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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第7章・トラック野郎と水の王国』
76/273

76・トラック野郎、お久しぶりです

*****《コウタ視点》*****




 トラックの傍に居たのは、カジュアルな格好に武器を持った勇者パーティーの一行だった。

 まさかの不意打ちに俺だけでなくミレイナ達も驚いている。

 すると、嬉しさを隠そうとしない太陽が、俺の傍まで来て言う。

「へへへ、久し振りじゃん、おっさん。なんでウツクシーに?」

「あー……仕事だよ仕事。そういうお前達は災害級の討伐だろ? こんな所で何してるんだ?」

「やっぱ知ってるのか。ちょっと色々あってな、作戦を考えてるんだ。そしたらおっさんのトラックを見つけてさ」

「なるほどなぁ……作戦?」

「ああ。あのウミヘビ、海の上だと無敵でさ、ちょっと不利なんだよなぁ」

「………ふーん」

 意味分からん。なんだよウミヘビって。

 それより腹も減ったし、ここで再会したのも何かの縁だ、年上らしい振る舞いをさせて貰おうかな。

「実は俺達、これから海鮮丼を食いに行くんだけど、よかったら一緒にどうだ? 奢ってやるよ」

「マジ!? さっすがおっさん、気前いいじゃん!!」

「うるせ。あとおっさんは止めろっての」

「へへへ、ゴチになりまーす」

「いや聞けよ……」

 揉み手する太陽は後ろのハーレム三人に向けて一声掛ける。俺も振り返りミレイナ達に頷くと、みんな笑って賛同してくれた。

「キリエ姉、ひさしぶり」

「クリス、貴女も元気そうで何よりです」

「えへへ。あのね、私すっごく強くなったよ。魔術もいっぱい覚えたし」

「お待ちなさい、話は食事をしてからゆっくり聞きますから」

「あう」

 キリエはクリスの頭をポンポンなでて微笑を浮かべる。やっぱり妹が可愛いんだろうな。

「じゃ、案内するわ。こっちよ」

 俺たちは八人という大所帯で町を歩き出す。ちなみに先導するシャイニーは帽子を被り髪を隠している。目はそのままだが、通行人にバレるとは思わないし、青い目の人間ならたくさん居る。

 そのまま歩くこと一五分。シャイニーお勧めの海鮮丼の店に来た。

 大所帯のおかげか、店の奥にある個室に案内される。 

 メニュー表には海鮮丼と刺身盛り合わせしかない。まぁ海鮮丼の店だし文句はない、味噌ラーメンしかメニューに載ってないラーメン屋もあるしな。

 注文後に運ばれてきた海鮮丼、そしてみんなで食べれるように刺身の舟盛りを食べる。

 驚いたことに、なんと魚醤が出てきた。ちょっとニオイはキツいがそんなの気にならないくらい嬉しかったぜ。

 食事が終わりお茶を飲みつつ、ウミヘビとやらの不満を太陽は語る。

「でさ、あのウミヘビマジでムカつくんだよ。なーにが完全決着だよ、海で暴れるくらいしか出来ないクセによ。だったらテメーが陸に来いってんだ」

「いやいや、相手は災害級だろ? 普通は近づこうなんて考えないぞ」

「でもよ、あのウミヘビが海域を荒らしたりしてるせいで、漁船が漁に出れないんだぜ。今はまだ平気だけど、早く討伐しないと美味い魚が食えなくなっちまう」

「うむむ、確かにそうだけど……」

「なぁおっさん、あのウミヘビを倒す、いいアイデアはないか?」

「うーん……」

 んなもんあるか。俺はトラック運転手だし、モンスター退治は専門外だ。

 それに、ついさっきシャイニーを説得できたおかげで、災害級を倒して素材を貰うっていうイベントがなくなったばかりだ。俺としては少し観光したらさっさとゼニモウケに帰りたい。

