12・トラック野郎、土地を手に入れる
すみません、前話のドラゴンの報酬ですが変更します。さすがに安すぎると指摘され、後の展開を考慮して変更します。
1000万→5000万です。
ミレイナはあっさり了承した。
つまり「コウタさんにお任せします!!」状態だ。いや良いけどね。うん。
というワケで翌日。まずは土地を押さえるために商人ギルドへ向かった。
「ミレイナ、商人ギルドって行ったことあるか?」
「も、申し訳ありません……場所は知ってますが、中に入ったことは……」
「そっか。じゃあ案内頼む。それと確認したいんだけど、依頼を受けてないとか、冒険者じゃないとかで討伐モンスターを倒した場合ってどうなる?」
「えっと、その場合はギルドから報酬は出ません。でも、報告はした方がいいかと……」
「そっか、まぁそん時は報告するか」
「はい。それと、商人ギルドに素材を卸すなら、商人の登録をしないとダメだったような……」
「え、マジ?」
そりゃ初耳だ。ギルドに素材を卸すだけで資格がいるのかよ。
「うーん、仕方ないな。それに運送会社も仕事になるし、商人の資格を取ったほうが安心か。ところで……登録って何が必要なんだ? 身分証や印鑑は? 登録料っていくらだ? 写真とか必要なのか?」
「え、えっと……」
『特に必要はありません。簡単な記載事項と登録料3000コインで済ませられます』
「なるほど……って、俺はこの世界の文字を知らないぞ? ヤバいな……」
「あ、私が代筆します」
なんともまぁ情けない。会社を興すなら字は書けないとマズいよな。よーし、ここはミレイナ先生から手取り足取り教えて貰おう。ぜひ個室で個人授業を。
「ミレイナ、今度俺に字を教えてくれ」
「わかりました。任せて下さい!!」
トラックは進み、商人ギルドへ到着した。
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商人ギルドの間取りは冒険者ギルドとは大きく変わってた。外観は殆ど変わらなかったのに。
中は広いけど、殆どが受付カウンターだ。商品を卸したり、貴重な物になると別室に案内されたりするそうだが、今はどうでもいい。大事なのは登録だ。
俺とミレイナは空いてる受付へ進む。もちろん美人の受付嬢のところだ。男性受付は無視した。
「すんませーん。商人の登録をしたいんですけど」
「ようこそ商人ギルドへ。ギルド登録ですね、それではこちらの書類にご記入下さい」
「ミレイナ、頼む」
「はい」
ミレイナにバトンタッチしても、受付嬢さんからは特に何もなかった。もしかして字が書けない商人ってけっこういるのかな。
「出身は……ゼニモウケ王国ですね。年齢は?」
「……26です」
「はい。商人への志望動機は……」
「ええと、ギルドと取引したいし、仕事を始める上で役に立つから……かな」
「はい、以上です」
「え、そんだけか?」
ミレイナは受付嬢へ書類を提出した。
出身・年齢・志望動機だけって、そんな簡単なんだ。バイトの面接でさえ履歴書を提出するのに、異世界の資格ってけっこうザルなんだな。
「それではこちらをどうぞ。このドッグタグは商人ギルドの登録証ですので、なくさないように肌身離さず身につけて下さい。商人ギルドのご利用方法はご存じですか?」
「えーと、はい」
「畏まりました。それではこれからよろしくお願いします」
利用方法は別にいいや。長くなりそうだし、わからなかったらタマに聞けばいいしな。それより早速、土地をキープしておくか。
「えーと、早速だけど土地を紹介して欲しい。予算は800万コインで」
「畏まりました、少々お待ち下さい」
さぁて、本格的に始めようか。
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ギルド職員に案内されたのは、ギルドから馬車で1時間の原っぱだった。
説明では、町が作った公園だが利用者が少なく、規模を縮小し余った土地を売りに出したらしいが売れていないのが現状だそうだ。
公園と言っても遊具なんてない。あるのは原っぱだけ。公園の入口に囲いがあるだけだ。
俺の買った土地は、この公園の半分。ご丁寧に柵が設置されてる。
「よし、ここをトラックの拠点にしよう。今夜からここにトラックを停めて寝泊まりだ」
「はい。こんな立派な大国で自分の土地を持たれるなんて、コウタさんはスゴいです!!」
「いやいや、ここはミレイナの土地でもあるからな」
「い、いえ……私はその、勿体ないです……」
照れてるミレイナも可愛い。やっぱ妹にしたいな。この気持ちはラブじゃなくて愛おしいライクだ。
