Snow6 ひとりぼっち
「ただいま」
いつも誰もいない家に向かって呼びかける。
返事は、もちろんない。
そんな生活が始まったのはいつからだったのかって?そんなの、もう覚えていないよ。
上着を脱ぎ捨てて背中に背負った重荷——リュックを近くに放り投げるのもいつも通りだった。
不思議なことにさ、リュックはなくなったはずなのに、背中は重いままなんだよね。それでそのままソファーに座り込むんだ。
近くのテーブルの上には、いつも通り、いくらかの小銭が置いてあって、数えてみると、その日は500円だった。テーブルの上に小銭が置いてある理由は、単純明快。どこかの店で晩ご飯は買って食べろっていうことだよ。
僕は仕方なく、上着を羽織り直して、外に出て、鍵を閉めた。
その音が、とても虚しかったこと、よく覚えてるさ。
最寄りのコンビニに行くと、コンビニオリジナルの、新発売のうどんが売っていた。値段は税込370円くらいだったかな。まあまあ美味しそうだったし、それにした。ついでに、夜食用に100円セールで安くなっていたおにぎりを1つ買ったよ。味は僕が好きなおかかだ。
会計を済ませ、うどんを温めてもらってコンビニを出て、空を見上げると、沢山の星が輝いていた。その時の僕には、星が仲良く話しているように見えた。
やあ、元気かい?
いや、今日はあんまり調子が良くなくて。
そうだろうな、光がいつもよりも弱いよ。
そんな会話が聞こえそうで。
馬鹿馬鹿しい、と思いつつもそんなことを思った。
——さみしいなぁ、1人なんて。
ふとそんなことを思い、1人で笑った。
今更、なんだよって思った。
今までだって、僕はずっと1人だったのに。
それに変わりはないはずなのに。
なのに、どうして……?
……ってね。
——ゆかさに会いに行こう。
そう思ったのもきっと、寂しかったから……なのかもしれないね。




