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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第17章・トラック野郎とみんなの休日』

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238・トラック野郎、みんなでパーティー

*****《コウタ視点》*****




 俺は現在、ブーさんと一緒にバーベキューコンロの準備をしていた。

 家具を買ったとき、家具屋に売っていたパーティー用のバーベキューコンロを迷わず購入した。オフィス前は広いし、みんなでワイワイしながらバーベキューなんて、素敵やん?

 そして今、それが現実になろうとしてる。

「リーンベルさん、包丁捌きが凄く速いです」

「刃物の扱いには慣れています。ミレイナさんも中々ですよ」

「えへへ、料理は大好きなので」

『姐さん、肉が美味そうやぁ……』

「あ、ダメですよカイムさん」

『なうー』

 ミレイナとリーンベルさんが、外に出したテーブルの上で肉や野菜を刻む。カイムのヤツ、つまみ食い狙いなのかミレイナの肩に停まってる。それにしろ丸もミレイナの足元でジッとしてるし。

「シャイニー、肉と野菜は均等に」

「べ、別にいいでしょ。これはアタシ専用の串だもん」

「見て見て、肉串」

「ほら、コハクもやってるじゃん」

 キリエ、シャイニー、コハクがバーベキュー用の串に肉野菜を刺している。

「おーい、追加の肉買ってきたぜーっ!!」

「お酒も買ってきましたーっ!!」

「果物も購入して参りました」

 太陽がデカい肉の塊を持ち、月詠は酒樽を担いでいる。ウィンクは木箱を抱え、その後ろではクリスと煌星が調味料などが入った袋を持っている。

 ミレイナが買ってきた食材だけじゃ心許なかったので、急遽勇者パーティー達に買い出しを頼んだのだ。

「ねぇご主人、バーベキューってなに?」

「ん、パイは知らないのか? バーベキューってのは肉野菜を串に刺して焼き、みんなでワイワイお酒を飲みながら楽しく食事をすることだ」

「へぇ~」

「なるほど、魔界にはない文化だ」

 パイとブーさんは感心している。どうやら魔界にはバーベキューという文化がないらしい。ミレイナは知ってたけど、この二人が特別なのかな。

「バーベキューねぇ……話は聞いたことあるけど、あたしも初めてかも」

「お前もかよ」

「だってあたし、小さな頃から研究とか勉強漬けだったし、外で遊ぶとかしたことないもん」

 アレクシエルは火起こしをする俺の隣にチョコンと座り、バーベキューコンロの中で燃える炭を見てる。

 ちなみに、アレクシエルにはブーさんとパイを紹介した。ブーさんの巨体にビビり、パイに抱きつかれ巨乳に顔を埋めるアレクシエルはなんか可愛かった。

 それにしても、こいつの服装……ゴスロリだ。

 赤を基調としたワンピースタイプのゴスロリに、赤い髪を黒いリボンでツインテールにしてる。元々が可愛いからまるで高級なビスクドールみたいだ。

「なによ、おっさん」

「いや、その服よく似合ってるぞ」

「な、ばば、バカ言わないで!! ってかキモい、キモいわおっさん!!」

「はいはい、もしかしてリーンベルさんの趣味か?」

「そ、そうよ……あたし、流行なんて知らないし、興味ないし。リーンベルさんが似合うからって、こんなフリフリした服ばっかり買ってくるのよ」

 確かに、白衣や地味なワンピースよりはこっちのが似合う。

 見てくれはかなりの美少女だし、ドレス系の服がよく似合いそうだ。

「ふ、ふん。まぁその……ありがと」

「はいよ、ってかここにいると炭の匂いが付くぞ。離れてろよ」

「………別に、服なんて洗えばいいでしょ」

 なんだコイツ、燃える炭を見て面白いのかね。

 俺としては、近くで薪割りするブーさんを見てたほうが面白いと思う。だってブーさん、片手で鉈を持ち、凄いスピードで薪割りしてるんだぜ?

