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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第6章・トラック野郎と緑の都市』
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70・トラック野郎、ブルデコトラカイザー②

 ええと······状況を整理する。

 俺はスナダラケ砂漠を進んでいた、そしてコーラを飲んで一服してたらデカいサソリが現れたんだ。そしてトラックバックの派生形態であるブルデコトラカイザーでサソリをやっつけた。

『社長。デザートスコーピオンの包囲網が完成しました。全方位からの襲撃に備えて下さい』

「あの、何匹くらい居るんでしょうか?」

 思わず敬語になってしまう。ちくしょう、こんな時ばかり嫌な予感は当たる。

『熱源から推測。推定二百のデザートスコーピオンを感知。主に砂中からブルデコトラカイザーを狙ってると考えられます』

「マジかよ······」

『更に、ジャイアントデッドスコーピオンが包囲網の最奥にて待機。どうやら仲間を殺された事による報復と思われます』

 マジかよ、こんなサソリの化物に仲間を思う気持ちがあったのか。でも俺だって死ぬわけには行かないし、むざむざ殺されるわけには行かない。

「どうする、逃げる······のは無理だよな?」

『肯定です。包囲網を突破する事は不可能です』

「じゃあやっぱり······」

 確認するまでもなく、答えは一つだった。

『はい。殲滅戦を提案します』




 殲滅戦かよ。めちゃくちゃ物騒な単語だ。

 俺は改めてコントローラーを握りしめ、ブルデコトラカイザーをゆっくり前進させた。

『社長。来ます』

「よよよよーし、きき、来やがれってんだ‼」

 めっちゃブルってます。だって怖いもん。

『シャガァァァッ‼』

『ギシャァァァッ‼』

「来たぁぁぁっ⁉」

 突如、砂地から何匹ものサソリが現れた。

 タマの言ってた包囲網から現れたデザートスコーピオンは、巨大なハサミと尻尾でブルデコトラカイザーを狙う。

『社長。ダメージを気にせず攻撃を』

「わ、わかったぁぁぁっ‼」

 俺は手当たり次第にバケットアームを振り回す。そしてグッチャグッチャとサソリのボディがどんどんバラバラになっていくのを見た。

「うっげグロいぃぃっ‼ タマ、何とかしてくれよ‼」

『残存数一八〇。残存数が一ニ〇を下回るまで攻撃をして下さい。その後必殺技で殲滅します』

「必殺技⁉ そんなのあんのかよ⁉」

 こりゃ驚きだ。もしかしてドライビングバスターを使って殲滅するのかな。

「よ、よし。こうなりゃやってやる」

 フロントガラスにはポイントが表示され、サソリ一匹始末する度にポイントが増えていく。どうやらかなりポイントを稼いでるようだ。これならやる気は出る。

「うぉぉぉぉっ‼」

 バケットアームは強力で、振り回す度にサソリが吹っ飛んで行く。所々でダメージを貰うが構うもんか。毒の尻尾なんて怖くない、ギロチンのようなハサミなんて怖くない。

『ギッシャァァァッ‼』

「うっひぃぃぃっ⁉」

 ポイントが七〇万を越えた頃、ついにボスが現れた。

 デザートスコーピオンを超強化したようなボス、ジャイアントデッドスコーピオンだ。

 尻尾は八本で、ハサミもカニのような爪ではなく、クレーンゲームにありそうな三本爪になってる。まるでズゴックみたいだ。

 そして何より、俺でも分かるくらい怒り狂っていた。

 デザートスコーピオンも数は減ったとはいえまだ大量に居る。ちくしょう、何だよこの地獄は⁉

「おいおいおい、必殺技は⁉」

『使用可能です。ブルデコトラカイザーの必殺技を使用します。コマンドを入力して下さい』

「はぁ⁉ 何だよそれ、ドライビングバスターを使うんじゃねぇの⁉」

『はい。各フォーム時に使用出来る必殺技はコマンド入力方式となっております。ドライビングバスターは共通武器ですので、コマンド入力による制限はございません』

「なるほど·····っおおおっ⁉」

 頷いてる場合じゃなかった。八本の尻尾がブルデコトラカイザーの装甲をガリガリ削る。

 俺はフロントガラスに表示されたコマンドを入力する。

