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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第18章・トラック野郎とフードフェスタ』

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244・ソーラー・オブ・マイネリーベ①/夜を翔るカイム

 食事もせずに自分の宿へ駆け込んだオレは、オレのベッドの上で眠りこけてるカイムを叩き起こした。

「カイム!! おいカイム!!」

『ひょあっ!? ななな、なんでっか!?』

 オレは両手でガッチリとカイムを掴み、クリクリしたフクロウの瞳と目を合わせた。

「お前、情報屋なんだよな!? ちょっと手を貸せ!!」

『へ? あ、あの、どうしたんでっか一体? というかワイ腹減ったわぁ······タイヨウはん、なんか食いモンあらへん?』

「食いモンなら好きなのいくらでも買ってやるから!!」

『あ、あの落ち着いて······』

 とりあえず、オレは深呼吸した。 

 そして思う、あの『バルコニーの少女』を。オレは確信した、あの少女とオレは、きっと運命の出会いなんだと。

 ずっと一緒に育ち、いつの間にか好きになってた月詠。

 同じクラスで、守ってやりたい煌星。

 オレが大好きで甘えてくるクリス。

 固いがふと見せる仕草や笑顔が素敵なウィンク。

 そして、婚約者であり美しく可愛らしいエカテリーナ。

 どの女の子とも違う、大好きだけど、愛しているけど、今までとは違う。

「······カイム、調べてほしいことがある」

『······聞きましょ』

 オレは『バルコニーの少女』に恋をした。

 本当に、初めての一目惚れだった。




 オレは少し前の出来事を語る。

 夜空を彩る金色の星、そして風になびく金色の髪、柔らかくそして濡れているような笑顔。陰りのある笑顔を俺が明るく照らしたい。そう、太陽のように。

『うわぁ·········タイヨウはん、詩人でっか?』

「うるせぇ!! 頼むカイム、彼女の情報を集めてくれ」

『構わへんけど、報酬は支払ってくれるんやろな?』

「はぁ?」

『魔界や魔王の情報は提供するけど、個人的な依頼となれば話は別や。仕事の対価をキッチリ払ってもらいまっせ』

「く······いくらだよ」

『金やない、今回の場合は情報の『結末』が報酬やね』

「······結末?」

『そうや、金なんかもろうてもワイに使えるワケないやん。ワイは自分の集めた情報の最後を見届けたいんや。依頼主にとってワイの情報が生きたのか、それとも死んだのか······情報屋として、その結末を知りたいんや』

「つまり、オレと『バルコニーの少女』の結末か?」

『そうやね。それで、どうします? 依頼料、払いまっか?』

「·········」

 なんだ、要はコイツ覗き見したいだけかよ。

 でも別にいい。今はあの子のことを知りたいからな。

「わかった、好きにしろよ」

『契約成立やね』

 カイムは羽を広げ、窓際へ向かう。

 外はもう真っ暗だが、フードフェスタのおかげかかなり明るい。

『じゃ、あとでお会いしましょ』

 そう言って、カイムは飛び去った。

 体毛が黒いせいか、すぐに見えなくなってしまった。




 それから間もなくして、月詠たちが帰ってきた。

「あ、いた!! コラ太陽、勝手にいなくなるな!! みんなで探したのよ!?」

「う、す、すまん」

 月詠が怒るのも無理はない。だってバルコニーの少女を見たオレはメシも食わずに宿へ一直線だったからな。

「あの、どうかしたんですか、太陽くん?」

「いや、別に······」

 何故だろう、一目惚れしたなんて言えない。

 月詠たちは当然大好きだ。でも、バルコニーの少女に一目惚れしてしまった。これは浮気になるのかな。

 オレのベッドの周りに、月詠、煌星、クリス、ウィンクが集まる。みんな可愛いし大好きだ。でもあの子のことが忘れられない。

「タイヨウ?」

「タイヨウ殿?」

「太陽、ホントにどうしたのよ?」

「太陽くん······」

 オレは、言うべきなのか。オレを慕い、傍にいてくれるみんなに嘘を付くのだろうか。

「······みんな」

 何故かな、とても怖い。

 オレは物凄く最低なことを言おうとしてる。

「オレ·········オレさ」

 何度でも言う。オレはみんなが大好きだ。

「オレ·········好きな子が出来た」

 だから、誤魔化すのは裏切りなんだ。




 オレは、四人の顔を見るのが怖かった。

「·········で、誰よ?」

「ええと、六人目ですね」

「でもでも、まだタイヨウのハーレムには入ってないね?」

「あ、あの······私も含まれているのでしょうか?」

 ほらな、みんな怒って············あれ?

「で、今度は誰を仲間にするの? 名前は?」

「え、いや······カイムが調べてる」

「うふふ、どんな子ですか?」

「ええと、クリスより明るい金髪で······」

「むむ、胸は大きい?」

「いや、わからんけど」

「その御方は強いのですか?」

「し、知らん」

 あれ、怒ってない?

 というか、むしろ歓迎してる?

 すると月詠が呆れながら言う。

「あのね、あんたは既にハーレムを作る宣言をしてるでしょうが。何考えてるか知らないけど、今更ビビってるの?」

「太陽くん、わたくしは誰が来ようと構いませんわ。わたくしが太陽くんを愛していることに変わりありませんし、ちゃんとお相手して頂けるのなら」

「私も私もー、ってか楽しければ別にいいよー」

「わ、私はその······というか、私みたいな女がタイヨウ殿に相応しいとは」

「もぅウィンクってば、まーたそんなこと言ってるー」

 なんだこれ······どういうことだ?

