3話~獰猛な幼馴染はヒロインとは言わない~
書き上がりましたので投稿します。
頭が固い故、一話分の文章が少なくてすみません・・・
それでも書き続けていきたいと思いますので、どうか最後まで宜しくお願いします!
「オルディおっそいッ!!」
開けた途端に目の前にいるコイツは大声で文句を叫んできた。
名はエレナ。髪は肩より長めのストレートで色は目と同じ燃えるような紅。キレのある釣り目は性格によく似ていて、何よりもコイツは狼の獣人であり人間ではない。
年は同じ16歳で、身体は女性らしさが出始めているが…性格が残念過ぎて全然気にならない。一軒家だからと言って、五月蝿すぎるんだよコイツは。と心の中で言ったつもりだったが、油断をしていたせいかうっかり声に出してしまった。
「は?・・・今、アタシの事バカにしたわね?」
しまった!と思ったが既に遅く、エレナの先ほどまでピコピコと動いていた耳はピンと張り眉間に皺を更に寄せ、八重歯を剥き出しにしてグルルルと喉を鳴らし此方を威嚇してきた。
「どうやらアンタまた『お仕置き』されたいようね」
「っ!ご・・・ごめん、許してくれ!俺が悪かった!」
こうなったエレナは非常に危険だ。そのせいで痛い思いをした過去が突如フラッシュバックするが、何とか心を落ち着かせて俺は頭を下げエレナに謝った。
「ふん!今日は気分が良いから特別に許してあげるわ。だけど次はないから」
「・・・ああ、二度としないよ」
グッと握った拳に力が入る。言い返したくなるが、それをすればどうなるかは既にわかっている。
かつて自分はエレナに『お仕置き』という理由で右肩を本気で噛みつかれた。親が直ぐに治療を施してくれたが誰もエレナを責める者はいなかった。負った傷は完全には治らず、自分を戒めるかの様に痛々しい傷跡が残っている。そのせいで俺はただひたすら耐えるしかないのだ。
「なあエレナ、予定の時間よりまだ早いのにどうして俺の家に来たんだ?」
とりあえずエレナの機嫌を損なわなせないよう気を付けながら話しかけた。
「アタシは今日この日をずっとず~~~~っと楽しみにしてたの!当然寝坊なんてするわけにはいかないから、予定より3時間前から起きてたの。偉いでしょ?なのにアンタは何時までも寝ているからわざわざアタシがここまで足を運んで起こしてやったのよ!わかった?なら、ちゃんと感謝しなさいよね!」
「・・・あ、はい。アリガトウゴザイマス」
ありがた迷惑です、本当に。