13・トラック野郎、ドラゴンと戦う
最後のほう、ちょっと下品かも。
スミマセン、他の作品と比べるとノリがどうしても違うなぁ。
「あ、あわわ······な、何だあれ、バケモンじゃねーかっ⁉」
「ど、ドラゴン······初めて見ました、モンスターの中でも最強に近い生物······あ、あれ? あの人」
ヴェノムドラゴンは、全長7~8メートル以上はある「まさにドラゴン‼」だった。 健康に悪そうな紫色に煌めくボディに、厳つい顔に凶悪そうな爪と牙、尻尾は長くギザギザしてる。あんなのにやられたら即死だろ。
「コウタさんっ、あの人······『蒼き双月シャイニーブルー』ですっ‼」
「青パンツ⁉ なんでこんなところに······まぁ冒険者だしな。先を越されたのか」
青パンツもといシャイニーブルーは、透き通る青い刀身の双剣を逆さに構えてドラゴンと渡り合ってる。ドラゴンの爪や牙を華麗に回避し、たまに来る尻尾のギザギザアタックも綺麗に避けてる。しかも人目がないからパンツ丸見えで戦ってる。なんでズボンを履かないんだろ?
『警告。彼女の装備では『ヴェノムドラゴン』に決定的なダメージを与えられません。脈拍、呼吸数ともに上昇中。このままだと約3分45秒後に戦闘不能』
「マジかよ⁉」
『ドラゴン系のモンスターを単体で倒せる人間は存在しません。可能なのは『勇者』と呼ばれる存在だけでしょう』
「とと、とにかく助け······」
「コウタさん、あれ‼」
ミレイナの指差した方向を見ると、剣をクロスしてドラゴンの尻尾をガードした青パンツが吹っ飛ばされる瞬間だった。
俺は恐怖を感じたが、ゆっくりと気付かれないようにトラックを前進させ、ドラゴンの側面に停車させる。
「·······っ、く、そ······っ‼」
『グフルルル······ブァァァァッ‼』
「あ、ぁぁ、が、ふっ⁉」
青パンツが倒れた場所に向かってドラゴンは紫色の煙を吐き出す。青パンツはハッとして口を押さえたが、吸った瞬間に血を吐き出す。ありゃどー見てもヤバいだろ⁉
『成分分析······完了。あの煙はドラゴンの体内で熟成させた猛毒です。人間が吸い込めば約10分で死に至ります。有効な解毒剤はドラゴンの血液を直接体内に取り入れ······』
「かか、解説はいーから[レーザーカッター]起動ーっ‼」
『了解。[レーザーカッター]起動。発射』
するとボンネットが開き、武器屋で見た突然槍の尖端部分みたいな突起が飛び出した。そして『ジジジジ······』と尖端に光が集まりだす。
「な、何だ?······うぉぉッ⁉」
『ピュンッ‼』と赤い光線が地面を走り上空へ飛んだと思ったら、斜線上にいたドラゴンの首がスッパリと両断されて地面に落ちた。
『パンパカパーン。『ヴェノムドラゴン』1体を討伐。レベルが上がりました。[ショットガン]が開放されました。[日本刀]が開放されました[メリケンサック]が開放されました。テレッテッテー。レベル20到達。【ドライブイン】【車内設備】【追加装備】リストが更新されました。新項目【車体換装】が開放されました。【車体強化】の項目より新たな形態へ変形出来ます。説明を聞きますか?』
「あーもうツッコミ所が多過ぎるわ‼ とにかく全部後で‼ なぁ、毒はあのドラゴンの血で解毒出来るんだよな⁉」
『その通りです。少女の心拍数低下······急いだ方が宜しいかと』
「い、急ぐぞミレイナっ‼」
「は、はいっ‼」
俺は空になったお茶のペットボトルを掴み、ミレイナと共に外へ。
ミレイナにペットボトルを渡し俺は少女を抱き起こす。ミレイナはドラゴンの首の断面から、溢れ出る黒い血液をペットボトルに汲んでいた。ちなみにあの血液も立派な素材らしい。
「おいしっかりしろ‼ おいっ‼」
「あ゛がぶっ‼ うげぶっ⁉」
ヤバい、血を吐きまくってる。しかも顔色も紫色だし、メッチャ白目を剝いてる。これじゃ美少女もクソもない。ホントに血を飲ませたくらいで助かんのかよ⁉
「コウタさんっ‼ これをっ‼」
「お、サンキューっ」
ミレイナが汲んだペットボトルを受け取り、青パンツの口に血を流し込む。
