222・トラック野郎、vs守護天龍ヴァルファムート④/スーパーデコトラカイザー・ラストヴァーゲン
新たな形態となったデコトラカイザー。正式名称は『スーパーデコトラカイザー・ラストヴァーゲン』というちょっと長い名前。とりあえず『SデコトラカイザーRV』でいいや。
トラックとクレーンジャケットとショベルジャケットの合体形態はいい、でもさっそく問題が一つあった。
「………おい、なんか音楽流れてるぞ」
『挿入歌です。スーパーデコトラカイザー・ラストヴァーゲン形態時に流れる仕様です』
「止めろ」
『仕様です』
そう、この形態に変形すると80年代後半的なオリジナルアニメソングが流れる。しかも歌詞やテーマ曲がムダに熱い。なんか恥ずかしくなってきた。
とにかく、まずはヴァルファムートの処刑からだ。
『ほぅ、面白い……だがその耳障りな音を止めろ』
「うるせぇ!! 止まんねーんだよ!!」
『ならば……死ねぃ!!』
ヴァルファムートはゴリラモードに変身すると、巨大な拳を振り上げ襲ってきた。
ショベルジャケットですら耐えることの出来なかった拳だ。さすがに不味いな。
「行くぞタマ!!」
『了解』
アナログスティックを倒すと、なかなかの速度で前進する。
まずはクレーンの砲塔がそのまま腕になった右腕で行くぜ。
『遅いわッ!!』
「く……」
だが、スピードはあちらが上。ゴリラパンチが車体の胸にヒット……あれ?
『ぐ、ぉぉぉぉぉっ!?』
「あれ?」
振動も殆ど無いし、ダメージもない。
というか、ヴァルファムートの拳が砕けて血が噴き出していた。
『ダメージ微小。問題ありません』
「ぼ、防御力めっちゃ上がってる……」
ヴァルファムートは怒り狂ったのか、両腕の筋肉を更に膨張させた。
『ヤロォォォッ!! オレの拳をぉぉぉぉぉっ!』
「はっはーーーーーーッ、効かん効かんっ!!」
デコトラカイザーRは一歩も動かずにヴァルファムートのラッシュに耐える。というかマジですげぇ、ダメージが殆ど無い。
「じゃあこっちも行くぞ。まずは『スプリングズームパンチ』!!」
右手のクレーンは伸縮自在。しかもバネ仕掛けなのか杭打ち機のように何度も打ち付けるようなパンチが打てる。
「おらっ」
『ブヘッ!?』
「おらおら」
『ブッ、ヘブッ!?』
まず顔面に一発、そしてスプリングの反動で元に戻りすぐ二発目、しかもヴァルファムートの顔面からは鼻血が噴き出していた。くくく、こりゃ面白ぇ。
「おらおらおらおらおらおらおらおらっ!!」
『ブッヘッブ、ブハッ、ガベッ、や、止めッブガハッ!?』
息をつく間もない連続ラッシュにヴァルファムートもタジタジ。こりゃ面白いぜ。
隙アリとばかりに左手の『ショベルビッグアーム』で追加攻撃。
「削れろやッ!!」
『ぐぎぃっでぇぇぇぇっ!?』
「痛ぇかこの野郎、喰らえ喰らえ喰らえ喰らえやコラァッ!!」
『ぐぉぉぉぉぉぉっ!?』
デコトラカイザーRの攻撃力もかなり上がってる。ヴァルファムートの皮膚を容易く削り取ってるからな。
『こ、この野郎!! オレを怒らせやがったなぁぁぁぁぁっ!!』
「こっちはとっくにキレてるぞコラァッ!! いい加減さっさと帰りたいんだよこのボケがぁぁぁッ!!」
するとヴァルファムートの四肢が肥大化し、身体もムッキムキ、翼も大きく広がる。まるで超一流の格闘家みたいなスタイルのドラゴンだ。
『オレの最強形態で捻り潰してやるッ!! 覚悟しろ!!』
「ふん、じゃあこっちもいくぞ。ドライビングバスター、ハイウェイストライガー連結」
上空から大剣モードのドライビングバスターと、クローモードのハイウェイストライガーが現れ、上空で分解、連結して一本の大斧になった。
「これがデコトラカイザー・ラストヴァーゲンの武器、『ドライビングストライガーR』だ」
挿入歌もサビに入り戦闘もヒートアップ。
短距離スプリンターみたいな走りでヴァルファムートは迫って来た。
『ブフゥゥゥゥゥ、ブガァァァッ!!』
「ブレスか!! でも効かん!!」
ブレスを無視してデコトラカイザーRを走らせ、拳を振りかぶるヴァルファムートに合わせドライビングストライガーRを振り抜いた。
『ぐ、ぉぉぉぉぉっ!? お、オレの腕がぁぁぁぁっ!!』
「腕だけで終わりじゃねぇぞ!!」
ヴァルファムートの右腕を切り落とし、そのまま身体を袈裟斬りにした。
真っ赤な血が飛び散り、初めてヴァルファムートが膝を付く。
「トドメだ、行くぞタマ」
『畏まりました。エネルギーチャージ開始』
ドライビングストライガーRにエネルギーが注入され、そのエネルギーが斧を包む。そして包まれたエネルギーはどんどん大きくなり、デコトラカイザーRの数倍の大きさのエネルギーアックスとなった。
「必殺!!」
『《ゴッドブレイク・トマホーク》発動』
超巨大なエネルギーアックスが、ヴァルファムートを一刀両断した。
…………と、思ったけど止めた。
