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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第3章・トラック野郎と初めての依頼』
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29・トラック野郎、久し振りの飲酒


 ギルドの解体場にメタルコングを降ろし、報酬を受け取った。

 この頃にはシャイニーも復活し、お腹が空いたとだらけてる。まぁマッドコングの襲来があったし、あれだけ暴れればハラも減るだろうな。それに俺としてもシャイニーの強さが確認出来た。


 「今日のメシは何だと思う?」

 「ふっふっふ……実はミレイナに聞いといたのよ。今日は肉鍋よ!!」

 「マジで!?」


 ミレイナの肉鍋……じゅるり。

 ヤバいな。ポイントでビールを買っておこう。1人暮らしの時も鍋なんてやったことがない、実家に帰ったときもやらなかったのに、料理上手のミレイナが作る肉鍋なんて食ったら……ぐふふ。


 「よし、急いで帰ろう!!」

 「もち!!」


 今日の仕事はおしまい。

 俺の会社はクリーンだ。残業なんて絶対しない。時刻は多分6時くらい……いいね、帰ったらご飯だ。ミレイナのことだし準備はしてる。

 ちなみに会社は5時で閉める。その後事務所とロビーを掃除して、ミレイナは夕飯の支度、キリエは明日の配達の確認をする。

 確認と言っても預かった荷物は20件もない。すぐに終わる。キリエはミレイナの手伝いをしてるはずだ。



 トラックの変形にジェット機がない事を悔やみつつ、事務所へと帰宅した。



 **********************



 「ただいまー」

 「たっだいまーっ!!」

 

 シャイニーと俺が事務所に帰ると1階は既に暗かった。だが、フワリと肉のニオイがする。俺とシャイニーは思わず顔を見合わせ、2階の居住スペースへ上がる。


 「お帰りなさい、コウタさん、シャイニー」

 「お帰りなさい、コウタ様、シャイニー」


 私服に着替えたミレイナとキリエが、共同スペースであるダイニングで夕飯の支度をしていた。

 ミレイナはピンクのエプロンに、プラチナブロンドヘアをピンクのシュシュで纏めている。キリエはシンプルな黒いエプロンで、サラサラの白髪をミレイナと色違いのシュシュでポニーテールにしていた。家庭的な2人の姿に、俺は感動した。


 「さぁ2人とも、手洗いうがいをして着替えて下さい。間もなく食事の用意が調います」

 「わかった」

 「いいニオイ~」


 俺とシャイニーは言われたとおり着替え、再びダイニングへ。

 シャイニーは普段着にクセっぽく長い蒼髪を青いシュシュで括っていた。


 「あれ? もしかして」

 「ふっふ~、さすがのコウタでも気が付いたわね」

 「前にキリエの買い物をした時、みんなでおそろいのシュシュを買ったんです」

 「ちなみにエプロンも買いました………まぁ、シャイニーは使う機会がなさそうですが」

 「うっさいわね!! あ、あるに決まってんでしょ!!」

 「ほう、それなら明日の夕食はシャイニーにお任せしましょう。明日は集落の配達も少ないですし、夕方前には帰って来れると思いますので」

 「………」


 シャイニーが黙り込んじまった。ミレイナも困ったように微笑みながら、ちゃんと助け船を出した。


 「あ、あの、シャイニー、私も手伝いますから」

 「むむむ……」

 「シャイニー、貴女は冒険者だったのでしょう? 冒険者は野外で寝泊まりもする事が多く、簡単な煮炊きは誰でも出来ると聞いたのですが」

 「あ、アタシはその……携帯食を囓ってたから」

 「ほう、なるほど」

 「い、いいでしょ別に!! 携帯食美味しいもん、ドライフルーツ美味しいもん!!」

 「お、落ち着けよ。それより、メシにしようぜ」


 鍋も良い感じに煮えてきた。

 ミレイナの了解をもらい、俺は鍋の蓋を外す。


 「うぉっほ~っ!!」 

 「わぁ~っ!!」

 「うん、良い感じです」

 「さすがミレイナですね」


 グツグツと良い感じで煮えてる。タップリの肉にちゃんと野菜も添えられてる。


 「これはポッチャリオークの肉です。煮込むと柔らかくていい味が出る、お鍋にぴったりのお肉なんですよ」

 「ポッチャリオークって、高級肉じゃない!!」

 「はい。私がミレイナにおねだりして買いました」

 「キリエがかよ。元シスターなのにずいぶん欲望に弱いな」

 「いえ、これは神の啓示なのです。頑張った自分にご褒美をあげよ、と」

 「お前は一人暮らしのOLか」


 とまぁ、お喋りはここまでにしていただきます。

 タレはない。スープに味が出てるので肉と野菜とスープを取り皿に盛る。ちなみにミレイナちゃんがやってくれました。ホント嫁に欲しいわこの子。でも17歳だし……まだ早いよね。

