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異世界の配達屋さん~世界最強のトラック野郎~  作者: さとう
『第10章・トラック野郎と様々な事情』
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117・トラック野郎、武装無双

 グリーン平原の手前で、今日は休むことにした。

 木陰にトラックを止めて室内へ。

「あ、コウタさん、キリエ、もうすぐ夕飯ですよ」

「えへへ、今日は私もお手伝いしたんだよっ」

「わたしも」

 ミレイナの隣には、色違いのエプロンを着けたクリスとコハク。

 シャイニーは………ソファで昼寝していた。

「しろ丸、シャイニーを起こして下さい」

『なうっ』

 キリエに抱きかかえられたしろ丸は、キリエの胸から華麗にジャンプして着地。そのままチョコチョコ歩きでシャイニーの元へ。

『なう、なうなう』

「ん……あれ、しろ丸? ふふふ……ふかふか」

『うなー』

 横になったままのシャイニーは、しろ丸を抱きしめてフカフカしてる。

 あれ気持ちいいんだよな、抱きしめたくなる気持ちはよくわかる。

「シャイニー、ご飯」

「んん~……ふかふか」

「シャイニー、起きないとぶっ飛ばすよ?」

「あぁん!?」

 あ、飛び起きた。

 売られたケンカは買う主義のおかげか、コハクのおかげか、どうでもいい。

 腹も減ったしメシだ。その後は……。

「あの、コウタさん。あそこの扉なんですけど……」

「ああ、あれね」

 ミレイナが指さしたのは、居住ルームの奥に出来た通路。

 その先にあるのは、見た目は研究所にでもありそうな最新式の自動ドア。そして透明なガラス製の自動ドアがある。

「あれは【武器庫】と【遊戯ルーム】に続く通路だ」

 夕食が終わったら、確認してみるとしよう。




 食事が終わり、全員で武器庫へ入る事にした。

「この扉、開けようとしても開かないのよ」

「わたしも本気で開けようとしたけどダメだった」

 シャイニーとコハクが言う。

「自動ドアみたいだけど………」

 試しにドアに触れる。

『指紋認証確認。ドア開きます』

「あ、指紋認証なのか」

 すると、シュインと音を立ててドアが開き、室内のライトが自動で点灯した。

「お、ひろ……い」

「わぁ、なんか凄いですね」

「これが武器ぃ~?」

「黒い金属が壁に掛けられてますね……?」

「なんか硬そう」

「あ、剣もあるよ」

 俺は驚いて動けなかった。

 部屋は学校の教室くらいだろうか、壁一面にライフルやマシンガン、バズーカなどが掛けられてる。しかも壁際にはガラスケースがあり中には様々な拳銃が納められ、手榴弾や地雷などの武器や、よくわからない物がたくさんある。

 しかも武器だけじゃなく防具もある。

 鎖帷子やボディアーマー、軍服やらジャケット、鉄板が仕込まれたブーツや防弾チョッキ、警官隊が使うようなシールドまであった。

 これはあれだ、アメリカとかにありそうなガンショップだ。

「は、ははは……最前線に行けそうだ」

 ミレイナ達は興味深そうに物色をしてる。

 俺は壁に掛けてある、どことなく見覚えのあるライフルを手に取った。

『M4カービン銃。ポイントを消費することでカスタマイズパーツを購入可能です』

「ハイダーはCQC対応か……」

 ちょっと言ってみたかった。

 ちなみに俺は格闘技の経験なんてない。

『奥のドアは射撃場となっています。訓練に限り弾数は無限となります』

「ご親切に」

 ここで眼帯でも付けようか悩んでいると、コハクが俺を呼んだ。

「ご主人様ご主人様、かっこいいナイフがある!!」

「ナイフ? どれどれ」

 ガラスケースを覗いてるコハクの元へ。

 中には様々な形状のナイフがある。ケースを開けて一本取り出す。

「変な形だな」

「おぉー」

 柄は円形で鐔の部分がレバーみたいになってる。

「なんだこれ?」

 俺はレバー部分を引いてみた。

 すると凄い速度で刀身が発射され、目の前にいたコハクをかすめて壁に突き刺さった。

「わぉ、びっくりした」

「すすす、すまん!! 大丈夫か!?」

「うん。避けようかと思ったけど当たらないから避けなかった」

「マジ!?」

 すると、タマの声がイヤホンから聞こえる。

『スペツナズナイフ。ロック解除ボタンを引くことで刀身を発射させる事が出来ます。最高速度六〇キロ』

「言うのが遅いわ!! というか武器ってこんなにあったのかよ!!」

『レベルアップ時に入手していましたが、社長が説明を拒否したので』

「そうでした!! すんません!!」

 これからはマジで説明を聞こう。

 とにかく、俺の武装に関しては問題が無くなった。

 完全装備すれば戦争にだって行けそうだ。絶対に行かないけどな。

 もう一つの遊戯ルームには何もなかった。ただの広い空間があるだけで、ゲーム機やらを置くにはポイントが必要だ。だけどこれから先に戦闘の可能性がある以上、不必要にポイントは使えない。