ゴッドブレイク・トマホークはヒュブリスの大地を叩き割った。
でも、ヴァルファムートは両断しなかった。
膝を突きデコトラカイザーRを見上げるヴァルファムートは、落ち着いた声で言った。
『………何故、トドメを刺さなかった』
「だって、お前はこのプライド地域の神様だろ。勝負は俺の勝ちだし、ミレイナ達の初めては守れたからな。殺しはしないよ」
『そうか、初めての意味は分からんが、オレの全能力を以てしても貴様に勝てるとは思えん。オレの負けだ……再び、封印でも何でもすればいい』
「いや、そこまでしなくてもいいだろ。落ち着いたみたいだし、話せばわかるだろ」
『……何だと?』
「お前、魔族に迷惑かけるのか? 悪いことしたり人を食ったりするのか?」
『そんな事するか!! 我が封印されたのだって我の縄張りをあの女が荒らしたからだ、この地に国を作るとか抜かし、このオレを守り神として置いておくとか抜かしたからだ!! オレは縄張りを守るためにあの女と戦い封印された。今の今までずっとな!!』
「そ、そうなのか……なんか可哀想だな。で、お前は悪さしないのか?」
『ふん、そんなモノ興味は無い。我は完成された『神』であるぞ、食事や睡眠は必要ないし魔力も無限だ、ここでずっと眠っているだけで満足だ』
「封印とそう変わらねぇじゃん……」
『バカモン、封印は全身を石にされるんだ。寝返りも打てんし窮屈すぎる』
「ふーん、じゃあずっと寝てれば封印なんて必要ないな。ゼルルシオンに頼んでデカい寝室でも作ってもらえよ。この国の守り神として寝て、たまーに起きて力貸してやれよ」
『……………』
うーん、勝手に話を進めすぎてるかな。
でも、もうコイツを倒す気になれない。
『く、くくく……ガーッハッハッハッ!! 気に入った、気に入ったぞお前。名前は?』
「コウタだよ」
『コウタか、その名をオレの魂に永遠に刻んでおこう。お前は今この瞬間からオレの盟友だ!!』
「…………」
別にいいです、とは言えない。
なんか気に入られちまったのかな、後々面倒な事にならなければいいが。
「というかお前、なんで千人の女とか言ったんだ?」
『あれは演技だ、オレの恐ろしさが引き立つと思ってな』
「………」
あぁ、コイツもアホなのかな。
デカいくせに脳ミソが足りてないのか、マヌケなのか。
するとヴァルファムートはデコトラカイザーRに近付く。
『盟友の証としてこれをやろう』
そう言うと、ヴァルファムートは口元に手を持って行く。
『ウゥゥゥゥ……ヴォウェェェェェェッ!? ゲホッゲホッ!!』
「……………」
コイツ、ゲロ吐いたぞ。
そしてゲロまみれの手の上に、虹色に輝く宝石があった。大きさは一メートル位の完全な球体だ。
『コイツはオレの力が込められた『核』。オレの魔力を無限に発し続ける至宝だ、友人の証として是非とも受け取って欲しい』
「………………………ありがとうございます」
ゲロまみれの宝石をデコトラカイザーRの掌で受け取る。
ぶっちゃけ触りたくなかったけど、あんな言い回しされて拒否るとか出来るワケねーだろ!! ああもう汚ったねぇなぁもう!!
『さて魔王よ、貴様にはオレの寝床を作ってもらおうか。石造りの頑丈な宮殿と湯浴みが出来る場所も欲しい、寝室には大量の藁を敷いておけ』
「……………ああ」
『それまでは近くの山で寝る。完成したら魔力を飛ばせ。ではさらばだ!!』
そう言うと、ヴァルファムートは飛んで行った。
今気付いたが、ゼルルシオンだけじゃなくてみーんな呆然としてる。さすがに置いてきぼりすぎたかな。
「はぁ、終わった……タマ、トラックに戻って」
『畏まりました』
宝石を地面に置きデコトラカイザーRはいつものトラックに戻った。取りあえず、みんなの所へ向かい、トラックから降りる。
「あー終わった……お疲れさん」
「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」
ぐったりした俺に視線が集中する。
すると、ミレイナ、シャイニー、コハクが前に出た。
「よぅ、終わったぜ」
「コウタさん……」
「コウタ……」
「ご主人様……」
三人とも俺を見てウルウルしてる。やれやれ、怖かったのかね。
するとミレイナが俺の前に出て言った。
「あの、私達の『初めて』ってどういう事ですか?」
「え?」
「初めては旦那さんのモンとか、どういうこと?」
「え、ええと……あれ?」
「ご主人様、勘違いしてた?」
「え、あの……あれ? ヴァルファムートの目的って、ミレイナ達の初めてじゃなかったのか?」
すると、三人は顔を真っ赤にした。
「アホか!! なに言ってんのアンタは!! めっちゃ恥ずかしいセリフを大声で……このバカ!!」
「コウタさん、初めて初めてって……恥ずかしいです」
「ご主人様、初めて欲しいの?」
シャイニーに胸ぐらを掴まれ、コハクが腕を取り、ミレイナがそっぽ向く。
なんだろう、ようやく終わったと理解出来た。




