2話~目覚めの悪い朝~
書き上がりましたので投稿します。
投稿は不定期となっております、ご了承ください。
山頂から太陽が顔を出し、町全体を明るく照らし始める。
そして日の光は、町の端にある一つだけ木造でできた古い家の窓を通り、眠っている彼の顔を優しく包み込んだ。
「・・・朝か」
ガバリと、綺麗とは程遠いボロついた布団から上半身を起こした彼は、「ぐうう」と声と共に大きく背伸びをしそして
「・・・はぁ~~~」
と、大きくため息をついた。何故なら彼にとって朝を迎える事は好きと言えるものではなかったからだ。目覚めてから先程まで止まっていた思考が徐々に動き出し、負の感情が自身を責め立てる。
彼の名前はオルディ、どこにでもいる普通の少年。
・・・だけならば、まだ幸せだったかもれない。だが彼は最弱の種族「人間」であるが故、生まれた時に他の種族達から親と同じ「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまう。その為周りからバカにされ特にアイツからはほぼ毎日、親を含め自分の存在がどれ程惨めであるかを責め立て見下してくる。顔を見るだけでも本当に嫌になってくる・・・
「朝になったわよオルディ、そろそろ起きなさい」
と、扉の向こうから母の声が聞こえる。とりあえず今は負の感情を抑え込み部屋を出ることにしよう。
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「オルディ、今日は神殿に向かう日なのはちゃんと知ってるわよね?」
「ああ、わかってるさ母さん」
母が言った様に今日は神殿に向かう日。16歳を迎えた子供はその翌日神殿に赴き、神から神秘なる力「スキル」を授かるのだ。得るその力は様々で自身の未来が大きく影響すると言っても過言ではない。そうした理由があって今日は必ず行かなければならない。
「前にも言った様にスキルは16歳でわかるけど、実際はそこから一年後にならないと力を発揮できないわ。だから直ぐには使えないという事は忘れないで」
「うん、それも忘れずに覚えているよ」
母はそう言ったが、自分にとってスキルが分かるだけでも今は十分だ。ずっとこの日を今か今かと待ち続けていたんだ。今までの様に何も楽しくもない日常とは違う。スキルを手に入れれば俺たち家族をバカにしてきたアイツらを見返すことができるかもしれない。そして、何よりも・・・
ドンドンドンドンドンドンドン!!
とその時家のドアを乱暴に叩く音によって自分は我に返った。母親は「まだ早いんじゃない・・・?」と言ってるが確かにそうだ、まだ予定の1時間程前だと言うのに。アイツは待つということができないのか?それよりドアを強く叩き過ぎなんだよ!壊れたらどうするんだ全く・・・
「オルディ!!居るならさっさと開けなさい!!!」
でかい声を上げながら訪問者は自分の名前を呼んできた。ああもう耳に響くから少し黙れ!!後ドアを乱暴に叩くなと言ってるだろ!!!
そう心の中で文句を言いつつ、苛立ちをため息と共に吐き出しながら俺はドアを開けた。そしてそこには、一番出会いたくない奴が仁王立ちで此方を睨みつけていた。