「上上下下右左赤青‼」

『ぶぶー、入力失敗』

「ふざけんなァァァァっ⁉」

 手が震えていたせいか、コマンド入力をミスってしまった。

 落ち着け、落ち着け。息を整えてもう一回。慌てるな、ポイントもいっぱい稼いだし、これだけ稼げたら念願の車も買えるかもしれない。よーし、いい感じだ。

「上上下下右左赤青」

『コマンド入力成功。ブルデコトラカイザー必殺技を発動します』

 よっしゃ‼ 見たか俺の実力を‼




 すると突如、ブルデコトラカイザーの車高が低くなる。

「うおっ、何だよ⁉」

『タンクモード変形。バケットアーム展開。ドライビングバスター装備』

 どうやら下半身が変化して、戦車のような姿になった。だけど上半身はロボットのままで、戦車の上にロボットの上半身がくっついている姿だ。どうやら機動性がアップしたらしい。

『両腕部展開。《スピニングバケット》発動』

「おおおっ⁉」

 両腕を広げたと同時に、上半身がコマのように回転した。

 頭と下半身はそのままで、上半身だけが高速回転してる。おいおいまさかこれって。

『社長。ブルデコトラカイザーを操作して敵を殲滅して下さい。この状態で接触するだけでモンスターを討伐出来ます』

「なるほど、要はコマみたいに弾き飛ばせって事か‼」

 俺はアナログスティックを操作してデザートスコーピオンの群れに突っ込んだ。すると面白いようにサソリ共が弾かれ肉片と化す。なんかテンション上がって来たぜ。

「うっほーーっ‼ なんか楽しいぜーーっ‼」

 まずは雑魚を片付けてボスを狙う。ヤバい、めっちゃ楽しい。

 ポイントもガンガン貯まるし、デザートスコーピオンの攻撃は全部弾かれて当たらない。全部始末するのに三分と掛からなかった。

『ギシャァァァァァッ‼』

 むふふ、ジャイアントデッドスコーピオンが怒りの咆哮を上げている。こんだけ殺られても逃げないのは知能の低さ故か、それともただ単純に許せないのか。

「お前の命、砂と一緒に撤去してやる‼」

 俺はスピード全開でジャイアントデッドスコーピオンに体当たりする。

「おりゃーーっ‼」

『ギシャァァァァァッ‼』

 衝突。結果はジャイアントデッドスコーピオンがバラバラになって吹き飛んだ。どう見ても即死だろう。

「パンパカパーン。レベルが上がりました」

「やった······あぁ、疲れた······」

 今度こそコントローラーを落とし、俺は運転席にもたれ掛かった。




「コウタさーん、ごはんですよー」

 戦闘が終わりブルドーザーに戻ったと同時にミレイナがひょっこり顔を出した。どうやら俺の奮闘に全く気が付いて居ないようだ。何とも言えないミレイナスマイルに安堵する。

「わかった。すぐ行くよ」

「はーい」

 色々と確認したいけど、ミレイナごはんが最優先だ。とりあえず今の戦闘で得たポイントだけを確認しようかな。

「タマ、今の戦闘でポイントをどれくらい稼いだ?」

『ポイントを表示します』


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【通常ポイント】《1200450》

【ポイント貯金】《300000》

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

「うぉっ⁉ ひゃ、百万⁉」

『ポイント貯金を合わせると新たな車体を入手出来ます。【従車販売】を開きますか?』

「いや待て、とりあえず後にしよう」

 よーしよし、新しい車の目処が付いた。これで車を買えば事業を拡張出来る。とはいえ運転手が欲しいなぁ。シャイニーでもいいけど、俺の荷物運搬に支障が出そうだし。

「こらコウタ‼ ごはんだって言ってるでしょーがっ‼」

「うおっ⁉ わ、悪い悪い、今行くから」

 俺の中に、新しい可能性が生まれた。

 従車の運転手を新しく雇う。つまり、従業員を増やすという可能性だ。もちろんみんなに相談するけどな。

 あ、当然だけど女の子でな。むさ苦しい男は誰も望んでないだろうしね。

 その前に、まずはミレイナのお昼ごはんだな。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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