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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第17章・トラック野郎とみんなの休日』

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231・それぞれの休日/シャイニー編①

 運転にも、かなり慣れた。

「ふんふんふ〜ん、ふんふふふ〜ん」

 鼻歌を歌いながら、シャイニーはハイエースを運転する。

 元々のハイエースは白だったが、コウタに頼み色を水色に変更した。なので自分の色に近いハイエースはシャイニーのお気に入り。 

 シャイニーは、馬車を縫うように車を走らせる。

「······全く、相変わらずこの時期は多いわね」

 町の至るところに露店の建設が始まり、馬車専用の大通りは従来の半分以下の広さになっている。馬車二台がすれ違える程度で、慣れたとはいえ運転初心者のシャイニーには辛かった。

 シャイニーの目的地はゴンズの武器屋。

 いろいろあったおかげで新しい双剣のお礼を言ってない。それに『鎧身』の事も少しだけの気になった。

「ま、熱いお茶でも飲みに行きましょ」

 お礼がメインで鎧の事はついで。 

 細かい事をあまり気にしないシャイニーは、ゴンズがなぜ勇者の武具を作れるかなど、どうでもよかった。

 走ること数十分、目的地に到着した。

 ハイエースを近くの広場に停めて、初心者向け武器屋『ゴンズ武具店』に入る。

「ゴンズ、いるー?······と、接客中。あれ?」

 どうやら、接客中だ。

 三人の若い冒険者達に武器を見繕ってる。そしてそれを見守るのは、ギルド長であるニーラマーナだった。

「む?」

「やっほ」

 ニナはシャイニーに気が付いたが、シャイニーは片手を軽く上げるだけ。新人冒険者達に武器の説明をするゴンズを邪魔せず、『七色の冒険者アルコバレーノ』であるニナが傍にいて緊張してる冒険者達に配慮し、終わるまで邪魔しないようにした。

 シャイニーは懐かしい武器屋を見回る。そして鉄の双剣を手に取り眺めていると、ゴンズの声が聞こえた。

「お前さんはいい身体しとる。おっと変な意味じゃないぞ? つまり、ショートソードより重量のあるロングソードでも軽く振り回せるじゃろう。まずはこの剣を使い、慣れたら重量を増やしていずれは大剣を使うのも悪くない。このチーム最強の攻撃力として頑張るんじゃぞ」

 ミレイナと同じくらいの冒険者にロングソードを勧めていた。

 メンバーは、ロングソードの少年に弓使いの少女、見習い魔術師の少女の三人だ。ソロ専門の自分と違い、きちんと役割があるメンバーで揃えている。

 他の二人にも武器を薦めると、少年少女はそな武器を購入して店を出て行った。どうやらギルドへ向かい先輩冒険者に稽古を付けてもらうようだ。

「おぉ、久しいのぅシャイニーブルー、こっち来て茶でも飲め」

「ええ、ありがと」

 ゴンズが勧めた椅子に座り熱い茶を啜る。

 一息入れるとニナが声をかけて来た。

「用事は済んだのか?」

「ええ、あとでオフィスに来なさいよ。ミレイナが会いたがってるわ」

「······そうか」

「それと、アンタの部屋はそのままにしてあるから、よかったら戻って来なさいよ。新しい従業員も紹介したいしね」

「新しい従業員?」

「ええ、女の子とコハクの叔父さん」

「ほぅ、女の子とはのぅ······」

「······ここには連れてこないから」

 パイみたいなスタイルのいい女の子が来れば、きっとこのエロジジィは鼻の下を伸ばすに決まってる。シャイニーはそう考えた。

 落ち込んだゴンズは奥へ引っ込むと、お茶菓子を出して来た。

「そーいえば、さっきの子らは新人?」

「ああ、最近冒険者になりたがる子らが多くてな。ゼニモウケは依頼も多いし難易度も様々だから、初級冒険者達にとって冒険者になりやすい都市だからな。それに、最近スゲーダロに最難関ダンジョンが現れたから、ここで経験を積んでダンジョンを目指す者が多い」

