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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第7章・トラック野郎と水の王国』
78/273

78・トラック野郎、ありがたく頂戴する

*****《コウタ視点》*****




 ウミヘビの化物を細切れにした俺は、関わり合いになるのを恐れて、ミレイナ達と合流する為にスターダストへ向かっていた。

 太陽達には悪いがすっとぼけさせて貰おう。俺がやった証拠はないし、勇者の事情に関わるのはもうゴメンだからな。

 それに、今頃はシャイニーとキリエがミレイナの着せ替え人形となってるはずだ。シャイニーの気分転換を兼ねて買い物するってミレイナは張り切ってたしな。

 運転すること三〇分。ナビの案内で『スターダスト・ウツクシー支店』にやって来た。

 相変わらず女性客ばっかりだが、意を決して俺は店内へ。

 ミレイナ達はすぐに見つかった。

「見てくださいシャイニー、すっごく綺麗なイヤリングですよ」

「これはウツクシー海で採れるシーパルシェンの真珠イヤリングね。最近は養殖も出来るようになったらしいけど、天然物とは大きさも輝きも違うそうよ」

「これは·········養殖物ですか?」

「ええ。本物と比べれば一目瞭然よ」

 なんか楽しそうだな。 

 イヤリングやネックレスが展示してあるスペースで楽しそうに笑ってる。前にもこんな事があったけど入りにくい。

 しかし、やっぱりミレイナちゃんは気が付いた。

「あ、コウタさん」

 俺はミレイナ達の元へ。

 するとシャイニーが俺に確認する。

「終わったの?」

「ああ、災害級は倒したよ」

「そう。お疲れ様」

 それだけだった、実にあっさりしてる。

「では社長。詳しい話は全て後にして、今は買い物を楽しみましょう」

「······よし。そうするか」

「まさかキリエに言われるとはね」

「うふふ、今日は楽しんじゃいましょう‼」

 ミレイナの号令で、俺たちは買い物を再開した。




 それから数時間……買い物や食事、観光などをして楽しんだ。

 シャイニーはずっと被り物をしてるせいで窮屈そうだったが、そんな事を忘れるくらい楽しんでいたと思う。

 夕方近くになり、一度宿に戻って休憩してから、夕食に出かける事になり、トラックに乗って宿へ向かった。

「あれ、コウタさん。あそこに居るのは勇者様じゃ?」

「あ、ホントだ」

 宿の前に太陽達がたむろしてる。

 こりゃ絶対に俺の事か、それとも別のことか。

 トラックを停車させて窓を開けると、興奮気味の太陽が近づいてきた。

「おっさんおっさん!! 会えてよかったぜ!!」

「お、おう」

「あのよ、大事な話と渡すモンがあるんだ。ちょっと時間くれや!!」

「ちょ、落ち着け……」

 俺はトラックを馬車の駐車スペースに移動させ、ミレイナ達を連れて太陽達の元へ。

 話したいことは決まってるだろうし、ここは乗っかるべきだな。

「俺たちメシでも食おうと思ってたんだ。よかったら一緒にどうだ?」

「お、マジで?」

「ああ。今度は海鮮鍋の店だ。奢ってやるけどどうだ?」

 太陽はすっげぇ眩しい笑顔で振り返ると、月詠達はニッコリ笑い頷いた。

「行く!!」

 そんなわけで、少し早いがみんなで海鮮鍋の店へ。

 この国には魚が多いな。悪いワケじゃないがガッツリ肉が食べたい気持ちになる。

 お店に到着し、大人数だったのでまたもや個室に案内された。

「さ、好きなの頼め」



「サンキューおっさん!!」

「ありがとうございます、コウタさん」

「ありがとうございます、おじさま」

「ありがと、おにーさん♪」

 太陽はともかく、煌星までおじさんかよ。

 飲み物を注文し大鍋を三つ頼む。さらに舟盛りも注文した。

 俺とシャイニーはキンキンに冷えた麦酒、それ以外は冷えたお茶を掲げ、一番年上の俺が乾杯の音頭を取った。

「それじゃあ……乾杯!!」

「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」

 こうして、アガツマ運送会社と勇者パーティーの夕食会が始まった。




 まずは海鮮鍋を堪能する。

 たっぷりの魚介類が入った美味そうな鍋だ。エビ、ホタテ、白身に赤身。出汁も濃厚な魚介エキスが染み出して美味い。

 鍋をつつきながらビールもとい麦酒を煽る。

