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Snow23 小さな奇跡と幸せ

 数分後、僕はゆかさと一緒に福引きの会場、屋上へと向かっていた。

 百貨店スリジェのエレベーターは手動式で、エレベーターガールがいたんだ。大柄で優しそうな人だったよ。エレベーターの内装も綺麗でね、ゆかさは目を輝かせながら見ていたね。

 屋上に着くと早速列に並んで、順番を待ちながら景品を見た。景品の中にはゆかさがさっき可愛いと言っていたワンピースもあった。そのワンピースの隣にはカジュアルな男の人用の服のセットもあった。そしてその服たちのそばには、赤い文字で「三等」と書かれたフリップが飾られていた。

 あれが当たるといいね、なんて言っていたら、順番が来た。

 まずはゆかさがくじを引いた。

「あー、外れちゃった」

 ゆかさが残念そうにいう。そんなゆかさに、その場にいた従業員の男の人が、「こちらをどうぞ」と、色とりどりの、宝石のような飴が入っている、綺麗なレースのような物で出来た袋をゆかさに渡していた。

「地下一階で人気の飴屋、『星のカケラ』の売り上げ1位の商品、星屑飴の詰め合わせです」

 ゆかさは嬉しそうに「ありがとうございます」と言って、受け取っていた。

 いよいよ、僕の番になった。

 僕はなんとかあの服を当てて、ゆかさを喜ばせたいな、って思っていたんだ。

 僕はくじを引く。

(三等が、当たりますように……)


 ——出てきたのは、赤い玉だった。


「おめでとうございます、三等です!」

 三等を知らせる赤い球。

 僕は綺麗にラッピングされたあのワンピースとそれによく合う靴——たしか、薄茶色のパンプスを受け取って、ゆかさに手渡した。ゆかさは嬉しそうに笑って言ってくれたんだ。

「ありがとう、悠太」


 百貨店スリジェの5階には、書店のテナントがあってね、たしか……花束書店、だったっけ。そこに寄らせてもらって、本を買った。好きな作家さんの新刊が文庫本で出ていたんだけどサイン本があったからさ、持ってるけど——もっというと、カバンの中に入れて持ってきていたけど、買っちゃった。

 ゆかさもその作家さんの本が好きだって言ってたから、カバンの中に入れていた本をあげた。すっごく喜んでくれてたなぁ。

 他には、地下1階にも行ったよ。屋上でゆかさがもらった飴が売ってるところ、星のカケラに。色んな種類の飴が売ってて、星屑飴はもちろん、いろんな味ののど飴とか、花粉症にいい飴とか、金太郎飴とか、透き通って綺麗な水晶飴なんてのも売ってたよ。

 僕は水晶飴を買って、ゆかさの星屑飴と一粒ずつ交換したんだ。星屑飴は丸かったけど、星屑みたいにキラキラして見えたよ。綺麗だったなぁ。

 勿論、どっちの飴も美味しかったさ。

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