12話〜お世話上手のオルディさん〜
おまたせしました
書き上がりましたので投稿します。
今回下品な部分がありますでご注意下さい
ソイツは突如目の前に現れた。
全身緑色で髪の毛はなく、鼻と耳は長く身長は小柄でボロボロの布を腰に巻いただけの存在。
間違いなくコイツは「ゴブリン」だと確信する。
知能の持たない野生の魔物であり友好関係を築く事は恐らく不可能だ。何よりコイツらは相手を見かけた瞬間攻撃してくる非常に危ない存在でもある。
だがそれは見つかった場合の事であり、向こうから相手を探し出す事はまず無い。縄張りに入るか恨みを買う様な事をしない限り大丈夫の筈なのだが・・・
「ギギッ!ギッ!!」
するとゴブリンは俺の隣のカゴを見て何やら嬉しそうに鳴き出し、俺はそれでハッと気付く。
ゴブリンは基本雑食であり食えるものなら何でも食べるので、当然人間が食える物も値するのだ。
「!ま・・・まさか、俺が取った大量のキノコの匂いを嗅ぎつけ此処まで来たのか!」
と思った束の間、ゴブリンは俺の取ったキノコを奪おうとするのか此方にゆっくりと近づき始めた。
そんな状況の中自分は動けずにいた。何故ならゴブリンに出くわす事は今まで一度も無かったので、先程からずっと驚きが収まらずどうする事も出来ないのだ。
だからと言ってこのままでは良くない。
此方には狼族の子供が居るのでせめてこの子だけでも逃さなければならない。まだエレナのように「紅狼」であったらゴブリンを容易く蹴散らせれるのだが、この子は最弱とされる「黒狼」であり、何よりまだ子供なので命の危険が高い。
残念ではあるが、キノコを置いてこの子と共に逃げるのが最善だろうと考えていた・・・その時だった
グルルルルルルルル………
突如ゴブリン以外の声が間近で聞こえ始めたのだ。
まさかと思い自分は近くにいる子供の方を見た瞬間、その光景に目を見開いた。
先程の可愛らしい顔は何処に行ったのか。
今の狼少女は目先のゴブリンを凄まじく睨み付け、両指を鉤爪の様に曲げ牙を剥き出しながら唸り声を上げている。
それだけではなく、彼女はその状態から威圧のようなものと殺気を放っていた。流石に異変に気付いたゴブリンが狼少女の変わり様に驚き後退りをし出している。
「・・・え?」
そこからは一瞬の出来事だった。
狼少女がゴブリンに飛びかかったと同時に、何とゴブリンが真っ二つに引き裂かれたのだ。吹っ飛んだ上半身を回らせながら落下していくゴブリンはやがてドサリと落ちたが、既に絶命していた。
まさかあんな幼い子供が魔物を倒すとは。最弱の黒狼であれ程の力を持っていると言うのか・・・
未だ現実を受け入れられずに居ると、向こうから狼少女が近づいてくるのが見えた。ゴブリンを倒した故か先程の様な恐ろしい顔は消え、年相応の可愛らしい顔に戻っていた。
すると狼少女はそのままトテトテと小走りで俺の前まで寄って来た。
何だろう?と思いそのまま見ていると自分の頭を此方に向け、そのまま動かなくなった。お礼を言いたいのかな?と思ったけど頭を上げる事は無く、耳だけがピコピコと動いている。
もしかして・・・撫でて欲しいって事なのか?