「スゲーダロの最難関ダンジョン······まさか」

「ああ、コウタ社長の潜ったダンジョンだ」

「ふ〜ん」

 シャイニーは煎餅を齧りお茶を飲み干す。するとゴンズは熱い鉄瓶に入ったお茶を再び注いだ。

「ニーラマーナ、あんたはここでなにしてんの?」

「見回りと新人冒険者の相手だ。それに、フードフェスタが近いからな、町の冒険者達も浮ついてる」

「ま、人間界最大の食のお祭りだしね。警備はやっぱり傭兵団を雇うのかしら?」

「ああ。前と同じ、『三大傭兵団トリニティ・ゼルドナー』の一つである『黙示録の傭兵騎士団ナイツ・オブ・アポカリプス』に依頼したそうだ」

「うげ······アタシ、あいつら嫌いなのよね。傭兵団ってか騎士団みたいな固い連中だし」

「だが信頼出来る。金さえ払えばどんな仕事でもやる連中だ」

 『三大傭兵団トリニティ・ゼルドナー』とは、人間界最大である三つの傭兵組織で、その規模は一国に相当すると言われている。更に傭兵団トップの強さは『七色の冒険者アルコバレーノ』に匹敵すると噂されていた。

「更に今回は特別ゲストで『神話を奏でる四の巫女クワイエット・パヒューム』の『清き聖流ピュアリティ・ラインヴァージニア』様が来るそうだ」

「······マジ? 人間界に四人しかいない『神話魔術師』様が、食の祭典に来るの?」

「ああ、直接の護衛に私が選ばれた」

 世界に四人しかいない神話魔術師。それは『神話を奏でる四の巫女クワイエット・パヒューム』と呼ばれ、それぞれが所属する国で重要なポストに付いている。その内の一人がゼニモウケの食の祭典に来るなど、未だかつて無かった。

「なーんか面倒な事になりそうね······」

「······言うな」

 フードフェスタで何かが起こる。そんな気がした。




 シャイニーは、改めてここに来た理由を思い出した。

「あ、そうだゴンズ、新しい双剣ありがとね」

「気にするな、シュテルンとエトワールもお前に礼を言っておったぞ」

「そっか······へへ」

「どれ、見せてみろ。どうせ無茶な使い方をしたんだろう? せっかくだし磨いてやろう」

「お、さんきゅ。というかゴンズ、この武具って勇者の武具と同じでしょ? どうやって作ったのよ」

「教えて欲しいか?」

「うん、気になるしね」

「じゃあお前の乳をひと揉み············いや、無理か」

「殺す」

「お、落ち着けシャイニーブルー」

 シャイニーの胸を見たゴンズは俯き、それを見たシャイニーは商品の双剣を掴み、ニナが慌てて止める。

「離せこら!! ってかデカい乳を当てんな!!」

「こ、こら暴れるな!!」

「わ、わしは退散じゃ〜っ!!」

 シャイニーが落着くまで、ニナは抑えていた。

 ゴンズは結局、秘密を教えてくれなかった。




 磨かれたナルキッスとセイレーンを受け取り、ニナとシャイニーは武具店を出た。そして近くの広場に向かうと、ニナは驚いた。

「これは······」

「いいでしょ、アタシの愛車よ」

「ほぅ······素晴らしいな」

「ふふん、ほらほら乗りなさいよ、ギルドまで送ってあげるわ」

「む、いいのか?」

「ええ、目的は済んだし、あとはのんびり町を回ろうかと思ってたしね」

「そうか、ならお言葉に甘えよう。それと、用事がないなら久しぶりにギルドに来ないか? 先程も言ったが新人冒険者が多くてな、稽古相手が足りないんだ。よければ少し稽古を付けてやってくれ、もちろん謝礼は出す」

「うーん·········ま、少しなら」

「そうか、ありがとう。では行こうか」

 嬉しそうなニナを見ると、シャイニーも満更ではない。

 新人相手に剣を振るうのもいいかと思いつつ、ハイエースを冒険者ギルドに向けて走らせた。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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