 パチンコ筐体やスロットを入れるなら、ゼニモウケに帰ってからだな。




 翌日。俺たちはグリーン平原へ進み出す。

 今日の助手席はクリスだ。勇者パーティーを乗せるのは太陽以来だな。

「お兄さん、グリーン平原はモンスターがいっぱい居るから気を付けて。動きが遅いモンスターなら逃げるのもアリだよ」

「そうだな。でもポイントが欲しいからなるべく倒すよ」

「ポイント?」

 あ、そういえばクリスはトラックの仕組みを知らないんだっけ。

 まぁ説明も面倒だしいいや。

「それにしても、凄い平原だな……」

「ここは人間世界で三番目に広いエリアだからね」

 グリーン平原は、見渡す限り広大な平原だった。

 障害物が殆ど無い。ウルフ系モンスターがシカみたいなモンスターを追いかけ回したり、巨大なゴリラやサイのモンスターが幅を利かせて歩いていたり、上空にはプテラノドンみたいなモンスターが飛んでいる。

 こんな弱肉強食の平原をトラックで走るのか。

「よーし。タマ、機銃を用意しておいてくれ」

『畏まりました。[機銃]展開』

 ハンドルの真ん中がパコッと割れ、中からガンコンが現れる。

 それと同時に、サイドミラーが変形して砲身が現れた。

「わわ、何これ?」

「ま、見てろ」

 さぁて、この弱肉強食の平原を駆け抜けますかね。




 現れたのは、狼の群れだった。

 トラックの背後から統率のとれた動きで追いかけてくる。

「お兄さん、ウェアウルフの群れだよ!!」

「ウェアウルフ……」

 懐かしいな、この世界に来て最初に出会ったモンスターだ。

『社長。背後からでは[機銃]の射程外です。【リアバンパー】武装の[マキビシ]がよろしいかと』

「いいね、じゃあそれで」

『畏まりました。[マキビシ]起動』

 すると、トラックのリアバンパーが開き、金属片がばら撒かれる。

『ギャウッ!!』

『キャインッ!?』

『ギャゥゥッ!!』

 お、狼の群れがゴロゴロ転がるのが見えた。

 マキビシ作戦は大成功。右手に握った意味の無いガンコンが泣けるぜ。

『左後方よりベヒーモス接近。迎撃を』

「べ、ベヒーモスっ!? お兄さん、危険種のベヒーモスが来たよっ!!」

「マジか!?」

 助手席側のサイドミラーを見ると、灰色の身体をした巨大なウシの化物が追ってきた。しかもツノが凶悪な形に反り返ってる。あんなので突かれたらトラックなんて横転しちまうぞ。

『右後方よりビッグリザード接近。推測ですがベヒーモスとビッグリザードは競争をしていると思われます』

「じゃあ何だ、俺たちは二匹の景品ってか!?」

『はい。左右後方から攻めてくると思われます』

「えーと、じゃあ追尾ミサイルで!!」

『不可。追尾ミサイルはロックオンの必要があります。正面から対象を捉えないと発射出来ません』

「ウソだろオイ!!」

『社長。提案があります』

 ここで俺はタマの作戦を聞いた。

 相変わらずぶっ飛んだ作戦だが、たまには俺だってやるところを見せてやる。隣はクリスだし、かっこいい所を見せてやりたいしね。

「よ、よーし、やってやる」

「お兄さん、私は何をすれば!!」

「しっかり掴まってろ!!」

 俺はアクセルを踏み加速する。

 するとトラックはぐんぐんと速度を上げ、二匹から五〇メートルは離れる。

「まだ来てるか!?」

『はい。視認が可能な内は諦めることはないかと』

 二匹はお互い数メートルの距離を保ち、競争するかのように迫って来た。

「ここでブレーキッ!! アンド、急カーブッ!!」

「きゃぁぁっ!?」

 二匹から離れた所でブレーキを掛け、ハンドルを一気に切る。

 車体の向きが半回転し、ベヒーモスとビッグリザードを正面から見据える。

「行くぞぉぉぉぉぉぉーーーッ!!」

「お、お兄さんっ!? なんでっ!?」

 ギアを入れ再び加速。

 今度はこっちから二匹のモンスターに向かって突っ込んでいく。

 距離はあっという間に詰まり、二匹の雄叫びが聞こえた。

『ブシャァァァァァッ!!』

『シャガァァァァァッ!!』

 怖い、メッチャ怖い。

 巨大なウシの化物とトカゲの化物が大口開けて威嚇する。

 俺は恐怖を叫ぶことで誤魔化した。

「タマーーッ!! 高周波ブレーーーードッ!!」

『高周波ブレード展開』

 【サイドバンパー】が展開、金色の刺身包丁みたいな刃が飛び出し振動する。

 俺は二匹のモンスターを間を通り抜け………終わった。

「っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ジュパン!! といい音が響き、二匹の身体を両断した。

 俺は速度を落としターン、モンスターの状態を確認する。

「わぁ……真っ二つだね」

「ありゃ完全に死んでるな……」

 二枚に下ろされたモンスターはドバドバと血が流れ、グロい内臓が丸見えになっていた。

『社長。血液臭を嗅ぎ付けモンスターが集まる可能性があります。ここは待ち伏せし大量にポイントを』

「アホかふざけんな!? さっさと逃げるわ!!」

 俺は慌ててその場から離れた。

 とにかく、モンスターに会わないように平原から出よう。

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お読みいただき有難うございます!
最弱召喚士の学園生活~失って、初めて強くなりました~
新作です!
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