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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第1章・トラック野郎と少女の出会い』
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2・トラック野郎、ゴブリンを轢く


 「な、なぁ······なんか、怖いんだけど」

 『これはウェアウルフの鳴き声ですね。どうやら近くに群れが居るようです』

  

 俺は現在、時速10kmほどの速度で森を走っていた。

 道は整地なんてされてない。獣道のような荒れ地を『カスタマイズサポート』のナビで進んで行く。

 

 「なぁ、あとどれくらいで道路に出るんだよ······」

 『このままの速度ですと推定3時間ほどです。ここから最も近い都市は『商業王国ゼニモウケ』ですね』 

 「イヤな名前だなぁ······まぁとにかく、もう少し速度を出してもいいか」


 初めて車に乗った教習生みたいなスピードじゃあ時間が掛かる。それに、事態を受け入れたら少しは余裕が出てきた。もう少し速度を出してもいいだろう。


 「じゃあ行くぞ」


 俺はアクセルを踏み込み、時速30kmほどで獣道を走り出した。

 トラックは四駆だし、多少の荒れ道は問題なく進む。少し余裕が出てきたので、俺は助手席に置いてあった煎餅をかじりながらもう少しアクセルを踏んだ。


 『間もなく街道へ合流します』

 「わかった」

 『街道の合流地点は段差になってます。少し加速を付けて進んで下さい』

 「了解」

 

 このサポートの声ともそこそこ慣れて来た。まぁ女性の声だしね。男なら女に話しかけられて嬉しくないはずがない。

 そして進むこと数分、傾斜の道に差し掛かる。


 『では加速を』

 「了解」


 指示通り加速し、坂道を勢いよく進む。

 街道へ出たら取り敢えず休もう。いろいろと気になることも出てきたしな。

 そして、加速を付けて段差を超えた瞬間だった。


 『ギャアッ⁉』

 『ギゥゥッ⁉』

 『アギャッ⁉』


 ドンドンドンとフロントに衝撃が走り、タイヤがゴトゴトッと何かを踏み潰す感触をシート越しに感じた。


 「は?」

 『パンパカパーン、ゴブリン3体を討伐しました。レベルが上がりました。[武装]が開放されました。[機銃]が開放されました。[小型ミサイル]が開放されました』

 

 真っ青になる俺をよそに、サポートは説明を続ける。


 『おめでとうございますマスター。新たな武装が開放されました。説明を聞きますか?』

 「ちょい待てやーーーっ⁉ 何だよ今の、何か轢いたぞ⁉」

 『マスターが轢き殺したのはゴブリンと呼ばれるモンスターです。説明を聞きますか?』

 「轢き殺したとか言うなっ‼ あぁもう‼」


 俺はトラックから降りて後部を確認すると··········うわぁ、緑の肌をした子供みたいなバケモノが転がっていた。


 「や······やっちまった」 

 『マスター、車内へお戻り下さい。ウェアウルフの群れが近付いています。迎撃を』

 「はぁぁっ⁉」


 俺は急いで車内へ戻る。

 すると、街道の前方から灰色の狼が集団で走ってきた。


 『距離80メートル、迎撃態勢に移行します。武装をお選び下さい』

 「ななな、なんでもいいからさっさと逃げろーーーッ‼」

 『逃走不可。迎撃を選択。初期武装[機銃]を展開します。マニュアルモード起動』

 

 するとハンドルがガコンと変形し、ゲームセンターにあるようなガンコンが現れた。フロントガラスにはカーソルが表示され、まるでシューティングゲームのようなスタイルに変形した。


 「マスター、カーソルをウェアウルフに合わせてトリガーを引いて下さい」

 「何だよそれーーーっ⁉」


 俺は慌ててガンコンを掴み、走ってきたウェアウルフにカーソルを合わせる。


 「う、うぁ、うぁぁーーーっ‼」


 引金を引くと頭上から音が響く。どうやら機銃は天井から放たれたようだ······って、おいおい、そんな状況かよ⁉

 俺はメチャクチャに撃ちまくると、前を走る狼が何匹か倒れた。


 「来た、来た、来たぁぁぁぁーーーッ⁉ なんとかしてくれーーーッ‼」

 『畏まりました。オートモード起動。機銃掃射』

 

 すると、機銃から弾丸が発射される。弾丸はウェアウルフの頭をキレイに貫通し、迫り来るウェアウルフの群れをキレイに掃討した。


 『パンパカパーン、ウェアウルフ18体討伐しました。レベルが上がりました。[高周波ブレード]が開放されました。[マキビシ]が開放されました。[フックショット]が開放されました。新項目[車内設備]が開放されました』


 

 アナウンスを無視して、俺は運転席に突っ伏した。



 ********************

 


 『マスター、新武装の説明を聞きますか?』

 「······遠慮しとく」

 『では、新項目[車内設備]を説明します。[車内設備]は、マスターが倒したモンスターの経験値を使用し、様々な設備を車内に搭載する事が可能です。現在は初期装備の『ルーフ』と『後部スペース』のみです。経験値を使用して設備をアップグレードしますか?』

 「······設備?」

 『はい。現在の経験値は21ポイント。設備一覧をご覧になりますか?』

 「せっかくだし、見せて」



 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 経験値ポイント・[21]

 

 ○設備一覧○

 座布団・2ポイント

 オーディオ・10ポイント

 トイレルーム・50ポイント

 居住ルーム・180ポイント

 シャワールーム・200ポイント

 ベッドルーム・500ポイント

 

 以下項目未開放

 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□



 フロントガラスに表示された項目はこんな感じ。というかトイレやベッドルームってなんだよ?


 「オーディオって? これは使えないのか?」

 『はい。オーディオはラジオを聞けるようになります。放送局は日本の放送局です』

 「日本⁉ マジで⁉」

 『はい。設備を購入しますか?』

 「じゃあオーディオで」

 「では、オーディオを購入します······購入完了しました」



 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 経験値ポイント・[11]


 ○設備一覧○

 座布団・2ポイント

 オーディオ・済

 トイレルーム・50ポイント

 居住ルーム・180ポイント

 シャワールーム・200ポイント

 ベッドルーム・500ポイント

 

 以下項目未開放

 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□



 あ、ポイントが減ってる。しかもオーディオが済になってる。だんだん使い方がわかってきた。


 「なぁ、レベルが上がればポイントも入るし、設備の項目も増えるのか?」

 『はい。[車内設備]だけではなく[車体強化]などの特殊項目も開放されます。なので、モンスターを轢き殺しポイントを稼ぐことをおすすめします』

 「だから轢き殺すとか言うなっ‼」


 この日、街道沿いにトラックを停車させ一夜を過ごした。

 今さらだが、食い物がお菓子しかない。このままじゃいずれ飢えて死ぬ。


  

 とりあえず、明日は水と食料をなんとかしないと。


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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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