「ま、いいけどよ。リーンベルさんはどうしてもって言うから手伝ってるけど、今日はお前とリーンベルさんの歓迎会なんだ。ゆっくりしてろよ」

「………うん」

 アレクシエルは、にっこり微笑んだ。




 バーベキューコンロは、大人数用だったので炭になるまでが大変だ。

 キリエたちが作った串はコンロの脇にあるテーブルの上に準備され、酒樽はシャイニーの氷魔術でキンキンに冷やされてる。酒が飲めない子供たちのために、巨大な桶に氷水を張り、そこに大量の缶ジュースを入れて冷やしてある。

「よし、そろそろいけるか」

 イイ感じに炭になり、網の上に串を載せて焼いていく。

 いいね、かなり巨大な網だから一回で二〇本以上の串が焼ける。ちなみに肉を焼くのは俺で、頭にタオルを巻き半袖シャツスタイルだ。

「ふわぁ……」

「うぅん、いい匂い~」

 コハクとパイが網を覗き、俺は串をひっくり返す。すると肉汁がジュワッといい音を出す。

「ね、ねぇ、まだ?」

「シャイニー、この待つ時間が素晴らしいのです」

「確かに、そうですね」

 シャイニー、待ちきれない気持ちはわかる。キリエやミレイナの言うことはもっともだ。

 勇者パーティー達も総出で串を作ったので、串の数は二〇〇を越えてる。大食いのメンツばかりなので、これでも数は不安が残る。

 でもコンビニで乾き物を買ったし、テーブルの上にはフルーツの盛り合わせもある。それに網だけじゃなく鉄板もある。コンビニで購入した焼きそばを俺がサプライズで作る予定だ。ふふふ、バーベキューで食べる焼きそばの味をコイツらは知らない。度肝抜いてやるぜ。

