドの青年は、階段を降りて挨拶をした。


『やあ、はじめまして。酷いじゃないかチェスター、こんな素敵なお客様を独り占めにする気だったのか? 僕にもちゃんと紹介してくれよ』


 チェスターは、一瞬、青年を睨み付けるが、すぐに気を取り直し、姉妹に青年を紹介した。


『あー……紹介する。俺の……イトコ、マイケルだ』


『よろしく』


 そう言ってマイケルは微笑む。


『私はエミリー』


『メアリーよ、よろしく(あれ?)』


 メアリーはこの青年に違和感を覚える。


(どこかであった気がする、どこで? こんな綺麗な人、会ったら忘れないのに……)


『エミリーとメアリーだね……良かったら、僕も一緒に屋敷を散策して良いかな?』


『ええ、勿論』


『チェスターってば、イトコが滞在してるなら、先に言ってよ』


 エミリーがチェスターにそう言うと、彼は少し苦々しい顔をした。


『ああ……悪かったよ。俺も、まさか居るとは思わなくてな……』


((?))


 チェスターの発言の意味が姉妹にはよく分からなかったが、特別気にはしなかった。

 

 チェスターの家には、御抱え庭師が手掛けた自慢の薔薇バラ園があった。丁度、薔薇の季節とあって、多くの花が咲いている。姉妹が薔薇バラを見たいと言うので、4人は庭に出て花を観賞した。


 マイケルが姉妹に話しかける。


『2人は姉妹なんだね。どおりで、よく似てる』


『本当? メアリーは綺麗なブロンドなのに、私は赤毛よ。それにメアリーの方が美人だわ』


 エミリーは自分の赤毛にコンプレックスがある。幼い頃に近所の男の子から、よくからかわれたのを、今でも少し気にしてるのだ。


『なんだよそれ? 赤毛の何が悪いんだ? 綺麗な色だろ。それにお前は美人だ。他と比べるなよ』


 チェスターがさらりと言う。


『……そうね。ありがと』


 エミリーは素直にお礼を言う。1ヶ月前に比べて、エミリーとチェスターは随分と仲良くなった。前までは考えられなかった事だ。

 今度はメアリーがマイケルに尋ねた。


『貴方のご兄弟は?』


『実は僕、双子なんだ。弟は今、アジアを旅してるよ』


 4人で他愛ない話をしてる所へ、若い家政婦メイドが皆を呼びに来た。夕飯の支度が出来たようだ。家政婦メイドに案内されて4人は室内へと戻る。


 ダイニングルームには、目を引く大きなシャンデリアと作りの立派な暖炉があった。テーブルの真ん中に、美しく盛り付けされた料理が並べられている。


『さあ、お座り下さい』


 家政婦メイドに促され、皆で和やかに食卓を囲う。


 チェスターの一家と、メアリーとエミリー、そしてマイケル。皆で色々な話をしていくうちに、時期が迫るプロムの話題になった。


『僕は両親の仕事の関係で、世界中あちこち行っていたから、実はプロムをよく知らないんだ』


と、マイケルが言う。


『そうなの? ご両親のお仕事は何?』


『海洋生物の研究だよ。それで……メアリーは誰とプロムに行くの?』


『……それが、まだ誰とも約束してないの。誰かさんのお陰でね……』


 メアリーはチェスターを睨みつける。

 メアリーの視線を追うようにして、マイケルもチェスターを見た。そして僅かに微笑みながら、チェスターに尋ねる。


『じゃあ……チェスターは誰とプロムに行くの?』


 皆の動きが一斉に止まり、沈黙が流れる。チェスターに全員の視線が注がれた。そこでエミリーが言う。


『その事だけど……チェスター……メアリーをプロムに誘ってよ』


 エミリーの予期せぬ発言に、全員が驚く。


『エミリー何を言ってるの? チェスターのガールフレンドは貴女でしょう?』


『メアリーの為よ。ここ1ヶ月、チェスターと過ごして分かったわ。粗暴な所もあるけど、根はいい人よ。チェスターとプロム行くべきだわ』


 エミリーはチェスターを推薦する。彼女の目から見て、チェスターは合格点に達したと言う事だ。

 現時点で、メアリーを誘う男子生徒は現れていない。この先、現れるかどうかも分からない誰かを待つより、素行を悔い改めたチェスターと行く方が良い……そう、エミリーは考えた。


 だがメアリーは困惑していた。なにせ推薦された相手は、彼女が忌み嫌っていたチェスターだ。その上、彼は妹のボーイフレンドでもある。実際は違うのだが、少なくともメアリーはそう思っていた。そんな彼を推薦されも、素直に『そうね』とは言えない。


 ここで、チェスターの父親が口を挟む。


『チェット、お前はどうしたいんだ?』


『……俺は』


チェスターがそう言いかけた所で、若い家政婦メイドが足早に来た。


『失礼します。お話が……』


 そう言って、チェスターの父親に耳打ちをする。父親の顔色が変わり、チェスターとマイケルの表情が険しくなった。


『どうやら、近くで殺人事件が起こった様だ。すぐに車を出すから、今日はもう帰りなさい』


『えっ!? また誰か殺されたの?』


『そんな……信じられないわ……』


 動揺する姉妹。先月、チェスターと姉妹が通うハイスクールの11年生カップルが、デート中に殺害される事件が起こった。そして……今日また、別のカップルが殺されたのだ。


『……連続殺人?』


 チェスターの母親が呟く。途端に場の空気が重くなる。姉妹は不安になり、手を重ねた。チェスターとマイケルは、冷静に目を合わす。


ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

貴方の今日の残り時間を楽しんで下さい。

Thank You for reading so far.

Enjoy the rest of your day.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

script?guid=onscript?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