190・トラック野郎、リザルドと強化
*****《コウタ視点・コロンゾン大陸》*****
「タマ、ホントにここは安全なんだな?」
『肯定。半径二〇キロ圏内にトラックを脅かす程のモンスターは感知されません』
「ふぅ·········じゃあ、一息つけるか」
ここは、コロンゾン大陸内にある、無数に存在する小さな林の中にある水場。タマの案内でやってきた休憩ポイントだ。
ユーミールを倒した後も、戦いに明け暮れた。
超危険種だけでなく、災害級を何匹も倒した。しろ丸クラスのバケモノがマジでワラワラと湧いてきやがるぜ。
でも、おかげで俺の操縦技術は格段に上昇したと思う。
「あ、そうだ。かなりモンスター倒したし、経験値はどうなってる?」
『経験値を表示します』
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【通常ポイント】《3865000》
【ポイント貯金】《1600000》
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「ぶふぅっ!? さ、さんびゃくまんっ!?」
マジかよ、今までで最高ポイントだ。
かなり倒したとはいえ、前の最高ポイントの倍以上を稼いでる。こりゃアレだ、ポイントに困ったらここに来て稼げばいい。
俺にとってコロンゾン大陸は、ロープレ風に言えば稼ぎ場所だ。
「タマ、魔族の領土までどのくらいだ?」
『まだまだです。全体の半分も進んでいません』
「確かに、進むってか戦いまくったからな」
わざわざ災害級が居る方向に進んだり、モンスターの群れを追って迂回したりしたからな。
「そうだ、せっかくだし、新しい車を購入するか」
シャイニーも運転出来るようになったし、コハクと合わせて二人で別々の車を運転出来れば仕事も捗る。それに、ここで大量に経験値を消費しても、コロンゾン大陸内のモンスター狩りをすれば、すぐに貯まる。
「タマ、【従車販売】を開いてくれ」
『畏まりました』
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【従車販売】
○軽トラック[80万]○軽冷凍車[90万]○軽ワンボックス[済]
○ハイエース[200万]○軽自動車[120万]○フォークリフト[170万]
○F1[280万]○農耕車[70万]○バイク[100万]○ミニバン[180万]
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「え」
なんか増えてる。
F1ってフォーミュラワン? 農耕車って田んぼの? ば、バイクはバイク?
ラインナップが増えたのはありがたいが、チョイスの意味がわからん。そう言えばレベルも上がってるし、他のラインナップも増えている……あ、そうか。レベルアップの説明飛ばしたんだっけ。
「ツッコみどころが多い、でも今更だしいいや。さーて何にするか……」
まず、F1と農耕車とバイクとフォークリフトは除外。
軽トラもなぁ……軽冷凍車もいらんな、軽ワンボックスは[済]になってるし、ミニバン、ハイエース……保留、軽自動車………よし。
「タマ、ハイエース購入」
『畏まりました。ハイエースを購入しました。デコトラウェポン【ハイエースバズーカ】を入手しました。デコトラカイザー・トラックフォーム時に使用可、説明を聞きますか?』
「いいや、名称でだいたいわかったし」
エブリィワゴンはハンマー、ハイエースはバズーカか。農耕車やバイクは何に変形するか逆に興味が出てきた。
「じゃあコイツはどうすっかな……取りあえず、シャイニーに乗って貰うか」
『畏まりました。シャイニーブルー様を仮ドライバー登録します』
ハイエースは大人数も乗れるし、椅子を倒せば収納性もある。エブリーよりもパワーがあるし、コイツで集落の配達に行けば楽になる。
「でも二〇〇万は痛いな……まぁ、ここなら稼げるしいいか」
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【通常ポイント】《3465000》
【ポイント貯金】《0》
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うん、減った気がしねぇや。
貯金は無くなったがまだ三〇〇万ポイントある。
「今回は、戦闘に関する項目のみ改造しよう。【カイザーカスタム】を」
『畏まりました』
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【カイザーカスタム】
[アタックコマンド][ドライビングバスター・完了][各形態コマンド]
[ハイウェイストライガー]