「……よし、ミレイナ、みんなに飲み物を」

「はい!!」

 肉がイイ感じに焼けてきたので、みんなに飲み物を配る。

 勇者パーティー達はジュース。ミレイナ、コハク、アレクシエルもジュース。残りの大人たちは冷えたエールをジョッキに注ぐ。

 すると、自然と視線が俺に集まる。

「えーでは、新しい隣人のアレクシエルとリーンベルさんの歓迎会を始めます。じゃあアレクシエル、お前から挨拶」

「え、挨拶って……ん、こほん。改めて、あたしはアレクシエル・ブレン・ルーミナスよ。おっさんのトラックを解析するためにスゲーダロから越してきたわ。よろしくね」

「じゃ、リーンベルさん」

「リーンベルと申します。アレクシエル博士の秘書兼お世話係にして、この度『アガツマ運送会社売店店員』を勤めさせていただくことになりました。よろしくお願いします」

 売店ではブーさんの作ったグッズを販売する予定だ。ロビーの一画にブースを設けて、しろ丸ぬいぐるみを販売する。

「よし、それでは……アレクシエルとリーンベルさん、これからよろしく!! 乾杯っ!!」

「「「「「「「「「「「乾杯っ!!」」」」」」」」」」」

『なうなうー』

『乾杯やっ!!』

 さぁ、いっぱい食っていっぱい飲んでくれ。




 俺はまず、アレクシエルに焼きたての串を渡す。

「さ、食ってみろ」

「う、うん……あむ」

 アレクシエルは焼きたてで肉汁がたっぷり溢れている肉を囓る。

「あっふ!? あふあふ、あふいっ!?」

「ほらほら、水飲め」

「んぐんぐ……っぷは、美味しい!!」

「おーし、いっぱい食え」

「うん!!」

 ははは、小生意気なヤツと思ったけど、可愛いじゃん。

 肉をモグモグ食べながらジュースを飲む姿は普通の子供にしか見えない。アレクシエルは串をリーンベルさんの元へ持っていくと、笑顔で一緒に食べ始める。

「コウタコウタ、食べていいんでしょ!!」

「ご主人様ご主人様、お肉お肉」

「ご主人、いっぱい食べていい?」

 おっと、シャイニーコハクパイが待ちきれず、網の周りに集まってる。

「ああ、みんな食え食え、まだまだいっぱい焼くぞ!!」

「やたっ!!」

「へへ、オレも負けねーぜ!!」

「あ、あたしもっ!!」

 勇者パーティー達も混ざり、串はどんどん消えていく。

 俺も負けじと串を追加し、肉を焼く合間にエールを煽る……クッソ美味ぇ。

「あの、コウタさん、代わりましょうか?」

「社長も食べないと……」

「いいって、昔からバーベキューで肉を焼くのは男の仕事なんだ、ってかミレイナもキリエも食え食え」

 俺はミレイナとキリエに串を渡す。

「ブーさん、ブーさんも遠慮しないで!!」

「む……」

「おじさんおじさん、お肉おいしいよ」

 ブーさんに肉串を載せた皿を差し出し、コハクと一緒に食べ始める。

 みんな、楽しそうに肉を食べている。

 アレクシエルはシャイニーにじゃれつき何とか武具を見せてもらおうと頑張り、勇者パーティーはパイやブーさんと楽しく喋ってる。コハクはリーンベルさんとお喋りし、ミレイナやキリエはフルーツの盛り合わせを食べていた。

『ふぁぁ……酒が美味いわぁ』

『うなーお』

 カイムは酔っ払い、しろ丸が肉をガツガツ食べてる。

 ああ、実に平和な光景だ。これが俺の求めていた生活、ロボットや武装など必要ない、最高のスローライフだ。平和って素晴らしい。

 すると、オフィス入口の門から一人の女性が現れた。

「楽しそうだな、コウタ社長」

「ニナ、久し振りだな」

 冒険者ギルド長のニナが、ワイン瓶片手にやってきた。




 バーベキューコンロをブーさんに任せ、俺はニナをテーブルへ案内した。

「悪い、久し振りなのに挨拶もなしで……それに、ニナもちゃんと誘うべきだった」

「気にするな。明日からフードフェスタが始まるし、傭兵団との打ち合わせが忙しくてどのみち参加は出来なかった。ここに来たのも夜の見回りの途中だしな」

「そうか、メシは食ったのか?」

「いや……」

 と言った瞬間、酔っ払ったシャイニーが肉串をたんまり載せた皿をテーブルの上にガシャンと置く。おいおい、行儀悪いぞ。

「うぃっく、ニーラマーナぁぁ~、アンタも食べなさいよぉぉ~っ」

「お前、酒癖の悪さは相変わらずだな……」

「うぃひひ~……ほらニーラマーナぁぁ、アタシの肉が食えないのぉぉ~?」

「わかったわかった、全く……」

 ニナは焼きたての肉を囓り、俺が渡したエールを飲む。

「……うん、美味いな」

「ははは、遠慮しないで食ってけ。見回りも大変そうだし、力付けないとな」

「ああ……ところでコウタ社長、あちらの二人が」

「うん、パイとコハクの叔父さんのブーさんだ」

「………ブーさん?」

「ああ、ブーさん」

 ニナは首を傾げ、酔っ払ってフラフラしながらミレイナに抱きつくシャイニーを見る。あ、キリエがシャイニーと一緒にミレイナに抱きついた。ありゃ間違いなく酔ったフリしてミレイナの乳を揉もうとしてる。

「とにかく、明日から仕事は再開か」

「まぁな。新入社員も入ったし、いい加減に働かないとな」

「だが、恐らく仕事は少ないと思うぞ。フードフェスタはこの人間界でも一・二を争う大きな催し物だ。町の外に仮設の宿屋が作られてるくらい人が集まり、近隣の小さな集落がカラッポになるくらいの人が集まるからな」

「仮設の宿屋!? そ、そんなのもあったのか」

「ああ、この時期はゼニモウケ中が稼ぎ時だ。何を出しても売れると言われてる」

「へぇ~……まぁウチは運送屋だし関係ないな」

「ふ、そうだな」

 でも、明日から仕事は再開だ。

 久し振りの仕事、たとえ暇でも頑張ろう。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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