Snow24 広場
地下1階には広場があってね。広場から上を見上げると、すごく綺麗なんだ。吹き抜けになっていて、噴水があって、ベンチがあって。キラキラして、明るくて。エレベーターが近くにあって、エレベーターに乗る人達やエレベーターガールの皆さんがいて。そしてその人たちはみんな幸せそうで。
ゆかさはふふ、と笑って
「この噴水、凍りつかせて氷のオブジェにしてみたいな」
「いつだったか、氷と雪を操る女王さまが出てくる映画でそんなシーンがあったかも」
「本当に?素敵だね、その女王さま」
そう言って2人で、噴水を見ていた。
「綺麗だね、ここ」
「うん」
日の光が、とても暖かかった。
「あら、先ほどのお2人さんではありませんか?」
聞き覚えのある声だった。
振り返ると、そこにはコンシェルジュの佐倉さんがいたんだ。本当にびっくりしたよ。
「あ、佐倉さん。どうしてこちらに?」
ゆかさはまたしてもさらりとそう言った。
「あら、名前を覚えてくださったのですね。ありがとうございます。今は休憩時間でして。ここが好きなのでよく来るのですよ。
ところで、福引きはいかがでしたか?」
「僕がこのワンピースと靴を当てました」
「私は、星屑飴を」
「素敵ですね。
ワンピース、とてもお似合いですよ。星屑飴は最近話題になっている飴ですからね、手に入れられるのは大変幸運なことですよ」
そう言って佐倉さんは、僕たちが座っているベンチに腰掛け、手にしていたサンドイッチを口にした。
僕たちもさっき買ったパンを取り出して、佐倉さんと一緒に少し遅めのお昼ご飯を済ませた。
「佐倉さん、それってもしかしたらモナットのパンじゃありませんか?」
ゆかさが気付いて佐倉さんに尋ねていた。
「はい、そうです。当百貨店地下1階にモナットの支店が出ているんです」
佐倉さんに言われて、思わず僕らは顔を見合わせた。
「さっき僕たち、星原駅のそばにあるモナットの本店に行ってきたんです。ここに支店があるなんて、知らなかったです」
僕が言うと、
「あら、じゃあそれはモナットのパンですか?——そうみたいですね。そのかぼちゃあんぱんはモナットのオリジナルのパンですからね」
そう佐倉さんは言って、にこりと笑った。
「モナットも支店よりも本店の方が売り上げは高いらしいですよ。本店の方が種類も豊富ですしね」
3人でモナットのパンを食べて、たわいもないことを楽しく話した。