「ッかぁぁ〜〜ッ‼ 麦酒がうめぇぇっ‼」

「コウタ、オヤジ臭いわよ」

 シャイニーにツッコまれた。確かに今のはオヤジ臭かった。

「はふはふ······おいひいれふ」

「ふむ、ここに辛味パウダーを入れればもっと美味しくなると思いませんか?」

「ちょ、やめなさいよキリエ·········でも、美味しそうかも」

 うちの従業員達は一つの鍋を仲良く分け合ってる。ちなみに辛味パウダーは少しだけ入れた。

「くぅぅ〜っ‼ 肉も美味いけど魚もうめぇぇっ‼」

「確かに。ウツクシー王国といえば海鮮だもの」

「クリスちゃん、このホタテ美味しいですよ」

「食べる食べるっ‼」

 育ち盛りだから勇者達には鍋を二つあげた。案の定、こいつらはよく食べる。おかげで鍋も舟盛りもあっという間に完食した。

 食後のお茶を啜っていると、月詠が鞄をゴソゴソ漁り、中からソフトボールほどの青いビー玉を取り出した。

「シャイニーブルーさん、これを」

「これは······」

「災害級危険種サーペンソティアの【龍核】です。正確には龍ではないんですが、サーペンソティアの脳から出てきたんです」

「の、脳?」

「はい。実はお聞きしたい事がありまして」

 来たか。ってかこの巨大ビー玉······あのウミヘビの脳みそ割って取り出したのか、なんかグロいな。

「コウタさん·········災害級危険種を討伐したのは、貴方ですか?」

「は? んなわけあるかよ、今日は俺たち全員、町で買い物してたんだぞ?」

「·········そうですか」

「だーから言ったろ月詠、おっさんは無関係だって」

「じゃああの状況はどう説明するの? 災害級危険種がいきなりバラバラになって落ちて来たなんて」

「そりゃアレだ、海にはもっと強いモンスターがいたんだよ」

「そんな強いモンスターがいるなら、どうして今まで船や海の生物達が被害に合わなかったのかしら?」

「それは、ええと······そう、そのモンスターは海の守り神かなんかだよ」

 うーん、太陽と月詠の言い争いになっちまった。

 でも、災害級を倒したのが俺なんて言ったら、どんな厄介事に巻き込まれるかわからん。もしかしたらオレサンジョウに来てくれなんて言われるかもだし。

「わぁ······キレイです」

「ふむ、これが災害級危険種の【龍核】ですか。見た目は完全な円形ですね、従来の龍核はもっとゴツゴツしてると思いましたが」

「·········これなら」

 ミレイナ達は龍核を見ていた。

 これでシャイニーの追放処分が取り消されるのか。

「明日、陛下は『王令』を使うそうです。その後でよろしければ、わたくし達が陛下への謁見を取り次ぎますが、如何でしょうか?」

「ええと、じゃあ宜しく頼む」

「まっかせて‼」

 頼りになる勇者パーティーだ。

 一国の王様に合うなんて中々出来ないぞ、まぁ俺は外で待ってればいいかな。

 こうして、楽しい食事会は終了した。




 太陽達と別れ、宿へ戻ってきた。

 場所は俺の部屋。みんなで集まり話をする。

「『王令』は全国民に向けて発表されるわ。どんな政策が立てられるかみんなワクワクしてるわね」

「確かに、町やお店でもそんな話ばかりでしたね」

「それに、どんな政策が持ち出されるか賭けなども行われてるようです」

「それにしても、こんなビー玉が国宝ねぇ」

 俺の視線はベッドの上にある巨大なビー玉。

 確かにキレイで美しいけど、とても国宝に変わる物には見えない。

「あのね、災害級危険種の龍核なんて、この国では歴史上一度も見た事がないお宝よ。武具にでも加工しようもんなら、伝説を超えた神話クラスの武具が造れるわよ」

「へぇ、すげーな」

 ぶっちゃけ興味ありません。武器はトラックで十分だし、拳銃やらミサイルやらがありますんで。

「勇者には借りが出来たわね······」

「ま、あいつ等がゼニモウケに来たときにメシでも奢ってやれよ」

「そんなのでいいの?」

「ああ。太陽ならきっと喜ぶぞ」

 明日、王様は『王令』を使う。その後で次期国王を指名するはずだ。

「明日ですか······シャイニー、追放処分が取り消されるといいですね」

「それはどうでもいいって。アタシはプルシアンをぶん殴りたいだけだから」

 明日は、大変な一日になりそうだ。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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