『社長。災害級危険種サーペンソティアを討伐する方法はあります』

 イヤホンから聞こえてきたタマの声は空耳だろうな。うん。




 俺と太陽は男同士で会話していたが、女性陣は華やかに楽しく会話していた。

 ミレイナとシャイニー、月詠と煌星は真剣で真面目な話をしている。

「眷属、ですか?」

「はい、サーペンソティアは言ってました……六匹の眷属が人間界に放たれたと」

「ふーん。じゃあツクヨ、あんたはサーペンソティアとかいうヤツを倒したら、他の眷属も狩るの?」

「ええ。一度オレサンジョウへ戻って陛下に報告します。玄武王を倒した影響が早くも出てくるとは……」

「仕方ありませんよ月詠ちゃん。わたくし達がしてる事は間違いではありません」

「……そうね。ありがとう、煌星」

 真面目だな。なんか色んな意味で入りにくい。

「それでね、ツクヨってばタイヨウの前でおっぱいぽよーんって出してね、タイヨウってば前屈みになってたの」

「それは勇者タイヨウの『男』が目覚めたからですね。恐らく、合体の日は近いかと」

「合体?」

「はい。いいですかクリス、初めては辛いでしょうが、頑張って下さいね」

「うん。ありがと、キリエ姉」

 あっちは楽しそうだ。話してる内容こそ意味分からんが。

「なぁおっさん。オレとしては、正面から行くしかないと思うんだ。クリスの魔術なら二分は耐えられる、つまりその二分以内にケリを付けるしかない」

 太陽はどうすれば災害級危険種を倒せるか考えてる。頭の悪い方法だが、恐らくそれしかないだろうな。

『社長。災害級危険種サーペンソティアを討伐する方法はあります』

「あー……そうか」

「ああ。明日、もう一度海に出る。そこで完全決着だ」

「な、なるほど。頑張れよ」

「ああ。明後日には王様が『王令』を使うみたいだし、明日中にケリを付けてやるぜ」

「え? あ、明後日?」

「ん? ああ、本人が言ってたから間違いねーよ」

「お前達、王様に会ったのか?」

「ああ。いろいろ相談されてな、なんでも、王女様が悪いヤツで……」

「太陽!!」

「うおっ!? あ、いや、その……」

 月詠が声を張り上げ、口を滑らせた太陽を黙らせる。

 だが、クスリと笑ったシャイニーが、月詠を抑えて言った。

「いいのよツクヨ。王女プルシアンの悪行はアタシ達も知ってるから。まさかアンタ達にあのバカ王が相談してたとはね」

「え、あの……」

「ふふ、プルシアンはアタシの姉なのよ。腹違いだけどね」

 シャイニーは帽子を取ると、蒼い髪と瞳を見せつける。すると月詠はハッとしてシャイニーを見つめていた。

「蒼い髪、瞳……王様と同じ色?」

「そう。アタシもウツクシー王族なの。五年前、プルシアンに嵌められて国を追放されたのよ」

「そんな……」

 煌星が口を押さえて悲しんでる。ええ子や。

 シャイニーは俺たちがこの国に来た理由を語る。アルルの事、災害級危険種の素材の事、そしてプルシアンを殴ると言う事。

「素材ですか……」

「いいの、そっちは諦めたから。プルシアンが王女になるのは決定事項だし、もうアタシはこの国に未練はないから」

 何ともまぁ晴れやかな笑顔。晴れやかというか諦めきったというか。

 すると月詠と煌星が目を合わせ、何故かお互い頷き合った。

「シャイニーブルーさん。もしかしたら可能性があるかもしれません」

「え?」

「災害級危険種の素材もですが、プルシアン王女に近づくチャンスはあるかもしれません。ですので、諦めないで下さい。わたくし達は明日、もう一度海に出ます。そこで必ずサーペンソティアを討伐して素材を手に入れますので、信じていただけないでしょうか」

 二人は真剣な表情でシャイニーを見てる。その二人を見たシャイニーは何かを感じたのか、少し微笑んで頷いた。

「………わかった。よく分からないけど、アンタ達を信じるわ」

「はい。ありがとうございます」

「シャイニーブルーさん、この国の王様は素晴らしい方です。『王令』が使われた時、きっと全てが変わると思いますよ」

「……ええ。そう信じるわ」

 よく分からん。王様の『王令』が何かを起こすらしいって事か?

 それプラス災害級危険種の素材でシャイニーが城に戻り、プルシアン王女をぶん殴るってのか。いつの間にかそんな流れになってる。

『社長。災害級危険種サーペンソティアの討伐方法があります』

「……………はぁ」

 どうやら、俺の出番もありそうだ。




 そう言えば、キリエとクリスを忘れてた。

「それでね、キラボシのおっぱいがぽよよーんって弾けたの。タイヨウってばデレデレして……ねぇキリエ姉、私も見せた方がいい? ガッカリされない?」

「それは勇者の好みによりますね。巨乳が好きなのか、貧乳が好きなのか、または両方好きなのか……私の予想では、あの勇者は童貞です。大きさに拘らず、女性の胸であればどんなサイズでも飛びつくと思います。問題なのは勇者が女の味を覚えた後ですね」

「ど、どういうこと?」

「いいですかクリス、身体を赦したからといって、毎日エサをあげるような事をしてはいけません。どんなに美味しい食事でも、毎日同じメニューでは飽きてしまいます。つまり、捨てられると言う事です」

「がーん!! いやいやいや、捨てられたくないよぉ」

「ですから焦らすのです。幸い勇者の嫁は四人居るそうですね、そこでローテーションを作り、勇者の竿を皆で管理するのです」

「な、なるほど!! さっすがキリエ姉!!」

 なんだこの姉妹……会話に参加してねぇと思ったら、何を話してんだ。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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