「げひっ⁉ げひっ⁉」
「おい飲めっ、死んじまうぞ‼」
「コウタさん、弱って飲めないんです、ここは······」
「ま、まさか」
「はい、口移ししかありません」
「よし‼」
キターッ‼ って思うがこの状況じゃ喜べん。こんな白目剝いて死にかけてる少女に口移しなんて、罪悪感どころの話じゃない。急がないと死んじまう。俺はペットボトルの血を口に貯める。
「ミレイナ、こいつを押さえてぶっふぅぅぅぅーーッ⁉」
何だコレくっそマジぃぃぃーーーッ⁉
炭みたいな臭さにネチャネチャネバネバの液体、しかも味は形容し難いほどのゲロマズ。
「こ、コウタさん、ファイトですっ‼」
「う、うぶぶ······ぐぶふっ」
俺は涙目で口に血を貯める。青パンツの身体をミレイナが押さえ、顔を固定して口を開けた。喰らいやがれっ‼
「っ⁉」
「んむぶ······っ‼」
青パンツの目がカッと開かれる。
俺は液体を口に押し込み、舌をねじ込んで口の中を刺激する。すると液体がゴクゴクと喉を伝う感じが伝わってきた。
「っぶはぁっ‼ み、水〜〜っ‼」
「コウタさん、どうぞ」
「ざんぎゅ、ングっングっングっ······っぷぁっ‼」
「あ、見てください、顔色が······」
「んぉ? あ、よかった······」
青パンツの顔色は劇的に良くなった。血を飲ませたくらいでこうも変わるとは。
「とりあえず、トラックに運ぶか」
「はい」
俺は青パンツを担ぎ、トラックの居住ルームへ運んだ。
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居住ルームに入れる前に、やるべきことがあった。青パンツは血塗れのドロドロ、しかも毒のショックで大も小も漏らしていた。マジ臭い。
「ミレイナ、こいつの鎧を脱がせるぞ。臭くてたまらん」
「えっと、いいのでしょうか?」
「いいだろ。それと身体を洗ってやってくれ」
タマ曰く、覚醒まで数時間は掛かるとのこと。せっかくだしキレイにしてベッドに入れてやろう。服は洗って鎧も拭いておいてやるか。
2人掛かりで鎧を外し、シャワールームに連れて行く。あとはミレイナに任せよう。俺は鎧を濡れタオルで磨き、ゲロと血塗れの服をどうするか悩む。すると、耳に付けたイヤホンからタマの声が聞こえてきた。
「洗濯機でもあればなぁ······」
『洗濯機はリストにございます。3000ポイントを使用して設置しますか?』
「おぉビックリした。あぁ、イヤホンからか。えーと、頼むわ、ついでに洗剤もあればよろしく」
『了解。洗濯機設置完了。洗剤購入完了』
するとシャワールームから音が聞こえた。どうやら洗面所に洗濯機が設置されたらしい。
俺は青パンツの服を持って洗面所へ。洗濯機はなんとドラム式。最新型だぜこりゃ。
『よい、しょっと······ふぅ、それにしてもキレイな身体······』
ふと、シャワールームからそんな声が聞こえた。
ミレイナが裸で青パンツの身体を洗ってるんだろう。うん、暫くここに居よう。洗濯機の調子も気になるしね。これは正当な理由からだ。
『ふわぁ、スベスベ。それに軽い······わ、わわぁっ⁉』
「ミレイナっ⁉」
ドタンと倒れる音がした。
これを待っていた‼ じゃなくてミレイナがピンチだ‼ ここで風呂場に飛び込んでも咎められないだろう。ミレイナは優しいから怒らないだろうしね。うん、これはミレイナのためだ。
「大丈夫·········か」
「こ、コウタさんっ⁉」
ミレイナは無事だ。タオルをしっかり巻き大事な部分はガードされてる。だけど青パンツは違った。
風呂なので当然ながら全裸。髪は解かれ長く青い髪は湯が滴りなんとも色っぽい。そして一糸纏わぬ裸体は白く美しいが、乳房の成長はいまいち。貧乳ともちっぱいとも言うだろう。
だが真に驚くのはそこではない。
どうやら風呂桶に座らせて身体を洗っていたようで、バランスを崩してミレイナのいる後ろ向きに倒れたようだ。俺が見たときは足を開脚していた。つまり、大事な部分を見てしまった。
「は·········生えてない、だと⁉」