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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第1章・トラック野郎と少女の出会い』
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3・トラック野郎、少女と出会う


 翌朝。俺は最後の煎餅を食べ、再び出発した。

 目指すは『商業王国ゼニモウケ』だ。というかそこしか行く場所がない。


 「なぁ〜、食べ物と水をなんとかしてくれ」

 『畏まりました。それでは周囲をスキャンし、人体に摂取して問題のない食物を選びます』

 

 そう、食べ物と水。

 いくらトラックがすごくても、俺が死んだら意味がない。ちなみにトイレは外で済ませた。

 

 『検索完了。現在地より南へ約4キロ先に、飲料可能な水源と果実を発見しました』

 「水っ⁉ よし行こう‼」

 『畏まりました。途中、モンスターとの遭遇も予想されます。武装をオート設定にして置くことをおすすめします』

 「おし、任せたぜ‼」

 『畏まりました。武装をオート設定にします。それではナビを表示しますので、設定ルートをお進み下さい』


 するとフロントガラスにナビが表示される。いやはや、ホントにありがたいね。


 「ありがとな。助かるぜ」

 『恐縮です』


 

 俺はナビを頼りにトラックを走らせた。


  

 ********************



 街道を走ること20分。特にモンスターとも出会わずに走って来た。まぁ経験値は欲しいけど轢き殺すなんてしたくない。


 『警告、目的地に生体反応アリ。数は2』

 「生体反応? もしかして人間か⁉」

 『······検索完了。生体反応データ、人間とモンスターです。現在戦闘中』

 「せ、戦闘中⁉ そ、それってマズいのか⁉」

 『モンスターデータ照合。モンスターは『ファイターゴブリン』です。この辺りでは強敵です。手練でも1人では対応が難しいと予想されます』

 「くそ、このトラックの武装で対応出来るか⁉」

 『可能です』

 「じゃあ行くぞ、飛ばすからな‼」



 俺はハンドルを両手で握り、アクセルを踏んで加速した。



 ********************



 水源に到着した俺は、その光景に目を奪われた。


 「おぉ·········すげぇ」


 目の前には透き通った池があり、どうやら上流から流れてきた水が貯まっているようだ。

 だが、そんなことに驚いているんじゃない。重要なのは、水源近くにいるモンスターと、そのモンスターと戦う人間だ。

 モンスターは『ファイターゴブリン』という、俺が轢き殺したゴブリンより遥かにデカく筋肉質だ。それに格闘家みたいな構えで人間と対峙してる。


 問題なのは、対峙してる人間だ。


 人間が少女だというのはわかった。

 長いプラチナブロンドに透き通るような白い肌、スラリとしたボディはスタイル抜群で、胸は大きく揺れその先端も美しい。

 足は細く長く美しい。きっとスベスベなんだろうなと思わず見とれてしまった。


 つまり、素っ裸の少女がモンスターと対峙してた。

 たぶん、水浴びをしてて遭遇したんだろうな。まさかモンスターが着替えを待つワケがない。少女の手には細い剣が握られ、よく見ると肩で息をしている。


 『マスター、武装を選択して下さい』

 「あ、ああ」

 

 すると、少女がこちらに気付き驚いていた。


 「な、なにコレ⁉ 新手⁉」

 「離れろっ‼」


 俺は窓を開けて叫び、機銃をゴブリンに向かって掃射した。

 未知の攻撃にゴブリンファイターはなす術もなくハチの巣になった。


 『パンパカパーン、レベルが上がりました。[ベアリング弾]が開放されました。[電磁ウィップ]が開放されました。新項目[車体強化]が開放されました。[車体強化]の説明を聞きますか?』

 「とりあえず後で、今はあの子が先だ」


 俺はボーゼンとしてる少女の裸体をたっぷり楽しみ、脳裏に焼き付けつつ窓から声を掛ける。


 「おーい、大丈夫かー?」

 

 俺はトラックを少し前進させ、少女の近くで停車させる。眼福眼福。


 「こ、これはなに? モンスター······?」

 「いやいや、トラック······って言ってもわかんないか。とにかく怪我はないか?」

 「は、はい。その、助けてくれてありがとうございました」

 「いやいや、こっちこそありがとう」

 「え?······ひゃぁぁっ⁉」


 少女は自分が全裸だと気付き、身体を隠してしゃがみこんだ。

 さすがに悪いと思い、俺は静かにバックした。



 我ながらゲスなヤツだぜ。だが男なら見るだろ?