 さっそく肉をパクリ…………うん、美味い。マジで美味い。人生で食べた鍋の中でも最上級の旨さだ。鍋をつつく手は止まらない。俺はもう1つ、ドライブインで買った缶ビールを開ける。


 「こっちも………っぷは、っくは……ははは、はっはっは」


 ヤベぇ、美味すぎて涙が出てきた。幸せだと笑いが出てくるんだな。俺は酒に強い方だし、缶ビール2~3本じゃ酔わない。だけど気分が良くなってきた。


 「あーっ、アタシも飲みたいっ!!」

 「いやお前未成年だろ? これは大人の味だ」

 『警告。この世界の成人年齢は18歳です。よってシャイニーブルー様は飲酒が可能』

 「なぬ? っていうかイヤホン付けたまんまだった。よーしシャイニー、お前も飲め!!」

 「やたっ!! じゃあアタシもいただきまーすっ!!」

 「キリエ、お前は?」

 「酒は神の血……もちろんいただきます」

 「モノはいいようだな、ほれ」


 ミレイナちゃんは残念だけどジュースで。酔っ払ったミレイナちゃんも見てみたいけどね。さすがにヤバいから自重します。ゴメンね。


 「み、みなさん、明日も仕事があるのでほどほどに……」

 「だーいじょうぶよミレイナぁ~……うぃっく」

 「そう、神は存在するのです。この世界を造りし大いなる神。神は私たちを見守り、私たちは神を崇める……ああ素晴らしき人生……」

 

 う~ん、やっぱ酔っ払ってる? シャイニーはミレイナにじゃれつき、キリエは意味不明な言葉を繰り返して祈りを捧げてる。俺もちょっぴり気分が良くなってきた。


 「あ~……気持ち良くなってきた」

 「こ、コウタさんまで……きゃあっ!?」

 「うへへ、ミレイナちゃんは可愛いねぇ~……もみもみ」

 「しゃ、シャイニー、胸……ダメぇっ……!!」

 「うっへっへ。よいではないかよいではないかぁ~」

 「ああ神よ、我に救いを……」

 「うぅ~……久々で酔った……」


 なんか意識がボンヤリしてきた。酒を飲んだのも久し振りだったし、酔いが回るのがだいぶ早い……なんか眠い。


 「………ぐぅ」

 「あ、コウタさん、助け」

 「み~れ~い~な~」



 最後に見たのは、シャイニーがミレイナの胸を揉んでる姿だった。



 **********************



 「……………あれ?」


 気が付くと自室のベッドの上だった。

 着替えもしてないし風呂も入っていない。頭が少しズキズキする……多分、軽い二日酔いかな。後で栄養ドリンクをポイントで買おう。

 取りあえず着替えてダイニングルームへ。するとそこには朝食の支度をするミレイナの姿があった。


 「おはようミレイナ」

 「おはようございますコウタさん」

 「……えっと、昨日は」

 「昨日は?」

 「え、えっと……」


 なんかミレイナちゃんが怖いです。にっこり笑ってるけど黒いオーラを纏ってるような。さすがに分かった。昨日は後片付けも全部ミレイナにやらせちゃったみたいだし、俺たちをベッドに運んだのもミレイナだろう。


 「も、申し訳ありませんでした」

 「……お酒、しばらく禁止です」

 「はい。わかりました」

 「よろしい。ではもうちょっと待って下さいね。すぐにご飯が出来ますから」

 「ああ、わかった」


 ミレイナは笑って調理を再開する。どうやら俺たちのために胃に優しいお粥を作ってるようだ。この気遣いレベルは聖人クラスだろ。誰もマネ出来ないぜ?

 俺は一度自室に戻り、着替えを持って風呂場へ向かう。せめて軽くシャワーでも浴びてニオイを消さないとな。

 そう思い、俺は風呂場のドアを開けた。


 「え?」

 「は?」


 そこに居たのは、全裸のキリエだった。

 シャワーを浴びたのか、白い肌には赤みが差している。長い白髪は纏められており、俺の視線は美しい裸体に釘付けだった。

 胸はやはりデカい。ミレイナより大きく形も美しい。先端だけが桃色でぷっくりしてる。

 腰のくびれや下半身の細さも素晴らしく、一流モデル顔負けのスタイルだ。これは素晴らしい。


 「あの、そんなに見られると恥ずかしいのですが」

 「そ、そうか……スマン」


 まったく裸体を隠そうとせず、堂々と全てを晒す。恥ずかしがってるとは思えないし、顔色も普通のままだ。って、見てる場合じゃないだろ俺!!

 慌ててドアを閉め、俺は再び自室へ戻ってきた。



 参った。朝から元気すぎるだろマイサンよ。


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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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