【各形態スペック】
[トラックフォーム][ユニックフォーム][ブルフォーム]
[アイスフォーム][クレーンジャケット][ショベルジャケット]
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「あれ、ドライビングバスターが完了になってる」
『ドライビングバスターの項目は全て習得しました。一つの武装項目を全て習得すると、新しい武器が解放されます』
「なーるほど、じゃあハイウェイストライガーを」
『畏まりました』
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【ハイウェイストライガー】
【獲得済】
[クローモード][アックスモード][ガンモード]
【未獲得】
[ロッドモード][シールドモード][チェインモード]
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「おお、かっこいい。うーん……ドライビングバスターの全機能も使いこなせてないし、あんまり欲張るのは……よし、保留だ」
『畏まりました』
ま、今はいいだろう。改造は山ほどしたし、かなり強くなった。
いざという時のために、経験値は残しておくか。どうせこれから山ほどポイントが入るんだしな。
改造を終えて一息入れると、後ろの居住ルームに繋がる通路が見える小窓を、コハクがコツコツ叩く。
「ご主人様、ごはんだよ」
「お、そうか。今行くよ」
トラックは水場の藪に隠すように止めてあるが、何かあったらタマに呼んで貰うようにお願いし、俺はコハクと一緒に居住ルームへ向かった。
さて、メシ食ってゆっくり休もう。
テーブルには、豪勢な料理が並んでいた。
「おお、すごいな」
「今日はあたしと煌星とキリエさんで作りました」
月詠が若干照れながら言う。太陽のヤツ、いい嫁をゲットしたじゃねぇか。
それぞれ椅子に座り、さっそく食事をする。ちなみにしろ丸には分厚いステーキ、カイムにもステーキだが、カイムには缶ビールにストローを差して置いてある。
食事をしながら、これまでの話をする。
「まだ半分も到着してない。まだまだ掛かりそうだ」
「そっかぁ……おっさん、モンスターはどうなんだ?」
「ああ、問題ないよ。お前らは気にしないでゲーセンで遊んでろよ、ヤバかったら放送入れるからよ」
「でもコウタさん、コロンゾン大陸のモンスターはかなりの強敵です」
「そうですわ、流石に……」
「うむ、私達に気を遣わなくてもいい、我々は戦力としてここに居るのだからな」
「おにーさん、気を遣ってくれてありがとね」
うーん、マジで大丈夫なんだが。勇者パーティー達は親切だなぁ。
デコトラカイザーの力を知ってるシャイニー達は何も言わない。勇者パーティー達にデコトラカイザーの力をネタバレするのは俺の役目だからと言ってあるからな。
「あ、そうだ!! シャイニー、新しい車を買ったから、お前が運転してみるか?」
「え、マジ!? どんなのどんなの!!」
「ハイエース……って言ってもわからんか。そうだな、デカいエブリーみたいなモンだ」
「ご主人様ご主人様、わたしも欲しい!!」
「うーん、コハクはエブリーの正式ドライバーだからな。悪いけど……」
「うぅ……わかった」
「へへーん、悪いわねコハク。でもまぁ、運転するくらいならいつでも貸してあげるわ」
すると、勇者パーティー達がポカンとしてた。
そう言えば、勇者パーティー達にはエブリーの事を言ってなかったな。
「…………………待てよ」
ちょっとだけ思った。
確か、【従車販売】のラインナップにミニバンがあったよな。
勇者パーティー達の移動は馬車だし、車があれば楽に移動できるんじゃ……。
「なぁ月詠、お前達……車欲しいか?」
「え……?」
俺は勇者パーティー達に【従車販売】の説明をした。
クリスとウィンクはよくわかっていなかったが、月星太陽の異世界トリオは興味津々だった。
「車……確かに、運転できれば移動がかなり楽になるわね」
「いいじゃんいいじゃん!! オレ運転してみたいぜ!!」
「ですが、わたくし達は未成年ですし……」
「バカ、ここは異世界だぜ、日本の法律なんて当てはまらねーだろ。それに、毎度毎度揺れる馬車の中は正直イヤだったんだ。ケツは痛いしな」
「……まぁ、気が引けるけど、あれば嬉しいわね」
どうやら、これで決まりだ。
「じゃあ、ミレイナを助けたら報酬代わりにミニバンを進呈するよ。タマ、問題ないよな」
俺は天上に向かって話しかけると、スピーカーみたいに部屋全体にタマの声が響く。
『問題ありません』
よーし、そのためにはモンスターを狩りまくって経験値を稼がないと。
明日も無双してやるぜ、ぐふふ。