 ********************



 トラックから降りて水源をのんびりと観察すること5分、着替えを済ませた少女がトラックに近付いて来た。


 「あ、あの······」

 「ああ、どうも」

 「い、いえ。その、助けて頂きありがとうございました」


 少女の顔は赤い。あれだけたっぷりと裸を見られたんだ。まぁ俺は眼福でした。感謝してます。


 「私はミレイナ、『商業王国ゼニモウケ』から来た冒険者です」

 「俺は吾妻幸太。えーと······運送屋だ」

 「アガツマ、コウタ? ウンソウヤ?」

 「コウタでいいよ。それと、う〜ん、運び屋かな?」

 「運び屋ですか。なるほど······じゃあこれは?」

 

 ミレイナと名乗った少女の視線はトラックへ。まぁ当然の疑問だ。よく知らんが、この世界じゃトラックはオーバーテクノロジーな気がする。

 

 「まぁその、気にしないで。それよりさ、ここの水って飲める? それと近くに果実があるって聞いたんだけど」

 「は、はい。水は上流の川なら飲めます。果実はあそこに」

 「お、やったぜ」


 俺は池の近くにある木を見つけ、赤い果実を1つもぎ取る。


 「·········」

 「そのままでも食べれますよ。あの、よかったら貸してください」

 「え?」

 「いえ、助けてもらったお礼がまだですので、よかったら簡単に調理をします」

 「いいのか⁉」

 「はい。手持ちの食材と合わせれば、少しはまともな料理になると思うので」

 

 ミレイナに果実を渡し、調理をお願いした。

 

 「このリコの実は果実と言うより野菜に近いんです。そのままでも食べれないことはないんですが、酸っぱいので······なので、お肉と合わせて炒めると、肉の脂と酸味が交わりとても美味しい炒め物が出来るんです」

 「ほぉ〜」


 ミレイナの荷物の近くに、即席のかまどがあった。どうやら前からここで休んでたみたいだな。火も既に着いてたし、バラ肉と野菜とリコの実を刻んであっという間に炒め物が出来た。


 「さぁどうぞ。お口に合えばいいのですが······」

 「おぉぉ、すっげぇ」


 俺はミレイナから炒め物の皿を受け取り、スプーンでさっそく一口食べる。


 「·········超ウマい」

 

 いや、マジで美味い。

 俺はかき込むようにスプーンを動かし、ミレイナが差し出した水筒の水を飲み干して完食した。

 

 「いや〜、まさかこんな美味い料理にありつけるとは。ありがとうな、ミレイナさん」

 「いえ、命の恩人ですから」


 にっこり笑うミレイナはメッチャ可愛い。せっせと後片付けをして荷物を纏めてる。さて、腹も膨れたしそろそろ行くかな。


 「あの、ミレイナはどうする? 俺はこのまま『商業都市ゼニモウケ』に行くけど、よかったら送ろうか?」

 「······いえ、実は依頼がまだですので、それだけは果たさないと」

 「依頼?」

 「はい。この森のどこかにある、『シンフォニアの花』を採取しなきゃいけないんです。だから······」

 「······そっか、じゃあ」

 「はい······助けて頂き、ありがとうございました」

 

 ミレイナはペコリと頭を下げるけど、俺が言いたいのはそうじゃない。というか、ここでサヨナラするほど腐っちゃいない。それにキレイな裸をたっぷり堪能させてくれた恩は、まだ返したとは思えないしな。


 「俺も手伝うよ。というか手伝わせてくれ」

 「え······で、でも」

 「いいから、ほら行こうぜ」

 「あ······」


 

 俺はミレイナの荷物を掴み、トラックへ歩き出した。


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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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