『現在日本時間で9時。『ヴェノムドラゴン』の生息地まで急いだ方が良いと思われます』
「そ、そうだな。行くぞ」
「は、はい」
くそ、タマのヤツ気が利くじゃないか。俺とミレイナの時間を邪魔するとは。
まぁいい。急がないとドラゴンが討伐される可能性もあるし、さっさと行って退治しよう。まさか運送会社に勤める俺がドラゴン退治をすることになるとは。しかもトラックで。
少し飛ばしていくか。ドラゴンは怖いけど見てみたいしな。
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「タマ、武装はオート設定で頼む」
『了解。[機銃]展開。ターゲットを掃討します』
2時間ほど走り、『ヴェノムドラゴン』が住む森へやって来た。途中にモンスターがそこそこ出たが、全て機銃のエサとなった。機銃強すぎだろ、雑魚はこれで始末出来ちゃうね。
「スゴいですね。この[機銃]って武器……」
「確かに。っていうか武装がどれも凶悪すぎる。大型ミサイルなんて使えるモンスターが存在すんのか?」
モンスターにも慣れた。出てきた瞬間に蜂の巣になるから、よほどのことがない限りブレーキは掛けない。雑魚だからか、ポイントは貯まるけどレベルは中々上がらない。最初みたいにジャンジャン上がればいいのに。
「あれはダイノウルフ、あれはグリーンゴブリン、あれは……ブラッドバッド、だったかな」
『違います。あれはブラインバッドです。ブラッドバッドとの違いは外見では判断が付きません。なので、吸血種がブラッドバッド、キバによる直接攻撃しかしてこないのがブラインバッドと呼ばれています』
「なるほど……じゃあタマさん、あれは?」
ミレイナはヒマなのか、蜂の巣にしたモンスターの名前当てをしてる。わからないところはタマに聞いてるし、かなり勤勉なお嬢さんだ。
何匹かの雑魚モンスターを蜂の巣にすると、ようやくレベルが上がった。
『パンパカパーン。レベルが上がりました。[火炎放射器]が解放されました。新項目【追加装備】が解放されました』
お、何か解放された。[火炎放射器]は置いておこう。
俺はトラックを停車させ、タマの言葉に耳を傾ける。
『【追加装備】の説明を聞きますか?』
「ああ、頼む」
『畏まりました。【追加装備】はトラックそのものをカスタマイズする機能です。【車体強化】や【車内設備】とは違い、トラックの外観や装飾を変えたり、ポイントを消費して専用パーツを取り付ける事が可能です』
「おぉ、それってマジなデコトラじゃん!!」
『はい。パーツリストをご覧になりますか?』
「面白そうだな、見せてくれ」
『畏まりました』
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○経験値ポイント・[21005]
【追加装備】~パーツリスト~
○外装パーツ
・フロントデッキ(種類選択)
・サイドミラー(種類選択)
・バイザー(種類選択)
・フロントバンパー(種類選択)
・電飾(種類選択)
○塗装
・動物(種類選択)
・植物(種類選択)
・風景調(種類選択)
・歌舞伎 (種類選択)
・神仏(種類選択)
・自由塗装
○内装
・シートカバー(種類選択)
・ダッシュボード(種類選択)
・室内灯(種類選択)
・カーテン(種類選択)
・座布団(種類選択)
・ハンドルカバー(種類選択)
以下項目未解放
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「う、うわぁ……ムダに凝ってやがる」
「???」
ミレイナは本気でわかってない。そもそも俺も余り理解してない。そもそも世代が違う。
種類選択を選ぶと、その項目の種類が表示される。例えば塗装の動物なら龍・鷹・虎などで、龍を選ぶとサンプルがフロントガラスに表示される。カッコいいけど町を走るのには適してない。
「とりあえず保留だな……」
『畏まりました』
トラックのデコトラ化はまた今度だ。正直なところトラックの装飾に興味はない。強いて言うなら内装ぐらいか。シートがフカフカになったり室内灯が明るいと嬉しいけどね。まぁドラゴンを倒して落ち着いたらいろいろ弄ってみるか。
『警告。前方580メートル先に『ヴェノムドラゴン』の反応アリ。現在戦闘中。反応は2。内1は人間の反応です』
「またかよ!?」
「また?」
ミレイナとの出会いを彷彿とさせる。まさかまた素っ裸じゃないだろうな。
「よし、[レーザーカッター]展開。操作はオートで頼む」
『了解。[レーザーカッター]展開』
とにかく、誰が戦ってるか確認しないと。最悪素材は諦めるか。




