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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第12章・トラック野郎と勇者のお礼』
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147・アガツマ運送のお話①/臨時新戦力

 コウタ達を見送ったミレイナ達。

 シャイニーは二度寝、ミレイナとキリエは目を覚ますためにシャワーを浴びようとした。

「キリエ、お先にどうぞ」

「いえ、ミレイナがお先に······いや、一緒なら効率がいいですね。お湯を沸かすのも大変ですし、二人一緒に入りましょう」

「え」

 キリエはミレイナの背中を押して風呂場へ向かう。

 シャワー用のタンクに魔術で水を入れ、タンク内に入ってる火の魔石に魔力を通す。すると水は適温になり、シャワーの準備は整った。湯船は時間がかかるので朝は用意しない。

「朝の時間は貴重です。早く浴びて朝食の支度を済ませましょう」

「は、はい」

 コウタ達に朝食用のサンドイッチは作ったが、ミレイナ達の食べる朝ごはんは用意していない。キリエの言う通り時間は貴重だ、仕事までの時間を考えるなら、効率よく動くべきだ。

 ミレイナは観念し、キリエと共に脱衣所で服を脱ぐ。

 シャイニーやコハクを含めた四人で温泉に入る事は何度かあったが、キリエと二人きりでシャワーは初めてだったので、ミレイナは少し緊張していた。

「······っ」

 ミレイナは、服を脱いだ全裸のキリエを見て息を呑む。

 美しい白髪をタオルで纏め、白い裸体を惜しげもなく晒してる。同性だと言うのにミレイナはドキリとした。

 大きな胸、くびれた腰、程よい肉付きの太もも、女性として魅力あるスタイルに、ミレイナは己の身体と思わず比較していた。

「ミレイナ、どうしたのですか?」

「ひゃわっ⁉ なな、なんでもないですっ!!」

 自分の裸体を見つめ、再びキリエの身体を見たミレイナは、眼前にキリエの微笑みがあり驚いた声を出す。

「ふふ、何を考えてるかわかります。ミレイナもしなやかで美しいですよ······」

「え、あ、あの······ひぅ」

 キリエは、ミレイナの胸の中心を指でなぞる。

 ミレイナはゾクゾクと身体が震え、真っ赤な顔でプルプル震えた。そしてキリエの手は腹部を越え·······。

「さ、湯を浴びましょうか」

 あっさりと離れ、ミレイナの手を掴みシャワーヘッド前に向かって歩き出した。

 ミレイナの火照りは、冷水を浴びても戻らなかった。




 シャワーを浴び、ミレイナとキリエは朝食の支度を始める。

 キリエがスープを作り、ミレイナは卵とベーコンを焼いてサラダを盛り付ける。

 すると、ボサボサの蒼髪を掻きながら寝間着のシャイニーが起きてきた。

「おふぁよ〜」

「おはようございます、シャイニー」

「シャイニー、お湯が残ってますので顔を洗って髪を梳かして下さい、だらしないですよ」

「んぁ〜い」

 キリエに咎められても文句を言わないのは、寝ぼけてるからである。言われた通りに顔を洗い髪を梳かしていつものポニーテールに括ると、シャイニーは完全に目が覚めた。

 リビングに戻ると、いい香りのする朝食が並んでいる。

「さ、いただきましょう」

「んぁ〜、お腹へったわ」

「ふふ、おかわりもありますからね」

 ミレイナ達は、三人での朝食を食べ始める。

 コウタやコハク、しろ丸のいない朝食は初めてだった。

「そーいえば、コウタが助っ人がどうの言ってたわね」

「ええ、ミレイナ、何か聞いてますか?」

「いえ、何も······」

 単純に、コウタは言い忘れていた。

 勇者達とのとのモツ鍋パーティーは盛り上がり、多少の酒も入ったので、ニナが手伝いに来る事を完全に伝え忘れていた。

 朝食を済ませ、食後のお茶で一服する。

「アタシ達だけってのも新鮮ね」

「確かに、社長が居てこその私達でしたからね。新鮮さもありますけど、私は寂しいです」

「キリエもですか?」

「ふふ、ミレイナは当然ですよね。社長と一番付き合いが長いですから」

「確かにね。そーいえばミレイナ、コウタとはどこで知り合ったの?」

「え······あ」

 ミレイナは思い出す。

 初めての出会いは、水辺でゴブリンに襲われたところを助けてもらった·········全裸で。

「ミレイナ?」

「どしたの、顔赤いわよ?」

「い、いえ·········内緒です」

 シャイニー達の追求を躱していると、一階にあるガレージ脇のドアベルが鳴った。

 これはチャンスとミレイナは立ち上がり、急いで一階へ向かう。

「はーい······え、ニナさん?」

「おはようミレイナ」

 そこに居たのは、ギルド長のニーラマーナことニナだった。




 ニナはいつもの戦闘服ではなく、大人っぽいシャツとスカートを履いていた。

 ミレイナにお茶を出され、ニナは不機嫌なシャイニーとなんとなく事情を察したキリエに向かって言う。

「コウタ社長の依頼でな、暫くここで働く事になった。よろしく頼む」

「はぁぁぁぁっ⁉」

 シャイニー立ち上がりニナを睨む。

 だがニナは鞄から一枚の書類を出し、テーブルの上に置く。

「コウタ社長の依頼書だ。冒険者ギルドに提出された正式な依頼を私が受けた。シャイニーブルー、お前ならわかるだろう?」

「むぐ······確かに、コウタの字ね。それに拇印もある」

「それじゃあ、ニナさんが会社のお手伝いをしてくれるんですか?」

「それは心強いですね」

 ミレイナとキリエは嬉しさを隠さず、不機嫌なシャイニーは書類とにらめっこしていた。

「そういう事だ。コウタ社長が戻るまでの間、よろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いします!!」

「さすが社長です。ここまで手を回しておくとは」

「むー······」

 話し合いの結果、ニナはシャイニーの補佐として配達に出ることになった。

 こうして、臨時職員のニナがアガツマ運送へ加わった。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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