表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

Snow7 ふたりぼっち

「ゆかさ、僕だよ」

「あ、悠太。今日も来てくれたんだね。嬉しい」

 ゆかさはそういうと、くんくんと匂いを嗅ぎ、ビニール袋を指差して笑った。

「美味しそうな匂いがするね」

「あ、これ、僕の晩ご飯。コンビニでうどんを買ったんだ」

 その時には、うどんの存在をすっかり忘れていてさ、うどんが冷めてしまうところだったよ。

「ここで食べてもいい?

 ……家だと1人で、寂しくて」

「いいよ」

 うどんを取り出し、割り箸を割って、いただきます、とつぶやいた。

「——うん、美味しい」

「いいなぁ、美味しそう」

 僕のうどんを覗き込んだゆかさがあんまりにも羨ましそうに言うもんだから、聞いていた。

「一口いる?」

「えっ?」

 ゆかさは驚いたように言って、目を丸くした。

「……いいんなら……欲しい」

 僕は笑った。

「はい」

 割り箸とうどんの器を手渡す。

「ありがとう、悠太」

 ゆかさは嬉しそうに受け取り、うどんを一口すすった。

「——本当だ!美味しい!」

「でしょ?」

 僕も、ゆかさも、笑った。

「——ありがとね、悠太」

 ゆかさに器と箸を返されて、僕はそれを受け取った。そして再びうどんを食べ始めたんだ。


 あまり会話はしなかったけど、1人じゃないって、こんなにあったかいんだと思った。

 胸の奥が、じんわりあったかくなってね。


「寂しかったら、いつでもここにおいでよ」

 不意に、ゆかさにそう言われたんだ。

「私はいつでも、ここにいるから」

「分かった。ありがとう」

 僕は本当に、その言葉が嬉しかったな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