そう思い彼女の頭を片手でワシワシと撫でてあげた。
するとあの時と同じく、フニャリと気持ち良さそうな顔になり、耳が横に垂れて尻尾もブンブンと振り出した。
「・・・褒めて欲しかったのだろうか?」
あの時見た光景は二度と忘れられない程衝撃だったけど、この子のお陰で自分と獲ったキノコが救われたので俺は感謝の気持ちを込めて頭を撫で続けた。
およそ五分後、突如狼少女は撫でていた俺の手を両手で掴み、手の平部分を自分の頬にスリスリと嬉しそうに擦り付け始めたのだ。
まるで相手に自分の匂いを付けているかのような行為は、少なからず自分に対し信頼している証拠なのだろう。だが彼女がここまでするのは何故だろうか?それだけは分からなかった。
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その後自分は山を降り自宅の前まで戻ってきた。背負ったカゴには収穫した大量のキノコ、そして
「・・・??」
右手繋いだ先には山中で出会った狼少女が居る。反応を見るとどうやら家を見るのは初めてらしい。
あれから狼少女をどうするか悩んだ末、家に連れていく事と決めた。正直彼女程の力があれば一人で生きていけるかもしれないが、幾ら何でもまだ幼すぎる。それに初めて出会った時は空腹状態だった為あのままだと危なかったに違いない。
そう言う訳でここまで連れてきた訳だが、ここは家族の家なのでまずは両親を説得しなくてはならない。それが無理だったら最悪新人種の彼等に引き取ってもらうしか無いのだが、この子は「黒狼」であるし何よりあのエレナが何もしない筈が無い。
あの獰猛で理不尽の存在に手を出されるくらいなら、自分一人でこの子を育てる覚悟のつもりだ。それを含めてキチンと親に説明しよう。
まあそれは後にして
「ようこそ、俺の家に。そして此処はキミがこれから住む家になるんだよ」
俺はそう言いながら彼女を家に招き入れる。因みに今の時刻は昼過ぎなので親はまだ帰ってはいない。建物の中が不思議なのだろう、先程から辺りをキョロキョロと見回している。俺はそんな狼少女の頭に手を置き大丈夫だと教えると、安心したのか少し落ち着きを取り戻したようだ。
俺はまず台所まで連れて行き、そこから中庭に繋がる引き戸を開けた。今お風呂辺りを説明しても狼少女は分からないだろうと思ったからだ。
家はボロい一軒屋だが、木で作られた柵が家全体を囲んでいる為、外から覗かれる事は無いのが有り難い。
「いいかい?ここが中庭と言って、洗濯物を洗ったり干したりする場所なんだ」
そう言いながら実際干している洗濯物に指先した。
それでも、自分の言ってる言葉を狼少女は理解できないとは思っている。ならせめて雰囲気だけでもわかって欲しいと思ったのだが
「ぅぅー・・・」
狼少女は急に顔を曇らせ、お尻を抑えてモジモジし出したのだ。
どうしたのかと思った束の間
突如洗濯物の隣辺りまで駆け寄り、その場でワンピースの下部分を上に巻き上げた。彼女は下着を付けておらず、そこには尻尾を生やした白く小さめのお尻があった。
「ん〜〜・・・・」
そしてそのまましゃがみ込むと黒い尻尾を上げ、プルプルと全身を震わせながら力み出し・・・
「いやちょっと待って!?それは不味い!!そこでするのはダメだって!!!」
察した俺は慌てて狼少女を止めようとするが
ぷぅ〜〜〜
と臭い風で返事をして来た。いや言葉使えないからと言ってそれは無いわッゲホゴホッッ!くっさああ!!
迂闊に近づいたのが原因で毒風を吸ってしまい、その場で身動きが止れなくなる。だがそれで狼少女が止まる事は無く、気付いた時には既に最終段階だった。
「ダメだああああああああ!!」
・・・
・・・・
・・・・・
「ふぅ・・・」スッキリ
「間に、合わなかった・・・」
俺の目の前には達成感のある顔をした狼少女が居た。
そして彼女の真下には、その体からは合わないだろと思わせる程の大量◯◯◯が鎮座してあった。
恐らく今まで外で生活をしていたのだ・・・そんな子がトイレ何てそこら辺でしてもおかしくは無い。ただ、此処で生活するにはちゃんとトイレの場所を教えておかないとな・・・はぁ
そう考えていると、彼女はしゃがんだまま辺りをキョロキョロし出した。何かを探して・・・あ
気付いた自分は家のトイレにある紙を何枚か持ってきて彼女に見せた。
「ほら、拭く紙が欲しかったんだろ?これ使っていいよ」
どうやら後の事は出来る様だ。俺は狼少女に紙を渡そうとしたが、何故かソレを受け取ってくれない。
すると予想外の事が起きた。
「はえ?」
その光景に思わず変な声が出てしまった。
いや何で、この子俺にお尻を突き出してるの?
「・・・」じー
狼少女は黙ったままで何もしようとしない。
なあ、おい・・・まさかこれって
俺に拭けって言ってるのか!?!?
結局最後まで狼少女は俺に頼り切り、彼女が残した後始末も全て俺が処理する事になった。
・・・どうしてこうなった
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