10話~これは神のいたずらなのか?~
長らくお待たせしました
書き上がりましたので投稿します。
「は・・・?いや、秘密って何!?」
俺はそこに表示されている言葉に理解できなかった。
先程見た「主夫の極み」の詳細はあんなに細かく書かれていたにも関わらず、この正体不明のスキルはどういう事か「秘密」としか表示されていないのだ。だが気になったのはそれだけじゃない
「ってか秘密『じゃ』って何だよ!まるで誰かに意図的に隠されている様にしか見えないぞ!?もしこれが神によってされた事なら・・・」
俺は神を疑ったが、だからと言って決めつけるのはよくない。下手したらこの町に居られなくなるし最悪他の新人種から命を狙われてしまう可能性もある。
「・・・いや、まだ決めつけるわけにはいかないな。一度確認してみよう」
その為に一度「戻る」を押して、再度スキルの詳細を表示した。すると
[戻る]
詳細:「???????改」【不明】
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だーかーらー!秘密じゃ!!
「文章が変わった・・・ってあれ!?何かさっきより言葉遣いが荒くなってるんだけど!」
先程とは違い文章が変わっていた。俺はもう一度確認しようと同じ事をしたのだが・・・今度は「戻る」は押せても「詳細」が押せなくなっていて、しかも詳細の文字が
[何度も押すな!]
に変わっていた。だがこれで認めたくない事が分かってしまった。
「これ明らかに神によってされてる事、だよな?一体何の理由があってこんな事を・・・」
神ですら俺をバカにすると言うのか・・・。
そんな事をしてる内に時刻は既に深夜だったので、色々思う事があるけど今は寝る事にした。今まで哀しい気持ちを抱きながら明日を迎える事はいつもの事ではあったが、今日はこれまで受けてきた理不尽な思いよりも更に哀しい気分のまま俺は眠りについたのだった。
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『・・・きろ、・・・い、起きろ!』
『・・・ん?』
誰かの声が聞こえ、重い瞼を少しずつ上げていく。すると
『おい!起きろといってるんじゃ!!』
『ぐへぇ!?』
その束の間俺の腹部に衝撃が走り、俺は先程まで眠気でいっぱいだった頭が一気に目を覚ました。
『うぅっ・・・一体何なんだ・・・って』
え?ここは、何処??
辺りを見渡すとそこは俺の部屋ではなかった。周りは非常に広く白い壁で囲まれており、天井は真っ暗でてっぺんが見えないにもかかわらず、謎の空間は光があるかのように明るかった。
『この寝坊助め、ようやく目を覚ましおったか!』
すると目の前から声が聞こえたので視線を戻すと、そこには光の球のようなモノがフワフワと浮かんでいるのが見えた。
もしかして・・・これが喋っているのか?不思議に思ったけどこの部屋には自分と光の球しか無いので取り合えず話しかけてみる事にした。
『あの』
『お主が我に言いたいことがあるのは分かるが先にこっちの質問に答えてもらうぞ!よいな!!』
『ア、ハイ』
と思ったが先に話しかけられた。
ホントは言いたい事あったけどエレナの影響故か、自然と相手の意見を先に聞いてしまう姿勢になってしまった。
『まずはお主の名前を確認したい。名は「オルディ」で合っておるか?』
『は、はい。合ってます』
何か尋問を受けてるような気分がするが・・・取り合えず相手の機嫌を損なわせない様、今は従おう。
『よろしい、では次じゃ。お主の幼馴染が「勇者」の名を授かっているのは間違いないな?』
『はいそうです』
エレナは確かに「勇者」の名を授かった。あの性格で勇者に選ばれたのは本当理解できないが、それでも事実である事は間違いない。
『フム・・・ではこれが最後の質問じゃ。お主が授かった力に名前が表示されてないのはあるか?』
『・・・はい、あります』
『!成程成程、つまりお主がそうで間違いないって事じゃな!』
もしかしたらバカにされるんじゃないかと思ったが俺は正直に答えた。
すると光の球は上機嫌そうな声を上げ左右に揺れだした。名前の無いスキルなのに何故そんなに喜んでいるのだろうか?
『あの・・・何故そんな事を聞くんでしょうか?』
『む?おおっと、そうじゃったな!お主の質問にはまだ聞いておらなんだわ』
揺れていた光の球はピタリと止まり、やがて俺に聞きたかった事を言ってくれた。
『まず我が誰か、と言う事なんじゃが・・・悪いが今は我が名を教える事は出来ぬ』
『ええ・・・?』
教えてくれないのかよ!と言いたかったが「今は」と言ってたのでいずれ教えてくれるんだろうと思い我慢した。
『それと先程質問した事については、この先の未来でお主の力が重要な役割を果たす故に聞きだしたのが理由なのじゃ』
『重要な、役割・・・?』
言われた事にピンとこなかった。
いやだってさ?いきなりそんな事言われて理解できる方が逆に凄いと思う訳で、何より非力な人間族である自分が重要な役割って言われても何も思い当たるモノが無いからだ。
いや待てよ?今の自分にあるものって・・・まさか
『それって・・・自分が持つ名無しのスキルの事?』
『そうじゃ!今持っているお主の力こそこの世界を救うカギとなるのじゃよ!』
『へ?世界を救う??ど、うい、、事、、、、』
言葉が途切れ途切れになっている異変に気付いたその時、自分の視界が段々と暗くなり更に互いの距離も遠ざかっているのが分かった。
『おっと、どうやら時間切れの様じゃな。まあ今ある僅かな力を使って無理やり作り出した空間である故にそう長続きする訳にもいかぬか。取り合えず聞きたい事は聞けたから良しとしよう』
え!?ちょっと待ってそっちは良くても俺は良くない!まだ聞きたい事あるんだけど!!
『心配せずとも我らは再び出会う事ができる。それまで決してお主の心にある人間族としての希望を捨ててはならぬぞ!』
俺は必死に抗ったが無意味のようで、謎空間からはじき出されるかのように後ろに遠ざかっていく。
『再び会える日を楽しみにしておるからな!我、、ら、、、が、、、、、、、よ』
最後の言葉は聞き取れず、自分の意識はそこで途切れてしまった。
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