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11話〜出会いはキノコと共に〜

おまたせしました


書き上がりましたので投稿します。

 

 パチリと目を開くとそこにはいつも通りの自分の部屋があった。


 時刻は朝のようで窓から日の光が差し込み、部屋の中全体がほんのり明るく照らされている。



「・・・あれは、夢だったのか?」



 上半身を起き上がらせ夢の中の出来事を思い出す。


 基本的に夢の全てを思い出すのは難しい筈なのだが、先程見た記憶は何一つ忘れずに覚えていた。謎の空間、喋る光の球、そして語られた内容もハッキリと分かる所からやはり只の夢とは思えない。



「希望を捨てるな、か・・・」



 あの空間から離れる時に聞こえた言葉


 今まではどんな時も挫けずに生き続けていたけど、使えないスキルを得た時自分は絶望のあまり弱者の諦めが見えていた。


 そんな時に出会った光の球が言ってきた事はつまり、如何なる時も自分を見失しなってはいけないって伝えたかったんだろう。


 そのお陰で自分は再び人間として生きる希望を持つことができそうだ。このスキルも今は分からないがいずれは強力な力を得られると信じる事にしよう。



「まあ今後の事はおいおい考えるとして、今は朝食を食うか」



 今日はすべき事があるので俺はベッドから立ち上がった。





========================





「さて、取り敢えずはこんなものでいいかな?」



 時刻は昼過ぎ。自分は一通りの作業を終え休憩を挟む事にした。



 いやー、今日は運が良かったな!


 ほっこりとした気分で後ろに目を向けると、そこにはカゴにいっぱい入った様々なキノコ。



 今日俺は山の中に入りキノコ狩りをしていた。此処らで取れるキノコは質もよく、種類も豊富で食材や薬の原料など用途も広い。それでも毒キノコも存在するので危険ではあるが、俺は両親から得た知識のお陰で山の中にあるモノなら殆ど分かるし問題ない。



 家族が共働きをしている生活の中で自分も何か出来ないかと思って始めたのがこれだ。家で使うは勿論この町に訪れる商人に売る事だって出来るし、更に他の種族が木材を取る以外あまり山に入らない事もあってか様々な山菜も良く取れるなど、今の自分にはピッタリの仕事だ。



 それで今日はキノコを中心に探し回っていた訳だが、何と午前中の間だけで大量に取れたのだ。普段でもこれ程取れる事はまず無く、しかもハズレに値する毒キノコに全く巡り会わなかった事が驚きだ。



「一応これで今日の目標は達成した訳だし、山を降りるのは昼食を取った後からにするとしよう」



 俺は近くにあった低めの岩を椅子代わりに座り、カゴを隣に置いて鞄から弁当を出し始めた・・・そんな時だった。





 ガサッ





 何やら後ろの方から草の動く音が聞こえた為俺は行動を止めた。


 野生動物の可能性があるが、こんな山奥だと魔物に遭遇する事だってあり得る。それに・・・エレナが黙って追いかけてきた可能性も無くはない。



 俺は警戒心を最大に保ちながらゆっくり後ろを振り返る。すると・・・





「・・・・・・」じー



 そこには、木の後ろから此方をじっと見つめている女の子が居た。



 ただ同じ人間ではないようだ。


 隠れてる為顔が半分しか見えないが、頭から狼と思われる耳が生えていてそれがピコピコと動いているのが分かり、ちらっとだが尻尾もあるのが見えた。



 俺は一瞬エレナかと思い心臓に強い衝撃が走ったが、良く見ると顔も幼いし身長も低い。この子は年齢的に10歳程だろうか?と思っているとアイツとは全く違う部分がある事にようやく気付く。



「黒い髪・・・もしかしてキミは『黒狼』か?」



 そう思い訪ねてみるが、彼女からは反応が無くただ此方を見つめるばかりだ。


 もしかしたら言葉が分からないのかも知れない。


 新人種の中には教育を受けれない者も少なからず存在するのは知っていたので、彼女もその内の一人なのだろう。



 彼女からは敵対する様な感じは無く、ただ興味本位で此方を見ているんだと思い俺はその子に近づいてみる事にした。





「・・・っ」



 すると彼女は怯えた表情をしながら顔を殆ど隠してしまう。どうやら警戒しているようで、これ以上近づくと逃げてしまう可能性が高い。


 さてどうしたものかと悩んでいると、





 ぐぅ〜〜〜…





 と何か音が聞こえた。


 もしかしてと思い音がした方を見ると、元気のない顔をした彼女がお腹を抑えている。


 どうやらお腹が空いているようだ。その時俺はある事を閃き、一度元の場所に戻って鞄から弁当用の干し肉を取り出した後再び彼女の近くまで寄った。そして彼女と同じ目線までしゃがんで持ってきたモノを見せると





「!!!」



 それが何か分かった瞬間、先程まで元気のない表情から一気に目をキラキラと輝かせる顔に変わった。どうやら本当にお腹が空いていたようでその証拠に尻尾がブンブンと振っているのが見える。



 試しに左右にゆっくり動かすと顔も同じように動き出した。今度は振り子のように動かすと、警戒心が消え去ってしまったのか木の後ろから出てきてフラフラとした足取りで此方に近づいて来た。



ここでようやく彼女の全体が分かった。ふともも辺りまである汚れの目立つワンピースを着ていて、足はサンダルを裸足で履いている。肌は白くて、黒い髪はエレナより短めのふんわりと広がったロング、目も黒色だ。



 やがて目の前まで近付いた途端、凄まじい速さで干し肉を掴み取りガツガツと食べ始めた。尻尾を更にガンガン振り回しながら美味しそうに食べる彼女は、何か面白いけども可愛らしく見えた。



 やがて食べ切りお腹をポンポンと叩き満足な表情をした彼女からは先程の警戒心は殆ど無くなっていた。俺は試しに彼女の頭を触れようとすると、彼女はビクリと震わせ目をつぶってしまったが、さっきのように逃げる事はせず背を丸くするだけだった。



 俺は安心させる為に頭に手を乗せゆっくりと撫でる。すると先程までの緊張の走った表情が次第に取れ始め、やがてはフニャリと耳が垂れ少し顔を赤らめ気持ち良さそうな顔をしている。



 どうやら成功した様だ。そう思った矢先





 ガサガサッッ!



 再び草の動く音がした為其方を見ると、そこには





「ギキッ」




 野生のゴブリンが姿を現したのだった。




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