 すると月詠が言う。

「全く······そういうことね」

「ええ、太陽くん、自分の気持ちに戸惑っているようですね。恐らく、この世界に来て初めての気持ちに揺らいでるんですわね」

「ええ、あたしや煌星を好きって気持ちは日本でもあったけど、この世界で遠慮する必要がないから気持ちがハイになってたんでしょ。そしてクリスのアプローチやウィンクのもどかしさを好意的に受け入れちゃって、心がやたら広くなってたのよ。そこで本当に一目惚なんかするから、心が付いていかない······ってところかしらね」

 月詠のヤツ、オレの分析が上手すぎるだろ。

 というか、その情報は肝心な部分を伝えてない。

「勝手なこと言ってるけどよ、オレの気持ちは本物だ。月詠も煌星もクリスもウィンクもエカテリーナも、本当に大好きだし愛している。ハーレム云々は置いといて、ずっと一緒にいたい気持ちは嘘じゃねーからな」

「そんなの知ってるわよ。それを踏まえて一目惚れしたんでしょ? ならあたしたちに隠す必要なんてない、自分の好きな気持ちに嘘をつかなくていいの、ハーレムを増やすなら好きにしなさい」

「え······いいの?」

「はい。でも、わたくしたちもちゃんと愛して下さいね?」

「今度はどんな子かな〜?」

「す、すす、好き、愛している、わ、わたしを」

 ウィンクがフリーズしてるけど置いておく。

 なんだよこれ、オレの考えすぎだてだけなのか?

 すると、窓際を嘴でカツカツ叩く音が聞こえた。

『お〜いタイヨウは〜ん』

 お、カイムが帰ってきた。




 オレは窓を開け、カイムを招き入れる。するとカイムは部屋に飾ってあった観葉植物の枝に停まる。

『ええと、その、タイヨウはん……』

「ああ、みんなには説明したから大丈夫だ」

 どうやらコイツ、女子が全員揃ってるから調べた内容を話していいか迷ってるらしい。情報屋として依頼内容を他者に話すことは出来ないということか。

『いや~、タイヨウはんが惚れた少女を調べてきたんですが、ありゃ人間界ではとんでもない御方でっせ』

「マジか……って、調べるの早いな」

『ふふふ。ワイの情報収集は魔界一、ワイの能力を使えばお茶の子さいさいやで!!』

「そりゃお疲れさん。で、誰なんだ?」 

 オレは待ちきれず、カイムを急かす。

『タイヨウはんが惚れた子は、『神話を奏でる四の巫女クワイエット・パヒューム』と呼ばれてる、人間界最高である四人の魔術師の一人、『清き聖流ピュアリティ・ラインヴァージニア』や。どうやらゼニモウケ・フードフェスタのイベントの特別ゲストとして呼ばれたみたいやな』

「ヴァージニアか……」

 いい名前だ。ヴァージニア、ヴァージニアか……。

 すると、クリスとウィンクが愕然としていた。

「ぴゅ、ぴゅ、『清き聖流ピュアリティ・ラインヴァージニア』って……うっそでしょ?」

「ま、まさか、生きる伝説と言われた四人の神話魔術師!?」

「知ってんのか?」

「当たり前だよ!! 一〇年前、若干六歳で神話魔術を発動させた四人の天才少女だよ!? それぞれ地水火風魔術の超エキスパート、この一〇年で開発し魔術協会に登録された魔術は二〇〇を越えると言われたトンデモ魔術師!!」

「彼女たちは四人全員が一六歳という年齢であり、同世代なのは偶然ではなく、魔術の神が定めた結果と言われています。この一〇年で魔術の歴史を一〇〇年は進歩させたと言われるほど……」

 おいおい、そんなのがゼニモウケ・フードフェスタに来たのかよ。

 食の祭典の特別ゲストって、なんか合わないな。

「魔術を目指す者なら誰もが目指す目標だよ。しかもみーんな美少女だってさ」

「『清き聖流ピュアリティ・ラインヴァージニア』は『水』属性のエキスパートですね」

 月詠も煌星もポカンとしてる。そりゃそうだ、そんなの習わなかったからな。

 というか、メッチャ高嶺の花じゃね?

『くっくっく、ここからがスペシャルな情報や』

「え?」

 カイムは枝からオレの肩に飛び移り、羽をパタパタさせる。

『実は明日の日中、お姫様は自由時間らしいで。護衛は一緒やろうけど、お近づきのチャンスやで』

「マジ!?」

『ええ。それに護衛は二人、片方は『蒼』のニーラマーナはん、もう一人が『黄』のメイクィンや。ニーラマーナはんを介して挨拶出来るんちゃう?』

「お、おぉぉっ!!」

 確かに、ニーラマーナさんは顔見知り程度だけど、挨拶くらいなら問題ない。

 というか挨拶する。明日は絶対に挨拶する。

「ヴァージニア……」

「はぁ、全くこいつは……」

「うふふ、いいじゃありませんか」

「タイヨウ、エロい顔じゃなくてキラキラした顔してるー」

「ふむ、まさか『清き聖流ピュアリティ・ラインヴァージニア』に会えるとは……」

 決めた、明日は早起きしてヴァージニアに挨拶する!!

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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